紅麗の館
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
烈火達は様々なトラップや敵を欺き、最後であろう大きな扉の前までたどり着いていた。その重厚な扉を開くと、これまでとは比べものにならないほどの異質な空気に包まれていた。
――バサリ、漆黒の衣服が翼のようにはためき、最奥より仮面で顔を隠した男が振り返る。
彼こそが麗部隊の司令塔、紅麗。
まるでナイフを喉に突きつけられているかのような圧迫感に、全員が素早く身構える。
そして烈火が意気揚々と前へ出た。
「やっと会えたなコラぁ。姫はどこだ!」
しかし紅麗は答えず、烈火の仲間をひとりひとり確認する。
「……珍しい紅色の髪をした女を知っているはずだ。彼女はどこにいる?」
「テメェ! 姫だけじゃなく◯◯まで拉致ろうってのかよ!?」
"◯◯"、ついに明らかにされた名に紅麗の胸は打ち震えた。それを悟られぬようゆっくりとした動作で仮面に触れ、整える。
「ここにいないのなら貴様らに用は無い。だがここまで来れた事を評して、ひとついい物をくれてやろう」
紅麗は血で汚れた袋から、中身を取り出して見せた。
「役立たずの首」
烈火達がここに辿り着くまでに倒した敵のひとり、
「情けない男だ。こんな子供すら止められぬ木偶の坊」
部下をゴミのように床へ投げる行為に、烈火は激しい憤りを覚える。これ以上の会話は必要ないと判断し、炎を出して戦闘態勢に入った。
同じく紅麗も腕を掲げ、鮮やかな色をした烈火の炎とは異なる、まがまがしい炎を生み出す。そこからさらに形を変え、炎の化身、
天使と見紛うほどの美しい容姿をしながら、悪魔のように冷酷な笑みを浮かべ、主である紅麗の肩にしなだれかかる。
「
命じられた紅は真っ先に烈火へ飛びかかり、炎を全身に浴びせた。
「ぐぁあぁあああっっ!!」
「烈火!!」
「風子まて! 烈火はわざと紅を引き受けてるんだ!!」
すかさず水鏡が指揮を取り、土門と共に紅麗へ突進。先に水鏡が斬りかかるが、なぜか実体がなく紅麗は霧のように消えてしまった。
(幻術!?)
目を見張る間に、本体は水鏡の背後へ現れる。
「紅が烈火に向かったのは、烈火が一番強い事を認識したからだ。貴様らには目もくれなかったらしいな」
「ゴチャゴチャうるせぇよ!!」
すかさず土門が拳を撃ち込むが、難なくかわした紅麗は土門の腕をへし折り、頭を地面に叩き付けた。
背後から剣を振りかざす水鏡も、一瞬で紅麗の爪に斬り伏せられる。
「貴様ら相手に紅など不要」
あまりの速さに追えずにいた風子も、鳩尾に一撃をくらい、烈火も業火から振り切れずあっという間に全員が地面に倒れた。
歴然とした力の差。四人は決して弱くはなかったが、その遥か上に立つ紅麗の前では虫けらのようなものだった。
「悪いが私は急いでいる。貴様らに構っている暇はないのだ。己の弱さ、愚かしさ、浅ましさ……すべて
再びかざした紅麗の腕に、トドメを刺そうと紅の炎が渦を巻いた。