ビルス様夢 ※恋人設定


「それは…ベジータさんが正しいと思います。」

豆大福を頬張っていた悟空さんがキョトンとした顔でこちらを見る。

「え？なんでだ？」

「いや、なんでって…。……出産の時に妻の側にいたいというのは、夫の心理として不自然ではない……というか、当たり前の事だと思うのですが……。」

「そうか？オラ、修行の方がいいと思うけどなあ。そこにいたってする事なんか無ぇし。」

「…いえ、する事が無いとかそういう問題では無くてですね……。う〜ん……ウイスさん〜……。」

心底理解できないといった顔をする悟空さんにお手上げ状態になり、この中で賛同を得られると踏んだ人物の名前を弱々しく呼んだ。

「ご出産されるのはブルマさんですよ。」

「こっちもか…。」

…が、思わぬ援護射撃をくらい、ついこめかみを抑える。

「こほん！……いいですか、お2人とも。出産を控えた女性にはマタニティブルーというものがあってですね…」

「ムダだ。そいつらにそれ以上何をいっても。」

口の中の豆大福を飲み込んだビルス様が次の１つに手を伸ばしながら横槍を入れた。

「個人の価値観や思想なんてものは、他人にどうこう言われて簡単に覆る物じゃない。…特にそいつらに関してはな。」

「ビルス様までそんな淡白な事を…。」

この話題にあまり興味がないのか、視線一つ寄こさず淡々と言葉を続ける。

「そもそも、そういう"概念"が無いんだよ。説くだけ時間のムダ、ムダ。それにお前が不安要素を抱える必要性なんか微塵も無いだろ。」

……やはり、人と神さまでは価値観の相違を埋める事は難しいのか……、と落胆していた私は、次にビルス様がさらりと放った言葉にフリーズする事となる。







「少なくともボクは、お前が"そういう状況"になった時に何年も眠ったりしないんだから。」