ドロドロしたミルク付けの粥を口に運ばれた瞬間、エミリアは普通ならばありえない｀違和感｀を感じた。

エミリアはまだ御年1歳と４か月。ようやく離乳食離れをしエミリアにとっては人生で３回目のオートミールを食した瞬間であった。

ようやく、２つのものの関係性を理解し始める時期に違和感を感じるということがありえないのだが、たしかにエミリアはそれを感じた。

その違和感が引き金となったのか、連鎖的に自分が赤ん坊であること、目の前でスプーンを向けている女性が自分の母親であることを理解した。

　


オートミール・グルーエルを食べ違和感を感じたときから成長するにつれて、目に入る物や耳に聞こえてくる物に違和感を感じる機会はさらに多かった。

断片的に、母ではない女性が私を抱いている記憶や寒い夜空のなか長時間一人で泣いている記憶もよみがえった。

そして一般の子供が自我を持ち始めるころ、エミリアはこの不可思議な現象は前世の記憶のような物が自分の中に在るからだと理解した。

そして、もしかしたら今の両親は本当の両親でないのかもしれないということを理解した。

「マァム、知らない物を知っていることって変？」

「エミィはとっても良い子だから、なにか特別な力を持っているのかもね。」

幸運なことにエミリアの両親は特異な人間を差別する質ではなかったため、子供らしくないエミリアも一般家庭以上の愛情を受けて育った。

だからたとえ私を産んでいなくても、両親は私の両親だと思った。


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「ダディ～、みてみて！触らなくてもボールが動くようになったの」

「なんだって！？すごいじゃないか！さすが私たちの子だ！！」

「マァム、タルトが後ろ足が痛いって言ってる。」

「あら、エミィ。教えてくれてどうもありがとう。すぐタルトを動物病院へ連れて行くわ。」

エミリアが7歳になる頃には、物を触れずに動かせたりペットのタルトと意思疎通が図れたりと摩訶不思議な力のある幼女になっていた。

エミリアは、幼い頃に超能力者があっても成長するにつれて無くなったら残念だなぁぐらいに思っていた。

とってもおかしな力があったエミリアでも、愛情深い両親と大人のような精神をもっていたためか、プライマリースクールで周囲の子供たちから浮いた存在にはならなかった。

むしろめったなことでは怒らず、誰が話しかけても笑顔で相づちをくれるエミリアはスクールで人気者になった。

また、これは本人の性格故か勉強に努力を惜しまない質であったため、上の子にも下の子にも次のクラスはともに受けようと誘われる存在で、エミリアが多少変なことを口走っても笑って流してもらえる環境だった。

ただバースデーパーティでやるビンゴでかならずエミィが1番になるのは周囲に首をかしげるのだった。

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10歳の夏、成績が優秀だったため少し離れたインディペンデント・スクールの入学準備をしていたとき事件が起こった。

「マム！ホグワーツって知ってるー？」

「ホグワーツ…？聞いたことないけれど、こんな時期にセカンダリースクールから手紙で来たの？」

「それが…、入学許可証って書いてあるの。」

「えぇ！ちょっと見せて。」

＿＿＿親愛なるエミリア・ワトソン殿

あなたがホグワーツ魔法魔術学校に入学を許可されたことを此処にお知らせします。

アルバス・ダンブルドア＿＿＿

魔法魔術学校という文字を読んだ母は一時完全にフリーズしたのち、おもむろに受話器を取った。


「あなた、すこし聞きたいことがあるんだけど」

「どうした？仕事中に電話をかけてくるなんて珍しいな。」

「エミィにホグワーツという学校から入学許可証が届いたの。でもホグワーツは魔法学校らしくて…」

「なんだって！？やっぱりエミィは特別だったんだ！なんて素晴らしいんだ！！いますぐ帰るよ！待っていて！」

ブチッ

「切れたね。ダディほんとに帰ってくるのかな。」

「はぁ、しょうがない人ねまったく。」




父が帰宅してすぐ、マクゴナガルという魔女が訪ねてきた。

「失礼、マダム。本当の本当にエミィは魔女なんですね？」

「ええ、ミスターワトソン。ホグワーツの入学者名望にたしかにエミリアがのっています。お話に聞く限り、エミリアはとても力の強い魔女のようですね。」

「ああ、なんて素敵なの。エミィが魔女だなんて。」

「ミスエミリア、14日に入学に必要な物を揃えにダイアゴン横丁にお連れまします。お母様と一緒に10時にキングスクロス駅に来てください。」

「分かりましたミセスマクゴナガル。ありがとうございます。」

その日から、両親の喜び様ははっきり言ってエミリアには手が付けられないほどであった。

ミセスマクゴナガルに、魔法に関してほかの者に言ってはいけないと約束させらればければ次の週末には通り一帯にこの話が知れ渡っていただろう。

そんな両親ほどでないにしろ、エミリアもとっても嬉しかったのは間違いない。

そろそろ大人に近づいていて、いつこの素敵な超能力が無くなってしまうかと内心不安に思っていた。

いつかタルトや向かいの家の犬のラッキーともお話しできなくなるかもとたびたび2匹の散歩を変わってもらっていた。

でも、もうそんな心配は不要なのだ。

これからはたくさん魔法を学んで、もしかしたらいままでお話できなかった爬虫類や魚類なんかともできるようになるかも知れない！！

そんな期待を胸にエミリアも夜はぐっすりと眠り、約束の日を心待ちにした。