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「そろそろ、ウイスさんが何者なのか教えていただいても良いと思うんですけど。」
この話し出しも通算で2桁に突入するかという頃になっても、ウイスさんはお馴染みのように同じフレーズで返してくる。
「ですから、何度も言ってるじゃありませんか。私はウイスという生命体…」
「そんなアバウトな感じでは無くて!です!」
わざとらしく、「そう言われましてもねぇ。」と顎に手を添えるウイスさんをジッと凝視する。
「あなたはどう思いますか?」
「またそれですか…。分からないから聞いてるんですよ…。」
「まぁまぁ。考察をせずに答えだけを求めるのは良くない事ですよ?」
「毎度考察の後に回答をもらった記憶が無いのですが、ひょっとしてウイスさんは記憶を操作する力も持っていますか?」
「おほほ!さあ?どうでしょう。」
これだ。
いつだって、この会話の後はうやむやにされてしまう。
いつだって、この人は私に本当の事なんて教えてはくれないんだ。
「今日の回答は出ましたか?」
私の憂鬱なんて露知らず、隣でワクワクと答えを待っているウイスさんにため息をつく。
「……待ってください。今考えます。」
破壊神の付き人で、師匠で、時間を巻き戻せて、宇宙一早く移動できて…。
何回も考えた手がかりを今日もまた反芻する。
多少の違いはあれど、ここまでの流れがいつものパターンだ。
「そうですね…破壊神の破壊した命を回収する死神…とか?」
「おや、以前の宇宙を創り出した創造神という考察とは似ても似つきませんね。」
「…今はこっちの方がしっくり来る気がします…。」
「まあっ!とうとうバレてしまいましたか〜!」
「信じますよ!?私、ウイスさんなら有り得なくないと思ってますからね?」
こうやって、分かりやすい嘘でけむに巻いてしまうんだ。
前のめりだった身体から力を抜いて椅子にもたれる。
「私たち、なんで恋人同士なんでしょうね…。」
「…どういう意味です?」
脱力し考える事を放棄した脳から制止がかかる事もなく、言葉が口を割った。
「私、ウイスさんの事全然知らないし…ウイスさんは、教えてくれる気がさらさら無いみたいだし…。」
少しずつ積み重なっていた不満や不安は胸の奥の黒い感情と結びつき言葉を押し上げていく。
「本当はこんな関係だって…」
ーー不意に、口元を軽く押さえられ言葉を発せなくなる。
驚いて視線を滑らせると腕を伸ばしているウイスさんと目があった。
「秘すれば花、と言う言葉はご存知ですか?」
手を退けられ、喋れるようになっても答えない私にウイスさんが困り顔で笑う。
「秘密めかすから価値を持つ。勿体ないじゃありませんか。全てを明かしてしまうのは。」
しかめっ面を作り尚も納得しない私にウイスさんは続ける。
「それに、こうして暴こうとして下さる時は、私の事で頭が一杯でしょう?」
それを狙って頑なに明かさない。ウイスさんの主張。
それも確かにあるとは思う。
でも。本心はきっと…。
そう長い付き合いじゃ無いけど感じ取れたことはある。
ウイスさんは言葉に本音を少し入り交ぜて、根本の見せたくない本心は別の所に忍ばせるんだ。
「私、思うんですけど、ウイスさんの本心はもっと別の所にあるんじゃないかなって。」
ウイスさんの瞳が少しだけ揺れた。
私の顔を見つめ口をつぐみ、長考する。
(全て明かしてしまうと、あなたは私に興味を抱けなくなってしまいませんか…?)
「…どうなんですか?」
身を乗り出した私の両頬を包み、額をくっつける。
「その調子でもう少しだけ、私に執心していて下さい。」
はむように合わせられた唇に懇願されているような感覚を覚え、この問答はまだもうしばらく続きそうだ、なんて考えながらそっと目を閉じた。
この話し出しも通算で2桁に突入するかという頃になっても、ウイスさんはお馴染みのように同じフレーズで返してくる。
「ですから、何度も言ってるじゃありませんか。私はウイスという生命体…」
「そんなアバウトな感じでは無くて!です!」
わざとらしく、「そう言われましてもねぇ。」と顎に手を添えるウイスさんをジッと凝視する。
「あなたはどう思いますか?」
「またそれですか…。分からないから聞いてるんですよ…。」
「まぁまぁ。考察をせずに答えだけを求めるのは良くない事ですよ?」
「毎度考察の後に回答をもらった記憶が無いのですが、ひょっとしてウイスさんは記憶を操作する力も持っていますか?」
「おほほ!さあ?どうでしょう。」
これだ。
いつだって、この会話の後はうやむやにされてしまう。
いつだって、この人は私に本当の事なんて教えてはくれないんだ。
「今日の回答は出ましたか?」
私の憂鬱なんて露知らず、隣でワクワクと答えを待っているウイスさんにため息をつく。
「……待ってください。今考えます。」
破壊神の付き人で、師匠で、時間を巻き戻せて、宇宙一早く移動できて…。
何回も考えた手がかりを今日もまた反芻する。
多少の違いはあれど、ここまでの流れがいつものパターンだ。
「そうですね…破壊神の破壊した命を回収する死神…とか?」
「おや、以前の宇宙を創り出した創造神という考察とは似ても似つきませんね。」
「…今はこっちの方がしっくり来る気がします…。」
「まあっ!とうとうバレてしまいましたか〜!」
「信じますよ!?私、ウイスさんなら有り得なくないと思ってますからね?」
こうやって、分かりやすい嘘でけむに巻いてしまうんだ。
前のめりだった身体から力を抜いて椅子にもたれる。
「私たち、なんで恋人同士なんでしょうね…。」
「…どういう意味です?」
脱力し考える事を放棄した脳から制止がかかる事もなく、言葉が口を割った。
「私、ウイスさんの事全然知らないし…ウイスさんは、教えてくれる気がさらさら無いみたいだし…。」
少しずつ積み重なっていた不満や不安は胸の奥の黒い感情と結びつき言葉を押し上げていく。
「本当はこんな関係だって…」
ーー不意に、口元を軽く押さえられ言葉を発せなくなる。
驚いて視線を滑らせると腕を伸ばしているウイスさんと目があった。
「秘すれば花、と言う言葉はご存知ですか?」
手を退けられ、喋れるようになっても答えない私にウイスさんが困り顔で笑う。
「秘密めかすから価値を持つ。勿体ないじゃありませんか。全てを明かしてしまうのは。」
しかめっ面を作り尚も納得しない私にウイスさんは続ける。
「それに、こうして暴こうとして下さる時は、私の事で頭が一杯でしょう?」
それを狙って頑なに明かさない。ウイスさんの主張。
それも確かにあるとは思う。
でも。本心はきっと…。
そう長い付き合いじゃ無いけど感じ取れたことはある。
ウイスさんは言葉に本音を少し入り交ぜて、根本の見せたくない本心は別の所に忍ばせるんだ。
「私、思うんですけど、ウイスさんの本心はもっと別の所にあるんじゃないかなって。」
ウイスさんの瞳が少しだけ揺れた。
私の顔を見つめ口をつぐみ、長考する。
(全て明かしてしまうと、あなたは私に興味を抱けなくなってしまいませんか…?)
「…どうなんですか?」
身を乗り出した私の両頬を包み、額をくっつける。
「その調子でもう少しだけ、私に執心していて下さい。」
はむように合わせられた唇に懇願されているような感覚を覚え、この問答はまだもうしばらく続きそうだ、なんて考えながらそっと目を閉じた。
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