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サーモンピンク色の空と太陽。
月と星。
今は見慣れた私の“いつもの”風景。
ビルス様の星へ来て五年がたった。
地球生まれの地球育ち。
平凡でいて、ごく普通の生活が変わってしまったのは、もう随分前の事だ。
お世話係と連れてこられた私。
一度は離れ離れになった時もあったけれど。
ビルス様と同じ様に寿命も伸ばされ...
今は幸せ、だと思う。
夢主ばガラスの箱の前に居た。
それは…いつだったか数年程前に知った事。
掃除をしていた私。
あの頃は舞空術も使えずにいて。
私は伸びをし、拭く。
『んー届かない。
えいっ!』
夢主はぴょんと飛んで見せる。
届かない…
「お前、何してるの…」
背後から声、ビルス様。
『あっ、ビルス様おはようごさいます。
あの…
上に手が…』
「よく働くよねぇ…」
声が近くなった、と同時に浮く体。
『ほぇ?』
「どんな声だ」
ビルス様の体が密着して、夢主は宙に浮く。
ビルス様の胸元が耳に…
私、抱きしめられてる!?
『び、び…
ビルス様…!?』
「早く拭いたら?」
『あっ、はい。
って…これ…』
高い位置に来て初めて見た。
ガラスの箱に丁寧に入れられたモノ。
ビルス様の正装に着いてる菱形の模様と、青い線と…
円形につく、布はビルス様が腰から下げているあの布。
あとは白い布の様な長い。
「手が痺れるだろ、早くしなよ。」
『あっ、はい』
夢主は言われ慌てて拭く。
キュッキュッと音がなって、光り輝くガラス。
ビルスは夢主が拭いたのを確認すると地へと下ろした。
『あの、ビルス様…
あれは一体…』
「知りたいの?」
ビルスは囁いてから腰にある手を離し、ガラスの箱を見上げる。
「あれは…神の集会に着ていく正装だ。
大切な神々の集会時...招集のみだけ、な。」
『今着ているのが正装じゃないのですか?』
「正装ではあるけど…
ちゃんとした集会に着て行く…ヤツ。
特別な正装って言えばいいか…」
『そうなんですね。
特別な正装…』
目をキラキラさせる夢主を不思議に思ってビルスはそのまま疑問を口にした。
「お前、そんなにアレが気になるの?」
『はい、見てみたいです!
つけてらっしゃる所』
「おバカ。お前には100年早いわ…
ってか、コレを着る事態が起こったら困るんだけど…」
ビルスはため息を吐くと、お腹空いたと付け足し私を見た。
その日から夢主は時折こうして見に来ていた。
『特別な正装…かぁ』
「夢主、どこ?
って、また?」
ビルス様が呼ぶ、私の名前を。
あの頃はまだ、お前だったりキミだったりして。
目を落とせばビルスが下に。
『ビルス様…』
「ボクを見下ろすとは…
いい度胸じゃないか。」
『あっ、すみません…』
慌てて夢主はビルス様の隣へ飛び降りた。
『あ、あの。
ご用でしたか?ビルス様』
「特には無いけど。」
ビルスはそう言うと夢主の背から手を回し後ろから抱きしめて来る。
「目を離したら…
大体夢主はココにいるんだから。
そんなに好きか?」
『ビ、ルス様…!』
「身を固くしちゃって…
どうしたの夢主」
後ろから抱きしめる手を強くするビルス。
笑うビルス様の振動が直接来て、伝わる温もりと、耳元に声が響いて伝わる。
くすぐったい…
ビルスはニヤリと笑うと耳元に口を寄せて、囁いた。
「夢主…」
『ひゃあ!』
「なんて声だしてんのさ。」
『だってビルス様…
…っう』
密着する体が耐えられない。
緩んだ隙をついて夢主はするりとビルスの腕から抜け出る。
「ちぇっ。面白くない。」
『ご、ごめんなさい。
でもビルス様…あの…』
「今更恥ずかしがる所?
昨日の時だって…ボクの腕で…」
『ちょ…ビルス様。
嫌!待っ…て。
ストップ…。
言わないで下さいー!!』
夢主は慌ててビルスの口を塞ぐ。
しまった!やり過ぎた!?
口を塞がれたビルス様の双眼が心なしか…
ヤバイ、怒ってる…!?
夢主は慌てて手を離したが、その手をビルスは引いた。
「何、恥ずかしいの?
ふぅん…
夢主…」
近くなるビルス様、意地悪な瞳で覗く。
これはもしかして。
キ
キスでは…?
夢主は目をぎゅっと瞑った、その時。
「ビルス様ー!出来ました。
お食事ですよー!」
「ッチ、ウイスのヤツ…」
『た、助かった…』
「助かった…?何がさ…
あーあ、つまんないったらない。」
ビルスは夢主を離して口角を尖らせた。
恋仲になって2年余りで。
深い恋仲になったのはつい最近だが…
最初にあった時とは思えない。
スキンシップが多くなったこの頃。
二人っきりだと特に多く。
何かあれば抱きしめて来たり、抱きついて来たりするビルス様。
恋仲とは言え、恥ずかしいモノは恥ずかしい訳で。
『うぅ…
慣れない、なぁ』
夢主はペチペチと頬を叩く。
熱が集中して、熱い。
キス所か、抱きしめ合う以上の事はしていて。
確かに今更なのだが…。
あの時とは違うんだって…!
って、私何考えてるの??
