第1章
夢小説設定
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与えられた部屋は、自宅のリビングよりも広い部屋だった。落ち着いた色のクローゼットにテーブル、ベッドがあり、まるで高級ホテルのようだった。
______余所者はこの世界の住民に好かれる。みんな、君を好きになるさ。
あのあと、ナイトメアにこの世界について説明を受けた。
4つの領土による勢力争い、役持ちと役なし、そして世界を回すルール。
私がいたところとは、別の世界らしい。
______きみがなぜこの世界に来られたのかわからないが、この世界に来た以上夢子もなんらかのゲームに参加しなくてはならない。そのためには、役持ちたちと交流を深める必要がある。次の会合まで、クローバーの塔に滞在したまえ。
まるでゲームの世界みたい。
しかも、私より前にも1人、白ウサギという役持ちに連れてこられた余所者がいるそうだ。
「余所者は世界に好かれる」なんて、いったいどんな世界なんだ。
余所者が好かれるということは余所者自身がこの世界を作り上げている?
私は1人目の余所者の夢に紛れ込んだのだろうか。
他人の夢に紛れ込むだなんて、非常識も良いところだが現実は小説よりも奇なりという言葉を実体験している身としては頭ごなしに否定はできない。
人間を縮ませる薬があるくらいなので、すごい装置を付ければ夢を渡る等造作も無いのかもしれない。
とにもかくにも、なんの後ろ盾もない小娘にこんな豪華な部屋を用意し後にこの国の権力者たちに紹介までしてくれるという彼らのもとにとどまらない選択肢はいまの夢子にはなかった。
会合が始まるまでの期間のほとんどを私は与えられたクローバーの塔の自室で過ごした。ほんとうはいざというときのために、塔の構造を確認するなり街に出てこの世界を知るべきだったのかもしれない。
だが、クローバーの塔の職員は全員が銃器を携帯していた。
いくら日本のヨハネスブルグと揶揄された街に長年住んでいたとしても、実物の銃にはそうそうお目にかかったことはない。
ここにいる人々がみな当たり前に武器を所持している街に一人で赴く勇気は無かった。
しかし、奇妙なことにこの塔の職員は皆得体の知れない余所者の小娘に優しかった。
食事をとりに食堂に行くと、廊下などで必ず挨拶をしてくれた。
それに、この世界で初めてしゃべったナイトメアとグレイもそれ以上に親切だった。
ここら一帯の領主とその補佐というのは相当な地位に就く二人なはずなのだが、よくお茶に誘ってくれた。
敬語も敬称も不要、と言われた時はさすがに訝しむ様が顔に出てしまい二人には笑われてしまった。
結局押し切られるようにタメ口で話すことになった。
そんな経緯を経て、今はナイトメアの執務室にお邪魔している。
「ナイトメア様、これが2時間帯後の会合の台本です。本番は私もカンペを出しますから台本通りに話してください。」
「いやだ!!台本なんてかっこ悪いじゃないか!」
「では、もう少しスピーチを短くしましょう。」
「な!そんなことをしなくてもこんなスピーチぐらい完璧に覚えられる!私を誰だと思っているんだ!」
「ええ、分かっていますとも。あなたはやればできる子です。すごいお方です。さあ、いますぐ続きを覚えましょう。」
「ぐ…ぐぅ…。」
