ちゃきっ様
【バイトしましょ♪ 夏ばーじょん】
~ 前 ~
その日、俺はいつもの様に上忍待機所で一服していた。
横でイチャパラを開いたカカシが何やらぐふぐふと時折含み笑いをしている為、皆不気味がって部屋に入って来ない。
そのお陰で俺(とカカシ)はまぁ、静かな時間を過ごして居たのだ。
と、其処に
「あ、カカシ先生アスマ先生!」
ひょっこりと待機所の入口から覗く、黒いしっぽ。
「イルカ先生~♪」
それに走り寄る、銀髪。転がる様に、とはこう言う事を示すのだろう。
「どうしたんですか~イルカ先生がこんな所まで来るなんて!」
ゴロニャン と、喉を鳴らしそうなカカシを尻目に俺は嫌~な予感がしていた。
カカシがイルカに構っている間に、こそっと…窓から…逃げようとする。
が
「アスマ先生、何処に行かれるんです?」
其処は窓ですよ 生徒が真似するので止めて頂けると有難いのですが
にこにこ
人懐っこい笑みを浮かべたままイルカが、俺が今まさに出ようとした窓の前に現われる。瞬身でも使ったか…と思われる程の素早さだった。
だが、チャクラを使用した気配は、無い。
「アスマ先生、カカシ先生。今日はこの後お暇でしたよね?」
質問では無く確認の口調で尋ねるイルカに、俺の『予感』は益々強くなる。
だが
「は~いv俺もアスマも待機は今日の昼までで~す。そして明日はお休みで~す!」
カカシが元気に…言わなくても良い事まで報告してくれる。
「ああ、丁度良かった!此れから、宜しいですか?」
そう言って、にっこり笑ったイルカの背に…
俺は、その笑顔では拭い切れない程の質量を持つ黒雲を見た…様な気がしたのだった。
「『夏の奏鳴曲』ってご存知ですか?」
そうイルカに訊かれ
「は~い!今流行りの恋愛ドラマです。サクラが毎週粗筋教えてくれますっっ」
と元気に返事をするカカシ。
それは俺の方も同じだった。イノが毎週キャアキャア言いながら、その手の話に全く興味の無い男性陣…シカマル・チョウジ・俺…にその話を熱く語り続けているのだ。
何でもそのドラマの主人公を演じる役者が、うちはの坊主に似ているのだそうだ。
俺がカカシの横で頷いているのを確認したイルカが、更に話を進める。
「その話の中で主人公が恋人と『七夕』をするらしいんですけど…」
その、二人が使った『笹』が木の葉笹、らしいんです
真面目な顔でイルカが説明を始める。
その様子にカカシが『働いてるイルカ先生って、凛々し~vv』等と戯言をほざいているが、それは無視した。
「それで、彼等とそっくりに!七夕を迎えたいって言う女性が多いらしくて。今、木の葉笹は凄い人気なんです。」
幸い、それ程希少な植物と言う訳じゃありませんし この夏、里の外貨獲得に大いに貢献してくれたんですが
「とうとう『自分の手で、恋人の為に木の葉笹を採ろう』ツアーまで発生しまして。」
今日、明日と団体客が訪れるんですよね
はぁ…と、溜息をついて見せるイルカに話が見えた、と思った。
どうせ人手不足を盾に、俺達にツアーの相手をさせようと言うのだろう
「ま、結構な金額を払ってまでそんな暇なツアーに参加する人達ですから、基本的には」
ドラマファンの有閑マダムや金持ちの令嬢、稼いでるキャリアウーマンに
「恋人に格好つけたい馬鹿男なんか、なんですよ。」
にっこりと。
辛辣な事を言っているのに笑顔は癒し系受付忍のままで…却って、怖い。
「でも、里内に普段見慣れない団体が入って来るってのは間違い無い訳で。」
殆どが団体行動で、自由時間はそう有りませんけど 『混ざって』来る輩が居ないとは限りませんから
「一応、監視が必要なんです。」
予想通りのイルカの、言葉に。
「わ~い!イルカ先生とお仕事だっ♪」
最近めっきり幼児返りしているカカシの、はしゃぐ声を聞きながら。
俺は、煙と溜息とを同時に吐き出したのだった。
