第1部 チャリング・クロス・ロード
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図書室での屈辱的な出来事の後、私はまるで抜け殻みたいになって、ハッフルパフの談話室へと戻った。
談話室の中は、暖炉に焚べられた薪がぱちぱちと音を立て、温かいオレンジ色の光が部屋全体を柔らかく包んでいた。
肌寒くなってきたとはいえ、まだ暖炉前に生徒はいない。
暖炉より少し離れたふかふかの黄色いソファや肘掛け椅子には、数人の生徒たちが集まって、談笑したり、チェスをしたり、静かに本を読んだりしている。
いつもの、穏やかで心地の良い場所。
でも今の私の心には、その温もりさえも届いていない。
一番隅の少し古びた肘掛け椅子に深く沈み込み、膝を抱えた。
ウィルの嘲るような声と、周りの生徒たちの好奇の視線が、まだ耳の奥と瞼の裏に焼き付いて離れない。
そして、先生に避けられているという、どうしようもない事実。
「…カレン? どうしたの、元気ないね」
不意に、すぐそばから優しい声がした。
顔を上げると親友のミランダがマグカップを1つ持って、心配そうに私の顔を覗き込んでいた。
彼女は何も言わずに隣に腰を下ろし、温かいココアを差し出した。
「ミランダのでしょ?」
「いいのよ、遠慮しないで。すぐにまたとってくればいいんだから。」
マシュマロがトッピングされた白いマグカップを私の手に握らせてくれた。
甘く、優しい香りがふわりと鼻をくすぐる。
一口遠慮がちに飲むと、たちまちお腹が空いてきてゴクリ、ゴクリとココアを胃へ入れていく。
ずいぶん疲れていたようで甘いものを欲しがっていたのだ。
「…ミランダ」私は、俯いたまま呟いた。「私、やっぱり、諦めた方がいいのかな。先生のこと」
「え? 何かあったの?」
私は、図書室での出来事を、ぽつりぽつりと話し始めた。
ウィルに言われたこと。
周りの生徒たちの反応。
そして、先生に避けられていること。
話しているうちに、堪えていた涙が、ぽろぽろと零れ落ちてきた。
「ひどい、ウィルのやつ…!」
ミランダは、私の話を聞き終わると、自分のことのように憤慨してくれた。
「あいつ、いっつも人のこと馬鹿にして! 今度会ったら、ウチがガツンと言ってやるんだから!」
「ううん、いいの…」
私は首を横に振った。
「ウィルが言ったことは、もしかしたら、みんなが思ってることなのかもしれない。それに、今一番恥ずかしいのはすぐに反論できなかった自分なの。この好きって気持ちはそんな程度のものだったのか…って自分に呆れちゃって。」
「カレンそれは違うよ。あなたは顔に出るタイプだし言い負かすタイプじゃないもの。それにウィルってほんとやな奴だし。」
ミランダは膝ごとカレンに向けて説得するように伝えた。
「でも、でも、私やっぱり変なんだよ。それに、先生も私のこと迷惑だって思ってる…」
「そんなことないって!」ミランダは、私の肩を優しく叩いた。「カレンが一途で優しい子だって、ウチは知ってるもん。先生だって、本当は分かってるはずだよ。ただ、今はその、先生も何か色々あるんじゃないかな。カレンが知らないだけで」
「色々…か」
ミランダが必死で励まそうとしてくれる姿に、自分のことで精いっぱいだったが、周りが見れるようになってきた。
「ウチも詳しくは知らないけどさ」
ミランダは声を潜めた。
「最近、クィレル先生、なんか思い詰めてるみたいだって、他の寮の子も噂してたよ。難しい研究してるとか、ダンブルドアに呼び出されたとか…。だから、今はちょっと余裕がないだけかもしれないでしょ?」
ミランダの言葉は、慰めかもしれない。
でも、少しだけ私の心を軽くしてくれた。
そうかもしれない。
そうじゃなくてもそう考えないと。
先生も何か大きな問題を抱えているのかもしれない。
もしかしたら、私のことなんてそもそも気にもしていないかも…。