ナイトメアはこうやって何度もグレイに言いくるめられ数時間帯後に開催されるという会合の練習をしていた。
領主としては年若いうちに入るだろうが、彼らの口ぶりからしてこれが初めての公務といった感じではないのにどうも様子がおかしい。
______なんだか、ナイトメアの領主としてや夢魔としてのイメージ像が日に日に壊れていく。
「ねぇ、ナイトメアってすごいあがり症なの?そこまでスピーチが苦手なら、誰かグレイにでも変わってもらえば良いんじゃない?」
「な!夢子!そんなことはないぞ!私はえらーい領主だぞ、これしきのスピーチなど楽にこなせるんだからな!」
「そうはいっても、もう2時間帯はそのページをやっているんじゃない?」
「う…それは…。」
「ああ、悪かった夢子。君には改めて役持ちたちの説明をするために呼んであったのに、放っておいてしまった。」
「ううん、二人とも忙しそうだから気にしないで。」
「そうだ!夢子に説明しなければいけなかったな、スピーチの練習はまた後で行うことにしよう。」
「ナイトメア様…。後で必ずですよ。
夢子、前にクローバーの国では4つの領土に別れていることを話したのだったな。」
「うん。それぞれの領土に所属している役持ちは覚えてるよ。ハートの城にはキングと女王と白ウサギと騎士、それと余所者の女の子。森にはチェシャ猫と眠りネズミ。帽子屋屋敷には帽子屋と三月ウサギと双子ね。」
「君は記憶力が良いんだな。改めて説明をする必要は無かったかもしれないな。」
「親譲りでちょっとだけね。」
「夢子、所属だけでは足りないぞ。騎士と帽子屋と女王には気をつけるんだ。特に騎士には近づくな!」
「そうですね。騎士は最初の会合以外は出席しないでしょうが目に痛い赤を身にまとった男には不用意に近づかないように。次点で変な帽子を被った男にも近づかない方がいいだろう。君のようなきれいな子が近づいたら何をされるか分からない。」
「2人目の余所者の存在はまだ公にしていないから、普段のように欠席してくれれば楽なのだがな。だがおそらくアリスは女王や白ウサギに連れてこられるだろうから顔合わせができるな。夢子はあまり外に出たがらないから良い機会だろう。」
「だって、知らない土地で住人全員が武器を持っていると思うと怖くて…。」
「俺が付き合えればよかったんだが、会合の前は仕事が山積みで手が離せなかった。夢子、このまま塔に滞在してはどうだろうか。会合が始まって数時間帯すれば俺もいったん仕事を離れられるから、領土の中を案内しよう。」
______余所者はこの世界の住民に好かれる。みんな、君を好きになるさ。
あのあと、ナイトメアにこの世界について説明を受けた。
4つの領土による勢力争い、役持ちと役なし、そして世界を回すルール。
私がいたところとは、別の世界らしい。
______きみがなぜこの世界に来られたのかわからないが、この世界に来た以上夢子もなんらかのゲームに参加しなくてはならない。そのためには、役持ちたちと交流を深める必要がある。次の会合まで、クローバーの塔に滞在したまえ。
まるでゲームの世界みたい。
しかも、私より前にも1人、白ウサギという役持ちに連れてこられた余所者がいるそうだ。
「余所者は世界に好かれる」なんて、いったいどんな世界なんだ。
余所者が好かれるということは余所者自身がこの世界を作り上げている?
