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【2:はなさくみち】
〜MISSING LINK β〜
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任務先から里に戻り、日の陰りだした街をイルカは真っ直ぐに自分の部屋へ向かう。
とにかく誰か───特にカカシやナルトに会いたくなかった。
こんな不安定な心理状態で彼らに会ったら、また極端に突出した意識が出てきてしまうかもしれない。
それが、無害な人格とは言えない以上、出来る限り余計な刺激はうけたくなかった。
5代目火影の綱手は医療スペシャリストでもある。
1度相談してみようかと、道々考える。
しかし、自室へ帰り着いたイルカは、扉を開けた瞬間にある人物の出現を背後に感じた。
途端にさっきまで会いたくないと思っていた意識が、どこかへいってしまう。
それすらも無視して、振り返って声を掛けようとしていた。
「おかえりなさい。イルカ先生」
けれどそれより先に、背負った背嚢ごと、カカシに抱きしめられた。
荷物や装備が邪魔をして振り返ることも、背後をうかがうことも、互いを感じることもできない。
けれど、腹にまわされたカカシの手に自分の手を重ね、イルカはその人のぬくもりを確かめた。
彼も任務から戻ったばかりなのだろう。
泥と汗に汚れた手甲に包まれた手に触れ、その手を力強く握り返され、とても安心した。
自分がここにいるということを、カカシがここにいるということを、実感する。
「ただいま、もどりました。カカシさんこそ、おかえりなさい。」
「うん。ただーいま、イルカ先生ぇ」
抱き込む力を強くするカカシに、イルカは苦笑した。
「カカシさん。荷物とか当たって痛くないですか?」
「……うん。全然、気持ちよくないデス」
「手、緩めてください。それに、顔も見せてください」
「はい」
言うや、イルカの身体と視界はきっちり180度巡って、カカシの正面に移動している。
普通の人間にはありえない速さと、動きだった。
「あ、イルカ先生呆れたデショ? それとも、目回った?」
「……いえ。あまりに見事だったので……」
「嘘。オレは自分で呆れてるんですけーどね」
目の前でえへへとカカシは笑う。
「なんか、一瞬たりともイルカ先生から離れたくないなって思って」
そんなカカシの口布に覆われた顔に、両手で頬を包み込むように触れて、イルカは改めて無事の帰還を労った。
「おかえりなさい、カカシさん。よくぞご無事で」
「イルカ先生こそ任務、お疲れ様でーした」
顔が近付いた気がして、イルカはカカシの顔に添えていた手に力を込める。
「イールカ先生ぇ?」
「ドア、閉めてからにしましょう。こういうことは……」
しかめられていた右目が呆けたように丸く見開かれた。
軽く肩を押されて、イルカは自ら室内に後ずさり、カカシが後ろ手に閉めるドアを肩越しにみる。
そして、鍵の掛かる音がした。
「カカシさん」
イルカの手が、カカシの顔を覆う口布を引き下ろした。
カカシは両腕でイルカの腰を引き寄せる。
「イルカせんせぇ、目、閉じてよ」
言われて、そうした途端に、唇が触れ合った。
軽く合わされた唇はすぐに離れたけれど、またすぐに今度は強く吸われる。
カカシの頬に添えていた左手を肩口から背へ回して、イルカからも強く抱き寄せた。
「……んっ……」
息苦しくて呼気を求めると、開いた唇を軽く舐めた舌が滑り込んでくる。
「……ふっ、ん……」
浅く、口の中をまさぐられ、息が鼻に抜けて甘い声に聞こえた。
そんな自分の声や、音に煽られて口付けは徐々に深くなっていく。
強く自分が求めれらていると分かる、こんなキスをされたのは初めてだった。
けれど、理性を失う一歩手前でイルカの右手はカカシの咽喉の中央を軽く押す。
「こっふ……せんせぇ、ヒッドォイよー」