「まあカレン。そんな隅っこでメソメソしちゃめだよ?」
ミランダがちょっとおどけたように私の肩をたたく。
「別に、メソメソなんかしてない」
私は、うっすら浮かべていた涙を拭ってむすっと言い返した。
「もう嘘つき~」
ミランダは揶揄うように笑った。
「いい?カレン。厳しいこというけど、相手は教師でカレンは生徒。それだけでもハードル高いのに、加えてあのクィレル先生よ? 別に悪い人じゃないかもしれないけど、親友をあずけるには正直、頼りないし、いつもビクビクしてるし…。カレンにはもっと釣り合う相手がいるかなとも思うよ。」
ミランダはそこで少しだけ言葉を切った。
そして、真剣な目で私を見つめて言った。
「あの先生なんか妙な『影』がある気がするのよ。うまく言えないけど。」
ミランダの言葉は私を心の底から心配するような響きがあった。
そして、その「影」という言葉が私の心の奥底で、小さな不安の種を芽生えさせた。
「…そうだけど…そうね」
私は、そう言い返すのが精一杯だった。
ミランダは、それ以上は何も言わなかった。
ふと談話室に再び暖炉の火が爆ぜる音と、他の生徒たちの楽しげな声が戻ってきた。
私の心の中には、ミランダの言葉が重く響いていたけれど、けれど少し光がさして気がした。
「影」
先生が抱えているかもしれない、その正体の分からないもの。
それは、私が想像しているよりも、ずっと暗く、深いものなのかもしれない。
ミランダが渡してくれたココアは、もうすっかり冷めてしまっていた。
外はもう、冬の始まりを告げるような冷たい雨が降り始めていて、窓ガラスを静かに叩いている。
その午後は、湿った土と青草の匂いがした。
薬草学の授業で使った道具を片付けに温室へ向かう途中、通路の先で、重そうな魔法薬の材料が入った籠をいくつも運んでいるクィレル先生の姿を見つけた。
浮遊魔法を使ってはいるが量の多さに、前方が見えていない様子で、曲がり角でバランスを崩し、今にも籠の一つを落としそうになっている。
私は、考えるより先に駆け寄っていた。
「先生、お持ちします!」
落としそうだった籠を咄嗟に支える。
先生は驚いたように私を見た。
「…すまない、カレン君…助かるよ。」
彼の小さな声が、雨上がりの澄んだ空気の中に響いた。
二人で並んで籠を運ぶ。
すぐ隣に先生がいる。
彼のローブから漂う古いインクと羊皮紙の匂い、そして、それだけではない、何か…甘いような、薬草のような、不思議な匂い。
ぎこちない沈黙が続く中、目的地に着いた。
薬草学の教室に入り籠を降ろす。
この大量の荷物は何だったのかと思ったが、摘み取った大量の薬草だったようだ。
「先生、これで最後ですか。温室にまだ在庫があるとか」
「い、いえ、すべて持ってきたのでこれで全部です。」
何か別の話題を振ろうとクィレル教授の顔へ視線をやる。
寒いですね、とかターバンはなぜつけているのですか、
1年生が質問するような内容ばかりが頭に浮かび言いよどんでいると、先生が、俯いたままぽつりと言った。
「…その、いつも…すまないね。君に、迷惑ばかり…」
「迷惑なんかじゃありません!」
思わず大きな声が出てしまった。
「私が、好きでやってることですから。」
先生は驚いたように顔を上げて隣に立つ女子生徒の顔を久しぶりに注視した。
その薄茶色の瞳が、戸惑ったように揺れている。
だが先に視線を逸らしたのは、先生の方だった。
私は少し残念に思いながらも彼の少し癖のある髪や、緊張のためか微かに震えている指先を盗み見ていた。
すると、先ほど薬草に交じって鼻孔に届いた甘い香りの正体がわかった。
彼の袖口からバニラのようなムスクも少し入った香りがするのだ。
私は思わず動きを止めた。
先生が、こんな良い香りをさせているなんて。
まさか、香水…? それとも、誰かにもらったハンドクリーム…?
