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白衣と眼鏡と落ちこぼれ教師

昼休み。理科準備室に行くと、扉の前で早瀬に会った。

「あ、金剛。今から勉強?」

と、閉じられたままの扉を指差す。口調は軽いが無表情だ。

「ああ。早瀬は?」

「俺は、写真部の連絡。今して来たとこ。」


廊下の話し声が聞こえたのか、がら、と扉が開き中河が顔を出す。

少し驚いた表情。

「なんだお前ら友達になったのか。」

「そうですよ。金剛くんって見た目によらず真面目なんですね。」

相変わらず無表情の早瀬が答える。

「そんないいもんじゃねえぞ、こいつ。服は正さねえし。」

しかめっ面で中河が答える。

俺は少しむっとして、朝からちゃんと勉強して来てんのにこの言いぐさかよ、と思う。

それを知ってるからか早瀬はくすっと小さく笑った。

「朝から真面目に勉強してたので、声掛けたんですよ。」

「なんだお前、いつからそんな真面目になったんだ。」

と、からかうように中河は言ってくる。

かなりむっとして俺は無視した。

そんな俺の様子に中河はくすくすと笑う。

…むかつく。

「おい、拗ねるなよ。お前が頑張ってんのはわかってるって。早瀬お前もう行け。金剛飯食うぞ。」

面白そうに俺と中河を見ていた早瀬は「わかりました」と言って教室に戻って行った。

むっつりしたまま理科準備室に入り、席に座る俺の背後で扉を閉める音がする。

「あー腹減った。早瀬が来たからまだ食べれてねえんだよ。」

中河はそう言いながらビニールの袋からいつもの幕ノ内弁当を取り出す。

「今日飯は?」

宙ぶらりんの俺の手元を見て中河が言う。

「あ……忘れた。」

何をぼけっとしてたのか朝コンビニで昼飯の分を買うのを忘れていた。

「俺の分けてやろうか?」

「…いらねえ。」

「腹減るぞ?」

「……いらねえ。」

「可愛くねえな。」

くっくっと中河が笑う。

「何だよ、怒ってんのか?」

「……はあ?」

怒ってる、という言葉に顔を上げる。

「なんだ、俺がからかったから怒ってんのかと思ったんだが。」

「…んな訳あるか」
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