→[後]
~ 前 ~
その日、俺はいつもの様に上忍待機所で一服していた。
横でイチャパラを開いたカカシが何やらぐふぐふと時折含み笑いをしている為、皆不気味がって部屋に入って来ない。
そのお陰で俺(とカカシ)はまぁ、静かな時間を過ごして居たのだ。
と、其処に
「あ、カカシ先生アスマ先生!」
ひょっこりと待機所の入口から覗く、黒いしっぽ。
「イルカ先生~♪」
それに走り寄る、銀髪。転がる様に、とはこう言う事を示すのだろう。
「どうしたんですか~イルカ先生がこんな所まで来るなんて!」
ゴロニャン と、喉を鳴らしそうなカカシを尻目に俺は嫌~な予感がしていた。
カカシがイルカに構っている間に、こそっと…窓から…逃げようとする。
が
「アスマ先生、何処に行かれるんです?」
其処は窓ですよ 生徒が真似するので止めて頂けると有難いのですが
にこにこ
人懐っこい笑みを浮かべたままイルカが、俺が今まさに出ようとした窓の前に現われる。瞬身でも使ったか…と思われる程の素早さだった。
だが、チャクラを使用した気配は、無い。
「アスマ先生、カカシ先生。今日はこの後お暇でしたよね?」
質問では無く確認の口調で尋ねるイルカに、俺の『予感』は益々強くなる。
だが
「は~いv俺もアスマも待機は今日の昼までで~す。そして明日はお休みで~す!」
カカシが元気に…言わなくても良い事まで報告してくれる。
「ああ、丁度良かった!此れから、宜しいですか?」
そう言って、にっこり笑ったイルカの背に…
俺は、その笑顔では拭い切れない程の質量を持つ黒雲を見た…様な気がしたのだった。
「『夏の奏鳴曲』ってご存知ですか?」
そうイルカに訊かれ
「は~い!今流行りの恋愛ドラマです。サクラが毎週粗筋教えてくれますっっ」
と元気に返事をするカカシ。
それは俺の方も同じだった。イノが毎週キャアキャア言いながら、その手の話に全く興味の無い男性陣…シカマル・チョウジ・俺…にその話を熱く語り続けているのだ。
何でもそのドラマの主人公を演じる役者が、うちはの坊主に似ているのだそうだ。
俺がカカシの横で頷いているのを確認したイルカが、更に話を進める。
「その話の中で主人公が恋人と『七夕』をするらしいんですけど…」
その、二人が使った『笹』が木の葉笹、らしいんです
真面目な顔でイルカが説明を始める。
その様子にカカシが『働いてるイルカ先生って、凛々し~vv』等と戯言をほざいているが、それは無視した。
「それで、彼等とそっくりに!七夕を迎えたいって言う女性が多いらしくて。今、木の葉笹は凄い人気なんです。」
幸い、それ程希少な植物と言う訳じゃありませんし この夏、里の外貨獲得に大いに貢献してくれたんですが
「とうとう『自分の手で、恋人の為に木の葉笹を採ろう』ツアーまで発生しまして。」
今日、明日と団体客が訪れるんですよね
はぁ…と、溜息をついて見せるイルカに話が見えた、と思った。
どうせ人手不足を盾に、俺達にツアーの相手をさせようと言うのだろう
「ま、結構な金額を払ってまでそんな暇なツアーに参加する人達ですから、基本的には」
ドラマファンの有閑マダムや金持ちの令嬢、稼いでるキャリアウーマンに
「恋人に格好つけたい馬鹿男なんか、なんですよ。」
にっこりと。
辛辣な事を言っているのに笑顔は癒し系受付忍のままで…却って、怖い。
「でも、里内に普段見慣れない団体が入って来るってのは間違い無い訳で。」
殆どが団体行動で、自由時間はそう有りませんけど 『混ざって』来る輩が居ないとは限りませんから
「一応、監視が必要なんです。」
予想通りのイルカの、言葉に。
「わ~い!イルカ先生とお仕事だっ♪」
最近めっきり幼児返りしているカカシの、はしゃぐ声を聞きながら。
俺は、煙と溜息とを同時に吐き出したのだった。
→[後]