軽く咳をして呼吸を整えながら、カカシの顔が少しだけ離れた。
「すみません。なんか、このままだとなしくずしに及んでしまいそうだったので」
「あー、そのつもりだった……んですけどー」
「だから、止めたんです」
悪びれもせずに言いぬけるカカシに鮮やかに笑って、イルカは部屋に入っていく。
「適当に荷物降ろして座ってください。お茶でも入れますから」
机の傍に背負っていた荷を下ろし、台所へ向かった。
とは言っても、支給の宿舎は入ってすぐに寝台と机があり、横手に申し訳程度の水回りがあるだけだ。
ヤカンをすすいで水を張り、火にかけたところでカカシの声がした。
「なんか、思ってたより殺風景なんですね」
「ちょっと前に、引き払うつもりで整理しましたから」
「……そう、でしたね」
暗部に入隊して長期の里外任務に就くはずだったイルカを、カカシが引きとめた。
文字通り、命がけで。
それきりカカシは黙ってしまった。
荷物を置いたらしい音は聞いた。
続いてしばらく、カカシはごそごそと何か物色していた様子だが、じきにおとなしくなる。
どこかへ座ったかして、落ち着いたのだろう。
イルカもあえてそちらを見ずに急須と茶葉、2人分の湯飲みを用意する。
あの時、1歩どころか半歩間違えていたら、2人とも死んでいたかもしれない。
そんな考えに背筋を寒くしながら、ここしばらく使っていなかった茶器を洗った。
水の冷たさやガスの臭いと炎の熱気さえも、今生きていることを確認する手段のように感じる。
カカシと2人で生きているということを。
そしてこれからも、こうやって生きていくのかと問われている気がした。
不安がないと言えば、嘘になる。
忍という生き方は、死と隣り合わせの生活だ。
いつ、どちらが命を落としても、何の不思議もない。
きっと、死んでしまえば何も残らない。
いや、カカシならば名は残るだろう。
けれど、それだけだ。
イルカとカカシの関係では、思い出すらも残せない可能性だってある。
───それでも、カカシさんはオレを選んだんだ……
だからと言って、全てを委ねるつもりはイルカにはない。
───だって、オレもカカシさんを選んだ
共に、手を取り合って、生きる相手として。
その決断を後悔したくない。
───……何が起こっても、大丈夫だ
イルカの考えが落ち着く頃に、ヤカンの湯も沸いた。
* * * * *
「お茶、入りましたよ」
そう言ってイルカが部屋に戻ると、カカシはベッドの端に座って半ば空になっている棚を見つめていた。
足元に置いた荷の上に手甲もベストも脱いで放ってある。
額宛も外しているようだったし、口布はさっきイルカが引き下ろしたままだった。
「どうぞ。熱いですから気をつけて」
「ありがとうございます」
手から直接、湯飲みを受け取り、カカシはその温みを確認するように両手で抱え持つ。
その姿が妙に幼く見えて、イルカは微笑ましく思いながら、傍らに座った。
「えーと」
「なんでしょう」
熱い茶を吹き冷ましてはすすりながら、ぽつりぽつりと言葉を交わす。
「……ずいぶん、思い切って処分……いや、整理されたんですか?」
未だに視線の向いたままの戸棚のことかとイルカは思った。
「いいえ。もともと必要なものしか持っていなかったので、最初からこんな感じでした」
あー、でも、本はずいぶん処分しました。
「アカデミーの古い教本とかは、図書室や資料室に引き取って貰ったんですよ」
「なんか、も1人分の荷物……入りそうですよね?」
カカシの言葉の意味を悟って、イルカはしばし考える。
それは、この任務に就く前に交わした約束の答え。
どう答えるかは決まっていたけれど、こんなことは考えていなかった。
「……あなたがここで、暮らすつもりですか?」
「オレのトコのがちょっとだけ広いですけど、イルカ先生のトコがいいです」
「ここ、単身者用なんですけど」
