[麗音]音遠戦
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「今大会も本日でベスト8が決まります! そして第一試合は、数あるチームの中でも唯一、女性のみの三人編成! 麗(音)!!」
審判の紹介と共に、音遠を先頭に麗チームが待機場へ現れる。
「対する火影は戦闘的に有利かと思われましたが、小金井選手が本日棄権! 小柄ながらその戦闘能力はかなり高い選手だけに、火影には痛い欠場です!!」
小金井が頭をかいて照れていると、顔を引きつらせた烈火が小金井の鼻をつまんだ。
「こら、初めて聞いたぞ!?」
「ゴメンよォ〜っ。今日は不調なんだぁ。でも、気ぃつけてね。他の二人は知んないけど、音遠は間違いなく強いよ。◯◯姉ちゃんの護衛もしてたし」
ええっ、と驚く全員に、◯◯は頷く。
『そうね。音遠は私の護衛兼、専属メイドだったわ』
「麗に存在してる女の中で一、二を争う実力者だからね」
◯◯が反対側にいる音遠を見ていると、視線に気付いた音遠は片足を後ろに引き、膝を曲げて挨拶した。これは君主に敬意を表して行う礼法である。
「だから気ぃ付けてね、烈火兄ちゃん!」
「てめ〜っ、脅すくらいならやっぱ参入しろよぉ」
「うるさいぞ烈火。小金井を休ませたのは僕だ。こいつは昨日の試合でかなり弱ってる。それとも勝つ自信がないのか?」
水鏡が口を挟むと、烈火の雰囲気が一変した。
「何ィ? 口縫いつけんぞ。あいつらの前にテメェぶっ殺してもいいんだぞ!!」
いつもの冗談とは違う乱暴な言い方に、すかさず風子が蹴りを入れて仲裁に入る。しかし二人は苛立たしげに背を向けるだけだった。
周囲は困惑し、ざわついた。
これから命をかけた戦いが始まろうとしているのに、よくない空気だと陽炎が不安に感じていると、横にいた◯◯が動いた。
◯◯は水鏡へ近付くと、彼の長い髪をつんと引っ張る。
「なんだ?」
『髪、ほつれてるから私が結ってあげる。座って?』
なかば強引に彼を座らせると、ひとつ結びにしていた紐を取り、さらりとした銀髪を指で
女性的な顔立ちゆえに普段から男女と呼ばれる水鏡にとって、リボンを飾られるのは酷く抵抗があるものだった。
『そんなに怖い顔しないで。ほら、かわいくなった』
水鏡が睨んでも◯◯は動じない。烈火へ挑発的な言葉をかけた罰なのだろうと、水鏡はため息と共に甘んじてリボンを受け入れた。
その様子は多くの観客達の注目を集め、羨ましいという声が密かに飛び交った。
そして反対側にいた音遠達も声を潜める。
「お姉様……、確かあの髪の赤い方は、お姉様がかつて仕えていた方だと」
「……ええ、そうね」
「では隣にいる男は、恋人ですか?」
音遠はぴくんと眉を吊り上げる。
「そんな事、あるはずないわ。早くリングへ上がりなさい」
「はい、姉様」
音遠の妹兵士のひとり、ショートヘアで小柄な体型をした
そして火影は土門が先鋒として上がった。
「亜希、いい? 無傷で倒すのよ。あなたの綺麗な体にシミひとつでも付ける事は私が許しません」
亜希の顎を持ち上げて音遠がそう告げると、亜希はうっとりと顔を赤らめて頷いた。
思わず土門は発狂する。
「ぬおーーーー!! 女同士でなにちちくりあっとんじゃ!? ちょっとトリハダたっちゃったぞ!!」
「鳥肌たつのはこちらの方よ。気品も美しさも微塵も感じない下品な男……駆逐します。姉様の為――」
そして審判の合図により、試合は開始された。
体格も力も土門が優勢に思われたが、幻覚魔導具の使い手である亜希に力技は通用しなかった。
彼女につけられている大きな首輪に、魔導具である"言霊"がはめられており、何かを唱えるたび土門は絶叫した。
時には数多の蛇で、時には女の裸体で精神を惑わせ、亜希は攻撃を重ねる。
幻覚を跳ね返す精神力がなければ解く事は不可能であったが、土門は自分を殴る事で衝撃を与え、無理やり精神を現実に戻した。
「所詮幻覚! より大きなショックで目覚める事ができらぁ!!」
「なら更に強い幻覚を作るだけさ! 活目せよ。数多の炎、炎! 炎!! 焼け腐れ!」
「があぁああぁ!!」
その言葉通り、土門は燃え盛る炎に体が焼かれる強い幻覚を見せられる。皮膚が焼け爛れ、声も出せないほどの熱さに奥歯をくいしばった。
(肉の焦げる匂い……っ、やべぇ、これが幻覚なんかに思えるかよ……っ)
「今、お前の脳は熱いという情報でクラッシュ寸前! もう覚めない!!」
膝をついた土門に、亜希は勝利を確信して言い放った。