ウイスさん夢 ※恋人未満


「好き、嫌い、好き、嫌い…。」

暖かい日差しが差し込む午後の時間。
一輪の花を手に、大きな石に腰掛けながら花占いに興じているウイスさんに話しかける。

「珍しいですね花占いですか？」

ウイスさんは私の方に振り返り楽し気ににっこりと微笑み肯定した。

「えぇ。これは恋占いです。」

「え、こ、恋…？」

思いがけない発言に声が上擦る。
ウイスさんが占いをするのも意外だったが、まさか恋の行く末を占っているとは思わなかったからだ。
私からまた視線を花へと戻し、誰とも知れないお相手を花を通して見ている。

……とても…面白くない。

「…花占いって、弁花の枚数と始める言葉で最初から結果は決まってるんですよ。」

黒い感情に押し上げられて出た言葉は自分でも驚く程冷めたトーンで棘を含んでいた。
しかしウイスさんはそんな事を気にもとめず、また一つ弁花を引き抜く。

「そうですね。好き…。」

やめておけ、惨めになるぞと、冷静な部分の私が叫ぶ。
なのに、私の口は言う事を聞かず言葉を続ける。

「…当てになりませんよ…そんなの…。」

「まぁ、最初から当たる事なんて期待していませからね。でも、少しだけ試してみたくなりましてね。嫌い、好き、嫌い…。」

「………。」

ウイスさんの手放した花びらが風に乗って頬を掠める。
それがまるで嘲笑われているようだと感じ、唇を噛んで苦心する。

ウイスさんは一体、どんな可愛い女性の事を考えながら花びらを散らせているのだろうか。

「好き…。」

「ぁ……1枚、残っちゃいましたね。」

……そして、嫌いを残した花をみて嬉しくなってしまう自分はなんて可愛く無いのだろう。
ウイスさんは最後の1枚になった花びらをジッと眺めてから、私の方に視線を移す。

「ところで、あなたは花占いの相手に嫉妬する程、私の事が好きですか？」

「…………え！？」

突然に投げかけられた質問に顔が赤くなる。
ウイスさんはその反応を見てニヤリと笑い、手に持っていた花を一振りで元に戻し、私の髪に挿してそのままそっと撫でた。

「やはりあなたの言う通り、花占いは当てになりませんね。」