「じゃー、2人で暮らせるトコ見つけるまででもいいです」
「……早めに、見つけましょうね」
「はい」
イルカの言葉に、嬉しそうな声が答える。
「カカシさん」
「なんでしょうか、イルカ先生」
「一緒に暮らしましょう」
「はい、喜んで」
カカシが華やかに微笑んで、抱きついてきた。
「花咲きまくりの人生にしましょーうね♡ イルカせんせ♡」
その言葉にうなずいて、イルカはカカシの背を抱き返す。
「イルカ先生、いいの?」
「今更ですよ」
さっきまで2人が手にしていた湯飲みは、いつの間にか机の上に並んで置かれていた。
無駄に上忍の能力を発揮しているカカシに、イルカは苦笑する。
その笑いをこらえるように、汗と埃の匂いがするカカシの肩口に顔を埋めた。
「言ったでしょう。オレも、あなたをこういう意味でも好きだって」
「そーだったね」
イルカと同じように肩口に顔を近づけ、耳元でカカシが囁いた。
「だけど、いつから?」
「あなたが倒れてからずっと、考えたんです」
任務先での私闘に倒れたカカシを背負って里まで走りながら。
眠るカカシを見守りながら。
イルカは自身の想いとカカシが向けてくれた想いに向き合った。
そして答えは、決まったのだ。
任務に出た先でふいにカカシを思った途端に意識が切り替わった時の恐怖は飲み込んで、イルカは告げる。
「あれからずっと、あなたのことを考えていました」
それは、嘘ではない。
「オレはカカシさんが、好きです」
「イルカ先生」
少し身体を離し、顔を見合わせるようにしてからカカシは言う。
「も1度言って、イルカ」
「オレはカカシさんが、好きです」
口布にも額宛にも覆い隠されていない、カカシの素顔を真正面から見据えて、イルカは告げた。
「オレもイルカ先生が好きです」
嬉しそうに、カカシの口元が緩んでいる。
【続く】
‡蛙女屋蛙娘。@iscreamman‡
WRITE:2004/11/23
UP DATE:2004/11/23(PC)
2009/11/07(mobile)
RE UP DATE:2024/07/30
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任務先から里に戻り、日の陰りだした街をイルカは真っ直ぐに自分の部屋へ向かう。
とにかく誰か───特にカカシやナルトに会いたくなかった。
こんな不安定な心理状態で彼らに会ったら、また極端に突出した意識が出てきてしまうかもしれない。
それが、無害な人格とは言えない以上、出来る限り余計な刺激はうけたくなかった。
5代目火影の綱手は医療スペシャリストでもある。
1度相談してみようかと、道々考える。
しかし、自室へ帰り着いたイルカは、扉を開けた瞬間にある人物の出現を背後に感じた。
途端にさっきまで会いたくないと思っていた意識が、どこかへいってしまう。
それすらも無視して、振り返って声を掛けようとしていた。
「おかえりなさい。イルカ先生」
けれどそれより先に、背負った背嚢ごと、カカシに抱きしめられた。
荷物や装備が邪魔をして振り返ることも、背後をうかがうことも、互いを感じることもできない。
けれど、腹にまわされたカカシの手に自分の手を重ね、イルカはその人のぬくもりを確かめた。
彼も任務から戻ったばかりなのだろう。
泥と汗に汚れた手甲に包まれた手に触れ、その手を力強く握り返され、とても安心した。
自分がここにいるということを、カカシがここにいるということを、実感する。
「ただいま、もどりました。カカシさんこそ、おかえりなさい。」
「うん。ただーいま、イルカ先生ぇ」
抱き込む力を強くするカカシに、イルカは苦笑した。
「カカシさん。荷物とか当たって痛くないですか?」
「……うん。全然、気持ちよくないデス」
「手、緩めてください。それに、顔も見せてください」
「はい」
言うや、イルカの身体と視界はきっちり180度巡って、カカシの正面に移動している。
