ちゃきっ様

【青春の光と…影】



 アカデミーを卒業して六年。中忍試験も無事通過し、3人揃って中忍となったのが、三年前。

一年程前には挙って更なる昇進を果たし、ナルトとサスケは上忍に。サクラは医療系での特別上忍になっていた。

今じゃ単独任務やら他の中・下忍との任務も入るけど。スリーマンセルはスリーマンセル、仲間は仲間。

何だかんだで未だ、カカシ7班は健在であった。

「お~サスケ、久し振りだってばよ!」

 ゆっくりと歩きながら、待ち合わせ場所に姿を見せたサスケにナルトがぶんぶんと手を振る。

「此処ン処、バラの任務ばっかりだったもんな!」

 相も変わらず元気が暴走しているナルトであった。

それでも任務に関しては戦闘力が高い上に仲間想いだ、と。特に下の人間達からの評判は良い。

「でも、変りが無くって何よりだってば。」

 そう、満面の笑みを浮かべた…ナルトに。

「…何が言いたい…」

 低い、サスケの声が返った。
「は…?」

 戸惑いを含んだ、ナルトの声。それに
 
「誰が六年前から変わってねぇってっ!!」

 言葉と同時に木の葉烈風が跳んで来る。

 うちはサスケ18歳 身長154.8cm 体重45kg
彼は『身体的成長』に見放されて、居た…

「誰もそんな事言ってないってばよっっ」

 対して。
叫びながら咄嗟に攻撃を躱すナルトは、身長もグンと伸び。最早恩師二人を軽々と追い越していた。

勿論体重の方もとっくの昔にオーバーしており。黒髪の師には『圧し掛かり禁止』を言い渡されてしまっていたり、する。守ってはいないけれど。

「独活じゃ在るまいしにょきにょき伸びやがって!」

 唸るサスケの、成長に対する形容が『筍』ではなく『独活』の辺にサスケの心情が現れている。
会う都度グングンと引き離され。今や、ナルトの視界に在るのはサスケの旋毛…と言うこの状況は、はっきり言ってサスケの神経を逆撫でしていた。

但し、格好云々の問題では無い。

 サスケの未だ燻る目標である…『復讐』。その為には力が必要、で。
だから

「コラ、ナルト!またサスケ君に何か言ったの?!」

 唐突に現れた…薄紅の、影。

「何も言ってないってばっ挨拶しただけだってばよっっ」
 
 木の葉烈風から木の葉旋風へと切り替わった攻撃を見事に受け流しながらナルトが応える。
尤も全ては躱し切れず、何発かは喰らっているのだが…
体重が威力と成り得る体術である。どれだけ速さが乗っていてもチャクラまでは使っていないサスケの拳は、鍛え上げたナルトの身体には大した痛手を与える事が出来なくて。
それが判る分、サスケの表情は険しくなってしまう。

 その上

「だから!何か無神経な事言ったんでしょう。もう、気が回らないんだから。」

 ぶつぶつと文句を言いながらトンと傍らに降り立つ。

「サスケ君も好い加減にしないと!そろそろカカシ先生が来るわよ。」

 僅かに視線を下ろしてにっこり笑うのは、過剰にならない程度に化粧を施した綺麗な顔。
それはサスケの遥か頭上に在り。

 春野サクラ 身長177cm 体重…(オンナノコにンなもの訊くんじゃないわよっっ)

 サクラもまた、サスケを置いてしっかりと『成長』していたのだった。
相も変わらず自分への好意を隠しもしない少女の、最近急に大人びた容貌を遥か頭上に見ながら。

世の無情をしみじみと噛み締めるサスケ、であった。



【続く】
[ちゃきっ@天手古舞]
DL:2005/08/24
UP DATE:2005/08/24(PC)
   2009/11/16(mobile)
RE UP DATE:2024/08/20



   ◆ ◇ ◆ ◇ ◆



ちゃきっ様とのチャットにて「修行のし過ぎで身長が伸びなかった『豆サスケ』」というネタで盛り上がってしまい、お互いに作品を書いてしまいました。
とても楽しかったです。
→蛙女屋蛙姑。ver.【見上げてごらん夜の星を
‡ 蛙女屋蛙姑。@iscreamman‡
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