『ビルス様、わ、私。
ウイスさん手伝って来ますー!』
夢主はそう言い残しビルス様を追い越すと脱兎の如くその場を後にする。
「逃げた…
慣れてよね…全く。」
残されたビルスはつまらなそうにそう囁いた。
***
ビルス様と一緒に食事を済ませて夢主はウイスに渡されたウイス特製の本を読む。
『えっと…
おはようございますが、“スマイザゴウヨハオ”
おやすみなさいが“イサナミスヤオ”
失礼しますが...何だっけ?』
「スマシイレツシ」
『あ、ウイスさん
えっと…』
「スマシイレツシ、です。
随分覚えて来ましたね…。」
笑うウイスにまだまだですよぉと夢主は言いテーブルに顔を乗せた。
数ヶ月前にビルス様から言われた事。
「夢主、そろそろ神の言語を覚えても良いんじゃない?
だろ、ウイス」
膝の上に頭を乗せていたビルス様が言った。
側でお茶をしていたウイスはそうですねぇ…と。
それから時間が空けばこうして神の言語を覚えているのだ。
「夢主さん。
出来るだけ早く…
神の言語を覚えてくださいね。」
『うぅ…
難しいですね、頑張ります…!』
「あら、良い返事で…
ですが…ビルス様が我慢が出来ないみたいで。
本当、せっかちなんですから…」
我慢が出来ない?
ハテナマークを頭に浮かべる夢主。
ウイスはクスクスと笑うとじっとしていてくださいねと言い夢主をロッドで翳した。
「ほほいのーほーい」
『ウイスさん?』
光が包み込んで、夢主の服装が変わる。
白い服に包まれ、頭にシンプルな白いリボンがついた夢主が現れる。
『え?
何…??』
「あら、可愛らしい。
流石は私ですね…」
着慣れない白いワンピースと言うか、ドレスの様な。
「あなたの生まれた星に近づけてみました。
ビルス様がお隣のお部屋でお待ちですよ。
さあ…行ってください。」
『…?えっ、と…
ウイスさんは?』
「私は…行けないんですよ。
…行きたいのですけど。」
柔らかな笑みをし、ウイスは扉へと手を引く。
「…みたいですね…」
『えっ?』
最初が聞こえなかった夢主はウイスへと向いた。
ウイスは何も言わず、扉の前へと夢主を誘導する。
「さあ、ここからはお一人で。
“○×○○○××○○××○○×”」
最後は神の言語。
なんて言ったの??
夢主は深く息を吸って吐くと扉を開いた。
そこは広い広い広間。
天囲は至ってシンプルな明かり。
中心に立つのはビルス様、なのだが…
『………?
ビルス様…?』
「神の言語が良いか…
…夢主の言葉が良いか。
迷った…」
ゆっくりビルス様へ近づいてく。
ビルス様はと言うと頭に王冠の様な物を被り、床に付きそうな白いマントの様な布を纏っていた。
あの“特別な正装”で立つビルス。
『ビルス様…その正装…
あの...特別な集会でもあるのですか?』
「違う!このバカ!
夢主が見たいって言ってただろ。
…うーん。やっぱりここは…」
ビルス様そう言うと、黙って。
ゆっくり夢主へと近づいた。
ヒラヒラと白い正装が揺れて。
目の前、垂れた布から時折見える双眼。
夢主の目の前まで来るとビルスはそのまま腰を下ろし跪いた。
えっ、ビルス様が
跪いてる!??
『び、ビルス様…!?』
「夢主
…私と結婚してください。」
突然の結婚宣言と今の状態に夢主は頭がパニックになった。
しかもビルス様が私??
まさかの敬語?!
『ビルス様…
あ、あの。』
「…聞こえてないのか…
夢主…
私と…
結婚して下さい。」
『あっ…ビルス様...、』
夢主は膝を下ろしビルス様の肩を掴み覗く。
「…返事…
聞いてないんだ…いや聞いてません、が…
夢主…」
『ビルス様…えっ、と…』
頬を染めて、慌てる夢主。
その顔にビルスはフッと笑う。
「…らしくないか。
じゃあ…
“ウヨシンコッケ、テイニバソノクボウョシッイ”」
『神の言語…??
あの…』
「聞かせてよ、返事。
この体勢…結構疲れるんだ」
『えっ、あの…
わ、私で良ければ…ビルス様…』
「ボクは夢主が良い…
“ダキストッズトッズ”」
ビルスはそのまま夢主を抱きしめてから剥がし、そっと唇へと唇で触れた。
今まで受けた中で一番甘い…
甘い口づけ。
神の言語…甘い告白。
一生離さないで…下さい。
(スマイテシイア…ビルス様。)
夢主は笑ってビルスへと顔を埋める。
スマイテシイア…
夢主のまさかの神の言語の告白にビルスは顔を染めたが、夢主は気がつく事はなく。
スマイテシイア…
まだボクには言えそうにない。
だけど、一生離さない。そう誓って。
一生に一度の破壊神のプロポーズ…
扉からウイスが覗き、さっきの言葉をもう一度言った。
「バージンロードみたいですね。
って、そうですね。
この場合、私は花嫁さんを運ぶバージンロードを渡り花嫁を運ぶって所でしょうか。
改めて…
“スマイザゴウトデメオンコッケ”夢主さん」
(ううん、なんかスイッチ入っちゃった…)(び、ビルス様…首に)(夢主…別の事したい)(…?ってダメです、ビルス様…!)(そんな服で来るから…)(服はウイスさんが、ってダメだったらダメです!)(ビルス様ー。おやつが出来上がりましたよー。)(あいつ、またか...)
ウイスの意地悪?
~fin~
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