普通の人間にはありえない速さと、動きだった。
「あ、イルカ先生呆れたデショ? それとも、目回った?」
「……いえ。あまりに見事だったので……」
「嘘。オレは自分で呆れてるんですけーどね」
目の前でえへへとカカシは笑う。
「なんか、一瞬たりともイルカ先生から離れたくないなって思って」
そんなカカシの口布に覆われた顔に、両手で頬を包み込むように触れて、イルカは改めて無事の帰還を労った。
「おかえりなさい、カカシさん。よくぞご無事で」
「イルカ先生こそ任務、お疲れ様でーした」
顔が近付いた気がして、イルカはカカシの顔に添えていた手に力を込める。
「イールカ先生ぇ?」
「ドア、閉めてからにしましょう。こういうことは……」
しかめられていた右目が呆けたように丸く見開かれた。
軽く肩を押されて、イルカは自ら室内に後ずさり、カカシが後ろ手に閉めるドアを肩越しにみる。
そして、鍵の掛かる音がした。
「カカシさん」
イルカの手が、カカシの顔を覆う口布を引き下ろした。
カカシは両腕でイルカの腰を引き寄せる。
「イルカせんせぇ、目、閉じてよ」
言われて、そうした途端に、唇が触れ合った。
軽く合わされた唇はすぐに離れたけれど、またすぐに今度は強く吸われる。
カカシの頬に添えていた左手を肩口から背へ回して、イルカからも強く抱き寄せた。
「……んっ……」
息苦しくて呼気を求めると、開いた唇を軽く舐めた舌が滑り込んでくる。
「……ふっ、ん……」
浅く、口の中をまさぐられ、息が鼻に抜けて甘い声に聞こえた。
そんな自分の声や、音に煽られて口付けは徐々に深くなっていく。
強く自分が求めれらていると分かる、こんなキスをされたのは初めてだった。
けれど、理性を失う一歩手前でイルカの右手はカカシの咽喉の中央を軽く押す。
「こっふ……せんせぇ、ヒッドォイよー」
軽く咳をして呼吸を整えながら、カカシの顔が少しだけ離れた。
「すみません。なんか、このままだとなしくずしに及んでしまいそうだったので」
「あー、そのつもりだった……んですけどー」
「だから、止めたんです」
悪びれもせずに言いぬけるカカシに鮮やかに笑って、イルカは部屋に入っていく。
「適当に荷物降ろして座ってください。お茶でも入れますから」
机の傍に背負っていた荷を下ろし、台所へ向かった。
とは言っても、支給の宿舎は入ってすぐに寝台と机があり、横手に申し訳程度の水回りがあるだけだ。
ヤカンをすすいで水を張り、火にかけたところでカカシの声がした。
「なんか、思ってたより殺風景なんですね」
「ちょっと前に、引き払うつもりで整理しましたから」
「……そう、でしたね」
暗部に入隊して長期の里外任務に就くはずだったイルカを、カカシが引きとめた。
文字通り、命がけで。
それきりカカシは黙ってしまった。
荷物を置いたらしい音は聞いた。
続いてしばらく、カカシはごそごそと何か物色していた様子だが、じきにおとなしくなる。
どこかへ座ったかして、落ち着いたのだろう。
イルカもあえてそちらを見ずに急須と茶葉、2人分の湯飲みを用意する。
あの時、1歩どころか半歩間違えていたら、2人とも死んでいたかもしれない。
そんな考えに背筋を寒くしながら、ここしばらく使っていなかった茶器を洗った。
水の冷たさやガスの臭いと炎の熱気さえも、今生きていることを確認する手段のように感じる。
カカシと2人で生きているということを。
そしてこれからも、こうやって生きていくのかと問われている気がした。
不安がないと言えば、嘘になる。
忍という生き方は、死と隣り合わせの生活だ。
いつ、どちらが命を落としても、何の不思議もない。
きっと、死んでしまえば何も残らない。
いや、カカシならば名は残るだろう。
けれど、それだけだ。
イルカとカカシの関係では、思い出すらも残せない可能性だってある。
