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白衣と眼鏡と落ちこぼれ教師

蛍光灯に照らされた部室内には二名の部員が居た。あまり目立たないが長身の男と、小柄で制服をだらしなく着た男だ。

長身の奴は上級生らしく、早瀬と原田が挨拶をする。ああ、と素っ気なく返して俺には目もくれず、持っていた一眼レフを拭く作業に戻った。

もう一人は同級生らしく、早瀬と原田に、よう、と声を掛けて、俺に興味津々な様子で近寄って来た。

ズボンからシャツの裾が半分だらしなく垂れて、髪は所々に跳ねている。きらきらした目で俺を見つめてくるので、困って隣の早瀬を見る。

「佐伯、こちらは金剛圭介くん。俺と同じクラスなんだ。金剛、こいつは佐伯。卓也と同じクラスなんだ。」

「こんちはー、佐伯です。」

佐伯は緩く笑って俺をにこにこと見つめる。
…なんかすげー興味持たれてるみたいだ……

「あ、ども。お邪魔します…」

「どーぞどーぞ。人数も少ないし出入り自由だからいつでも来て下さいー。金剛くんのことは卓也から結構聞いてるから見てみたかったんだよねー。へぇー、金剛くんってめっちゃかっこいいじゃん!」

「うわわ!やめろって、佐伯!」

原田が慌てて止めに入る。顔を赤くして俺を見てくる辺りにちょっと引いた。佐伯は変わってるっぽいし、上級生は窓際で一人我関せずって感じでカメラを拭いてるし、原田はこんなだし、写真部ってすげー変わり者ばっかなのかも…と思った。


「とまあ、こんな感じでかなり自由な部だからさ、誰が居ても皆気にしないし、いつでも来てよ。」

早瀬は俺の顔を見て、そう言う。なんか素直に友達として認めて貰ってるみたいで、そういう言葉が凄く嬉しいと思った。ありがとな、と小さく早瀬に返した。


「そう言えば先生まだ?」

早瀬が佐伯に聞く。

「うん、まだ見てないなあ。でも夏合宿のこと今日決めるから、来るのは来ると思うけど。」

「そっか。ちょっと先に色々決めとくか。」

早瀬はそう言って鞄を机に置き、鞄から数枚のプリントを取り出す。

「はい、これ書いて提出してね。一応形だけ必要らしいから。」

早瀬が原田と佐伯に配り、俺も渡される。
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