白衣と眼鏡と落ちこぼれ教師
学校に着き、今すぐにでも中河の所に行きたいところだが、授業があるので教室に向かう。
「おはよう。来たんだ。」
教室の前で早瀬と会う。二時限目が終わったところみたいだ。
「ああ、用事。」
そう答える俺に早瀬はきょとんとした顔をする。
「用事?学校に来るのが?」
「いや、中河。」
「…そういうこと。金剛は中河先生が好きなんだよね?」
無表情で早瀬が聞いてくる。
あまりにも図星過ぎる言葉に目を見開く。
「な…んで」
「いや、あんまりにも分かり易いから」
くすくすと早瀬は笑う。
「そんな分かり易い?俺」
「めちゃくちゃ。てか俺は金剛と友達だから気付いたのかも。」
友達………
その言葉に少し胸があたたかくなった。
他人が自分のことを知ったような顔するのも、“友達”なら悪くないかもしれない。
「中河先生と居るときの金剛って雰囲気柔らかいし。」
そんなに緩んだ顔してたんだろうか、と顔が熱くなる。
「滋(しげる)!」
少し離れたところから声がして、誰かが走って寄ってくる。
「部活のことで相談したいことが……」
――原田卓也……。
ばち、と目が合ってしまい、原田は気まずそうに視線を逸らした。
「どした?卓也。」
何も知らない早瀬は原田に顔を向ける。
「あ…いや、よう、圭介…」
ひょろっとした体格を縮こまらせて、気まずそうに視線を逸らしたまま、原田は挨拶してくる。
きり、としたつり目が頼りなさげに揺れている。
「……久しぶりだな、原田。」
自然と声が低くなってしまう。
「え、二人共知り合い?」
戸惑った様子の早瀬は俺と原田を交互に見る。
「ま、まあ……」
原田は歯切れ悪く答えると、早瀬に用件だけ伝え、せかせかと教室に戻って行った。
「…変な卓也。」
早瀬の呟きが廊下に小さく響いた。
「おはよう。来たんだ。」
教室の前で早瀬と会う。二時限目が終わったところみたいだ。
「ああ、用事。」
そう答える俺に早瀬はきょとんとした顔をする。
「用事?学校に来るのが?」
「いや、中河。」
「…そういうこと。金剛は中河先生が好きなんだよね?」
無表情で早瀬が聞いてくる。
あまりにも図星過ぎる言葉に目を見開く。
「な…んで」
「いや、あんまりにも分かり易いから」
くすくすと早瀬は笑う。
「そんな分かり易い?俺」
「めちゃくちゃ。てか俺は金剛と友達だから気付いたのかも。」
友達………
その言葉に少し胸があたたかくなった。
他人が自分のことを知ったような顔するのも、“友達”なら悪くないかもしれない。
「中河先生と居るときの金剛って雰囲気柔らかいし。」
そんなに緩んだ顔してたんだろうか、と顔が熱くなる。
「滋(しげる)!」
少し離れたところから声がして、誰かが走って寄ってくる。
「部活のことで相談したいことが……」
――原田卓也……。
ばち、と目が合ってしまい、原田は気まずそうに視線を逸らした。
「どした?卓也。」
何も知らない早瀬は原田に顔を向ける。
「あ…いや、よう、圭介…」
ひょろっとした体格を縮こまらせて、気まずそうに視線を逸らしたまま、原田は挨拶してくる。
きり、としたつり目が頼りなさげに揺れている。
「……久しぶりだな、原田。」
自然と声が低くなってしまう。
「え、二人共知り合い?」
戸惑った様子の早瀬は俺と原田を交互に見る。
「ま、まあ……」
原田は歯切れ悪く答えると、早瀬に用件だけ伝え、せかせかと教室に戻って行った。
「…変な卓也。」
早瀬の呟きが廊下に小さく響いた。