───それでも、カカシさんはオレを選んだんだ……
だからと言って、全てを委ねるつもりはイルカにはない。
───だって、オレもカカシさんを選んだ
共に、手を取り合って、生きる相手として。
その決断を後悔したくない。
───……何が起こっても、大丈夫だ
イルカの考えが落ち着く頃に、ヤカンの湯も沸いた。
* * * * *
「お茶、入りましたよ」
そう言ってイルカが部屋に戻ると、カカシはベッドの端に座って半ば空になっている棚を見つめていた。
足元に置いた荷の上に手甲もベストも脱いで放ってある。
額宛も外しているようだったし、口布はさっきイルカが引き下ろしたままだった。
「どうぞ。熱いですから気をつけて」
「ありがとうございます」
手から直接、湯飲みを受け取り、カカシはその温みを確認するように両手で抱え持つ。
その姿が妙に幼く見えて、イルカは微笑ましく思いながら、傍らに座った。
「えーと」
「なんでしょう」
熱い茶を吹き冷ましてはすすりながら、ぽつりぽつりと言葉を交わす。
「……ずいぶん、思い切って処分……いや、整理されたんですか?」
未だに視線の向いたままの戸棚のことかとイルカは思った。
「いいえ。もともと必要なものしか持っていなかったので、最初からこんな感じでした」
あー、でも、本はずいぶん処分しました。
「アカデミーの古い教本とかは、図書室や資料室に引き取って貰ったんですよ」
「なんか、も1人分の荷物……入りそうですよね?」
カカシの言葉の意味を悟って、イルカはしばし考える。
それは、この任務に就く前に交わした約束の答え。
どう答えるかは決まっていたけれど、こんなことは考えていなかった。
「……あなたがここで、暮らすつもりですか?」
「オレのトコのがちょっとだけ広いですけど、イルカ先生のトコがいいです」
「ここ、単身者用なんですけど」
「じゃー、2人で暮らせるトコ見つけるまででもいいです」
「……早めに、見つけましょうね」
「はい」
イルカの言葉に、嬉しそうな声が答える。
「カカシさん」
「なんでしょうか、イルカ先生」
「一緒に暮らしましょう」
「はい、喜んで」
カカシが華やかに微笑んで、抱きついてきた。
「花咲きまくりの人生にしましょーうね♡ イルカせんせ♡」
その言葉にうなずいて、イルカはカカシの背を抱き返す。
「イルカ先生、いいの?」
「今更ですよ」
さっきまで2人が手にしていた湯飲みは、いつの間にか机の上に並んで置かれていた。
無駄に上忍の能力を発揮しているカカシに、イルカは苦笑する。
その笑いをこらえるように、汗と埃の匂いがするカカシの肩口に顔を埋めた。
「言ったでしょう。オレも、あなたをこういう意味でも好きだって」
「そーだったね」
イルカと同じように肩口に顔を近づけ、耳元でカカシが囁いた。
「だけど、いつから?」
「あなたが倒れてからずっと、考えたんです」
任務先での私闘に倒れたカカシを背負って里まで走りながら。
眠るカカシを見守りながら。
イルカは自身の想いとカカシが向けてくれた想いに向き合った。
そして答えは、決まったのだ。
任務に出た先でふいにカカシを思った途端に意識が切り替わった時の恐怖は飲み込んで、イルカは告げる。
「あれからずっと、あなたのことを考えていました」
それは、嘘ではない。
「オレはカカシさんが、好きです」
「イルカ先生」
少し身体を離し、顔を見合わせるようにしてからカカシは言う。
「も1度言って、イルカ」
「オレはカカシさんが、好きです」
口布にも額宛にも覆い隠されていない、カカシの素顔を真正面から見据えて、イルカは告げた。
「オレもイルカ先生が好きです」
嬉しそうに、カカシの口元が緩んでいる。
【続く】
‡蛙女屋蛙娘。@iscreamman‡
WRITE:2004/11/23
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