女性ものに分類されやすい香りであることは間違いない。
その考えが頭をよぎった瞬間、胸が、チクリと痛んだ。
まるで、冷たい針で刺されたみたいに。顔には出さないように、必死で平静を装う。
でも、心臓が嫌な音を立てて、どきどきと早鐘を打ち始めた。
「先生、あの…」
先生が訝しげな顔でこちらを見た。
「…どうかしましたか、カレン君。」
彼の声はいつも通り少し頼りなく、そして丁寧だった。
「なんだか、とても、いい香りがするので女性からの贈り物かなと思いまして…」
視線を彼の袖口にやる。
その瞬間、先生の顔色が変わった。
みるみるうちに耳まで赤くなり、目が泳ぎ始める。
その動揺ぶりは、尋常ではなかった。
「これは、そ、そのようなものではありません。マグル式のケーキ作りを試していたせいで」
彼は明らかに狼狽しながら否定した。
「き、気のせいでしょう! ええ、きっとそうですとも!」
私が言いかけると、彼はさらに慌てて、香りのした方の手を、まるで何かを隠すかのように、ローブの後ろにさっと引っ込めた。
先生でもケーキ作りをするのか、見てみたかったな。
きっと可愛いだろうなと思うと、緊張していたのがウソみたいに自然な笑みが現れた。
「先生が作ったケーキならとても美味しいでしょうね。」
私の言葉に動揺を見せたが、彼はバツが悪そうな笑みを浮かべた。
きっとそんな言葉をかけられたことが無かったのだろう。
耳は赤いままだった。
冬の空には珍しく弱弱しい虹がかかっていた。
談話室の中は、暖炉に焚べられた薪がぱちぱちと音を立て、温かいオレンジ色の光が部屋全体を柔らかく包んでいた。
肌寒くなってきたとはいえ、まだ暖炉前に生徒はいない。
暖炉より少し離れたふかふかの黄色いソファや肘掛け椅子には、数人の生徒たちが集まって、談笑したり、チェスをしたり、静かに本を読んだりしている。
いつもの、穏やかで心地の良い場所。
でも今の私の心には、その温もりさえも届いていない。
一番隅の少し古びた肘掛け椅子に深く沈み込み、膝を抱えた。
ウィルの嘲るような声と、周りの生徒たちの好奇の視線が、まだ耳の奥と瞼の裏に焼き付いて離れない。
そして、先生に避けられているという、どうしようもない事実。
「…カレン? どうしたの、元気ないね」
不意に、すぐそばから優しい声がした。
顔を上げると親友のミランダがマグカップを1つ持って、心配そうに私の顔を覗き込んでいた。
彼女は何も言わずに隣に腰を下ろし、温かいココアを差し出した。
「ミランダのでしょ?」
「いいのよ、遠慮しないで。すぐにまたとってくればいいんだから。」
マシュマロがトッピングされた白いマグカップを私の手に握らせてくれた。
甘く、優しい香りがふわりと鼻をくすぐる。
一口遠慮がちに飲むと、たちまちお腹が空いてきてゴクリ、ゴクリとココアを胃へ入れていく。
ずいぶん疲れていたようで甘いものを欲しがっていたのだ。
「…ミランダ」私は、俯いたまま呟いた。「私、やっぱり、諦めた方がいいのかな。先生のこと」
「え? 何かあったの?」
私は、図書室での出来事を、ぽつりぽつりと話し始めた。
ウィルに言われたこと。
周りの生徒たちの反応。
そして、先生に避けられていること。
話しているうちに、堪えていた涙が、ぽろぽろと零れ落ちてきた。
「ひどい、ウィルのやつ…!」
ミランダは、私の話を聞き終わると、自分のことのように憤慨してくれた。
「あいつ、いっつも人のこと馬鹿にして! 今度会ったら、ウチがガツンと言ってやるんだから!」
