女神転生
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まじまじとその手を見つめて数分。
ハレルヤくんは次第にきょろきょろと辺りを見回し、汗ばんできた手を握ったり、開いたりと落ち着かない様子だ。私が爪を親指で撫で始めると俯き、頬を赤らめながらか細い声で「もういいですか......」なんて言う。はっと、ぼんやりしていた頭が覚醒する。
「ご、ごめん。ありがとうね」
長いこと彼を拘束してしまった。鈍感な私は今更になって気づき、手を離す。
「突然手を見せてだなんて言ってごめんね」
「いや......それは構わないんですけど。その」
気まずい空気が漂う。発端が自分だと考えるだけで胸が苦しい。彼、ハレルヤくんは優しいから、渋々了承してくれただけかもしれないのに甘えてしまった自分が情けない。どうしよう、何を言おうと葛藤していたら、予想もしていない、真逆かの彼から口を開いた。
「勘違いしてません?」
「な、何を」
「俺、嫌なんて言ってません。寧ろ興味を持ってくれて、嬉しかったというか......ただ、女性に何分も見られた事ないから恥ずかしいというか......だから、気にしないでください」
真剣な顔で話してくれたものの、後半になるにつれ声が小さくなり、私から目線を逸らす。初 、という事だろうか。年相応の反応で、なんだか胸が弾む。ナナシくんやいつものハレルヤくんを見ていると、大人びているなと感じたからだ。アサヒちゃんは子供らしく、無邪気で可愛いらしい。まだ15歳なんだから好奇心旺盛でいて欲しいけれど、こんなご時世だ。仕方ないのかもしれない。
「......何笑ってるんですか」
「え? あぁ、馬鹿にしてる訳じゃないよ。年相応の反応が見れて嬉しいなって」
再び零れた笑みに、むっとした、拗ねたような顔付きが崩れじんわり桃色に染まる。「そう、ですか」と口元を手で隠しながら言葉を返してくれるハレルヤくん。コロコロ変わる表情がつい楽しくて、もっと弄りたくなる。
「そ、そういえば! なんで俺の手なんか見たかったんです?」
嫌な予感がしたのか話題をすり替えられた。ちょっとだけ残念だが、何故彼の手を見ようと考えたのか思い出す。
「手が綺麗だなぁと思ったのと、爪かな。マニキュア? だとしたら上手いねぇ」
そう答えた。
一瞬、ハレルヤくんの顔が曇る。
「......まぁ。そうですね。マニキュアですよ」
煮え切らない返しに、自分は地雷を踏んだんだと自覚する。
やってしまった。理由はどうあれ、聞かれたくない事を聞くのはタブーだ。慌てて弁解を求めようと無意識に手が宙を掴む。謝ろうと口を開こうとした瞬間、一回り大きな掌が私の手を包み込むように握った。他人の温もりに動揺して体が傾く。
「名無しさんは......例え俺が人じゃなくても、こうして話してくれますか」
そう紡いだ彼は、酷く寂しそうで。
「勿論。だって、ハレルヤくんなのには変わりないじゃない? 君が何者であれ私はずっと傍に居るよ」
力が強まる彼の両手に、もう片手を重ねて額をすり寄せる。そのせいで顔は見えなかったけれど
「ありがとう」
という、震えた声が降ってきた。
ハレルヤくんは次第にきょろきょろと辺りを見回し、汗ばんできた手を握ったり、開いたりと落ち着かない様子だ。私が爪を親指で撫で始めると俯き、頬を赤らめながらか細い声で「もういいですか......」なんて言う。はっと、ぼんやりしていた頭が覚醒する。
「ご、ごめん。ありがとうね」
長いこと彼を拘束してしまった。鈍感な私は今更になって気づき、手を離す。
「突然手を見せてだなんて言ってごめんね」
「いや......それは構わないんですけど。その」
気まずい空気が漂う。発端が自分だと考えるだけで胸が苦しい。彼、ハレルヤくんは優しいから、渋々了承してくれただけかもしれないのに甘えてしまった自分が情けない。どうしよう、何を言おうと葛藤していたら、予想もしていない、真逆かの彼から口を開いた。
「勘違いしてません?」
「な、何を」
「俺、嫌なんて言ってません。寧ろ興味を持ってくれて、嬉しかったというか......ただ、女性に何分も見られた事ないから恥ずかしいというか......だから、気にしないでください」
真剣な顔で話してくれたものの、後半になるにつれ声が小さくなり、私から目線を逸らす。
「......何笑ってるんですか」
「え? あぁ、馬鹿にしてる訳じゃないよ。年相応の反応が見れて嬉しいなって」
再び零れた笑みに、むっとした、拗ねたような顔付きが崩れじんわり桃色に染まる。「そう、ですか」と口元を手で隠しながら言葉を返してくれるハレルヤくん。コロコロ変わる表情がつい楽しくて、もっと弄りたくなる。
「そ、そういえば! なんで俺の手なんか見たかったんです?」
嫌な予感がしたのか話題をすり替えられた。ちょっとだけ残念だが、何故彼の手を見ようと考えたのか思い出す。
「手が綺麗だなぁと思ったのと、爪かな。マニキュア? だとしたら上手いねぇ」
そう答えた。
一瞬、ハレルヤくんの顔が曇る。
「......まぁ。そうですね。マニキュアですよ」
煮え切らない返しに、自分は地雷を踏んだんだと自覚する。
やってしまった。理由はどうあれ、聞かれたくない事を聞くのはタブーだ。慌てて弁解を求めようと無意識に手が宙を掴む。謝ろうと口を開こうとした瞬間、一回り大きな掌が私の手を包み込むように握った。他人の温もりに動揺して体が傾く。
「名無しさんは......例え俺が人じゃなくても、こうして話してくれますか」
そう紡いだ彼は、酷く寂しそうで。
「勿論。だって、ハレルヤくんなのには変わりないじゃない? 君が何者であれ私はずっと傍に居るよ」
力が強まる彼の両手に、もう片手を重ねて額をすり寄せる。そのせいで顔は見えなかったけれど
「ありがとう」
という、震えた声が降ってきた。
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