私は1人目の余所者の夢に紛れ込んだのだろうか。
他人の夢に紛れ込むだなんて、非常識も良いところだが現実は小説よりも奇なりという言葉を実体験している身としては頭ごなしに否定はできない。
人間を縮ませる薬があるくらいなので、すごい装置を付ければ夢を渡る等造作も無いのかもしれない。
とにもかくにも、なんの後ろ盾もない小娘にこんな豪華な部屋を用意し後にこの国の権力者たちに紹介までしてくれるという彼らのもとにとどまらない選択肢はいまの夢子にはなかった。
会合が始まるまでの期間のほとんどを私は与えられたクローバーの塔の自室で過ごした。ほんとうはいざというときのために、塔の構造を確認するなり街に出てこの世界を知るべきだったのかもしれない。
だが、クローバーの塔の職員は全員が銃器を携帯していた。
いくら日本のヨハネスブルグと揶揄された街に長年住んでいたとしても、実物の銃にはそうそうお目にかかったことはない。
ここにいる人々がみな当たり前に武器を所持している街に一人で赴く勇気は無かった。
しかし、奇妙なことにこの塔の職員は皆得体の知れない余所者の小娘に優しかった。
食事をとりに食堂に行くと、廊下などで必ず挨拶をしてくれた。
それに、この世界で初めてしゃべったナイトメアとグレイもそれ以上に親切だった。
ここら一帯の領主とその補佐というのは相当な地位に就く二人なはずなのだが、よくお茶に誘ってくれた。
敬語も敬称も不要、と言われた時はさすがに訝しむ様が顔に出てしまい二人には笑われてしまった。
結局押し切られるようにタメ口で話すことになった。
そんな経緯を経て、今はナイトメアの執務室にお邪魔している。
「ナイトメア様、これが2時間帯後の会合の台本です。本番は私もカンペを出しますから台本通りに話してください。」
「いやだ!!台本なんてかっこ悪いじゃないか!」
「では、もう少しスピーチを短くしましょう。」
「な!そんなことをしなくてもこんなスピーチぐらい完璧に覚えられる!私を誰だと思っているんだ!」
「ええ、分かっていますとも。あなたはやればできる子です。すごいお方です。さあ、いますぐ続きを覚えましょう。」
「ぐ…ぐぅ…。」
ナイトメアはこうやって何度もグレイに言いくるめられ数時間帯後に開催されるという会合の練習をしていた。
領主としては年若いうちに入るだろうが、彼らの口ぶりからしてこれが初めての公務といった感じではないのにどうも様子がおかしい。
______なんだか、ナイトメアの領主としてや夢魔としてのイメージ像が日に日に壊れていく。
「ねぇ、ナイトメアってすごいあがり症なの?そこまでスピーチが苦手なら、誰かグレイにでも変わってもらえば良いんじゃない?」
「な!夢子!そんなことはないぞ!私はえらーい領主だぞ、これしきのスピーチなど楽にこなせるんだからな!」
「そうはいっても、もう2時間帯はそのページをやっているんじゃない?」
「う…それは…。」
「ああ、悪かった夢子。君には改めて役持ちたちの説明をするために呼んであったのに、放っておいてしまった。」
「ううん、二人とも忙しそうだから気にしないで。」
「そうだ!夢子に説明しなければいけなかったな、スピーチの練習はまた後で行うことにしよう。」
「ナイトメア様…。後で必ずですよ。
夢子、前にクローバーの国では4つの領土に別れていることを話したのだったな。」
「うん。それぞれの領土に所属している役持ちは覚えてるよ。ハートの城にはキングと女王と白ウサギと騎士、それと余所者の女の子。森にはチェシャ猫と眠りネズミ。帽子屋屋敷には帽子屋と三月ウサギと双子ね。」
「君は記憶力が良いんだな。改めて説明をする必要は無かったかもしれないな。」
「親譲りでちょっとだけね。」
「夢子、所属だけでは足りないぞ。騎士と帽子屋と女王には気をつけるんだ。特に騎士には近づくな!」
「そうですね。騎士は最初の会合以外は出席しないでしょうが目に痛い赤を身にまとった男には不用意に近づかないように。次点で変な帽子を被った男にも近づかない方がいいだろう。君のようなきれいな子が近づいたら何をされるか分からない。」
「2人目の余所者の存在はまだ公にしていないから、普段のように欠席してくれれば楽なのだがな。だがおそらくアリスは女王や白ウサギに連れてこられるだろうから顔合わせができるな。夢子はあまり外に出たがらないから良い機会だろう。」
「だって、知らない土地で住人全員が武器を持っていると思うと怖くて…。」
「俺が付き合えればよかったんだが、会合の前は仕事が山積みで手が離せなかった。夢子、このまま塔に滞在してはどうだろうか。会合が始まって数時間帯すれば俺もいったん仕事を離れられるから、領土の中を案内しよう。」