「ううん、いいの…」
私は首を横に振った。
「ウィルが言ったことは、もしかしたら、みんなが思ってることなのかもしれない。それに、今一番恥ずかしいのはすぐに反論できなかった自分なの。この好きって気持ちはそんな程度のものだったのか…って自分に呆れちゃって。」
「カレンそれは違うよ。あなたは顔に出るタイプだし言い負かすタイプじゃないもの。それにウィルってほんとやな奴だし。」
ミランダは膝ごとカレンに向けて説得するように伝えた。
「でも、でも、私やっぱり変なんだよ。それに、先生も私のこと迷惑だって思ってる…」
「そんなことないって!」ミランダは、私の肩を優しく叩いた。「カレンが一途で優しい子だって、ウチは知ってるもん。先生だって、本当は分かってるはずだよ。ただ、今はその、先生も何か色々あるんじゃないかな。カレンが知らないだけで」
「色々…か」
ミランダが必死で励まそうとしてくれる姿に、自分のことで精いっぱいだったが、周りが見れるようになってきた。
「ウチも詳しくは知らないけどさ」
ミランダは声を潜めた。
「最近、クィレル先生、なんか思い詰めてるみたいだって、他の寮の子も噂してたよ。難しい研究してるとか、ダンブルドアに呼び出されたとか…。だから、今はちょっと余裕がないだけかもしれないでしょ?」
ミランダの言葉は、慰めかもしれない。
でも、少しだけ私の心を軽くしてくれた。
そうかもしれない。
そうじゃなくてもそう考えないと。
先生も何か大きな問題を抱えているのかもしれない。
もしかしたら、私のことなんてそもそも気にもしていないかも…。
「まあカレン。そんな隅っこでメソメソしちゃめだよ?」
ミランダがちょっとおどけたように私の肩をたたく。
「別に、メソメソなんかしてない」
私は、うっすら浮かべていた涙を拭ってむすっと言い返した。
「もう嘘つき~」
ミランダは揶揄うように笑った。
「いい?カレン。厳しいこというけど、相手は教師でカレンは生徒。それだけでもハードル高いのに、加えてあのクィレル先生よ? 別に悪い人じゃないかもしれないけど、親友をあずけるには正直、頼りないし、いつもビクビクしてるし…。カレンにはもっと釣り合う相手がいるかなとも思うよ。」
ミランダはそこで少しだけ言葉を切った。
そして、真剣な目で私を見つめて言った。
「あの先生なんか妙な『影』がある気がするのよ。うまく言えないけど。」
ミランダの言葉は私を心の底から心配するような響きがあった。
そして、その「影」という言葉が私の心の奥底で、小さな不安の種を芽生えさせた。
「…そうだけど…そうね」
私は、そう言い返すのが精一杯だった。
ミランダは、それ以上は何も言わなかった。
ふと談話室に再び暖炉の火が爆ぜる音と、他の生徒たちの楽しげな声が戻ってきた。
私の心の中には、ミランダの言葉が重く響いていたけれど、けれど少し光がさして気がした。
「影」
先生が抱えているかもしれない、その正体の分からないもの。
それは、私が想像しているよりも、ずっと暗く、深いものなのかもしれない。
ミランダが渡してくれたココアは、もうすっかり冷めてしまっていた。
外はもう、冬の始まりを告げるような冷たい雨が降り始めていて、窓ガラスを静かに叩いている。
その午後は、湿った土と青草の匂いがした。
薬草学の授業で使った道具を片付けに温室へ向かう途中、通路の先で、重そうな魔法薬の材料が入った籠をいくつも運んでいるクィレル先生の姿を見つけた。
浮遊魔法を使ってはいるが量の多さに、前方が見えていない様子で、曲がり角でバランスを崩し、今にも籠の一つを落としそうになっている。
私は、考えるより先に駆け寄っていた。
「先生、お持ちします!」
落としそうだった籠を咄嗟に支える。
先生は驚いたように私を見た。
「…すまない、カレン君…助かるよ。」
彼の小さな声が、雨上がりの澄んだ空気の中に響いた。
二人で並んで籠を運ぶ。
すぐ隣に先生がいる。
彼のローブから漂う古いインクと羊皮紙の匂い、そして、それだけではない、何か…甘いような、薬草のような、不思議な匂い。
ぎこちない沈黙が続く中、目的地に着いた。
薬草学の教室に入り籠を降ろす。
この大量の荷物は何だったのかと思ったが、摘み取った大量の薬草だったようだ。
「先生、これで最後ですか。温室にまだ在庫があるとか」
「い、いえ、すべて持ってきたのでこれで全部です。」
何か別の話題を振ろうとクィレル教授の顔へ視線をやる。
寒いですね、とかターバンはなぜつけているのですか、
1年生が質問するような内容ばかりが頭に浮かび言いよどんでいると、先生が、俯いたままぽつりと言った。
「…その、いつも…すまないね。君に、迷惑ばかり…」
「迷惑なんかじゃありません!」
思わず大きな声が出てしまった。
「私が、好きでやってることですから。」
先生は驚いたように顔を上げて隣に立つ女子生徒の顔を久しぶりに注視した。
その薄茶色の瞳が、戸惑ったように揺れている。
だが先に視線を逸らしたのは、先生の方だった。
私は少し残念に思いながらも彼の少し癖のある髪や、緊張のためか微かに震えている指先を盗み見ていた。
すると、先ほど薬草に交じって鼻孔に届いた甘い香りの正体がわかった。
彼の袖口からバニラのようなムスクも少し入った香りがするのだ。
私は思わず動きを止めた。
先生が、こんな良い香りをさせているなんて。
まさか、香水…? それとも、誰かにもらったハンドクリーム…?
女性ものに分類されやすい香りであることは間違いない。
その考えが頭をよぎった瞬間、胸が、チクリと痛んだ。
まるで、冷たい針で刺されたみたいに。顔には出さないように、必死で平静を装う。
でも、心臓が嫌な音を立てて、どきどきと早鐘を打ち始めた。
「先生、あの…」
先生が訝しげな顔でこちらを見た。
「…どうかしましたか、カレン君。」
彼の声はいつも通り少し頼りなく、そして丁寧だった。
「なんだか、とても、いい香りがするので女性からの贈り物かなと思いまして…」
視線を彼の袖口にやる。
その瞬間、先生の顔色が変わった。
みるみるうちに耳まで赤くなり、目が泳ぎ始める。
その動揺ぶりは、尋常ではなかった。
「これは、そ、そのようなものではありません。マグル式のケーキ作りを試していたせいで」
彼は明らかに狼狽しながら否定した。
「き、気のせいでしょう! ええ、きっとそうですとも!」
私が言いかけると、彼はさらに慌てて、香りのした方の手を、まるで何かを隠すかのように、ローブの後ろにさっと引っ込めた。
先生でもケーキ作りをするのか、見てみたかったな。
きっと可愛いだろうなと思うと、緊張していたのがウソみたいに自然な笑みが現れた。
「先生が作ったケーキならとても美味しいでしょうね。」
私の言葉に動揺を見せたが、彼はバツが悪そうな笑みを浮かべた。
きっとそんな言葉をかけられたことが無かったのだろう。
耳は赤いままだった。
冬の空には珍しく弱弱しい虹がかかっていた。
