大神官様夢
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「今のところ、ディーラーが大損ですね。」
ルールブックを片手に大神官が言う。
全王に提案する遊びを模索中に行き着いたルーレットを実際にやってみようとなり、夢主がディーラー、大神官がプレイヤーでゲームを進めていたが、数回繰り返した後に夢主が首をひねって尋ねた。
「……どうして一点賭けをしてるのにこんなに当たるんですか…?」
「ホイールの回る速度やボールの回転角度から落ちるポケットを予測するのは難しい事ではありません。」
ルールブックを読みながら、しれっと言いのける大神官に夢主は暫し言葉が出なかった。
そんなまさか、と思いホイールを回してボールを転がす。
「黒、28。一目賭けの36倍です。」
大神官のベットしたポケットにボールが吸い込まれる。
「………私に、勝ち目が無いのですが…。」
「そこが腕の見せ所というものだと、このルールブックに書いております。腕のいいディーラーは言葉で上手く駆け引きをして選ぶ数字を誘導するのだとか。」
開いたページを差し出しながら配当されたチップを高く積み上げていく。
「…駆け引き…か…。」
大神官の言葉を聞き、ルールブックを凝視していた夢主の頭にある案が浮んだ。
(…誘導尋問の駆け引き…。食いつくかも分からない…。…だとしても…)
「もう一度、行きますね。」
深呼吸をし、勢いよくホイールを回す。
少しの躊躇の後、意を決した様な表情をして夢主がボールから手を離した。
その表情の変わり様に大神官が僅かに瞠目する。
(この駆け引きで、ほんの少しだけでも何か答えが得られるのなら…)
ーーー何処に入るかが分かる大神官にとっては何の意味もなさない可能性の方が高い事は理解していた。
緊張から乾く口を必死に潤して言葉を紡ぐ。
「…大神官様の中で私は…何番目に…重要ですか?」
臆病さが顔を覗かせ、言うはずだった言葉を少しすり替えて問う。
夢主にとって一世一代の博打。
…10番。最低ラインとして引いたその数字さえも大穴だろう。
それ以前に、大神官がこの賭けに乗るかどうかも分からない。
(ここで、何も得られないならもう…本当に諦めよう…。)
目をぎゅっと瞑って視界を遮り、ボールの転がる音だけを耳で拾う。
少し遅れて、チップを動かす音が聞こえた。
ーーカラン。
夢主がそっと目を開く。
「………負けてしまいましたね。」
大神官が表情を変えずに言った。
ボールが落ちたポケットは赤の18。
積み上がった大量のチップが置かれたのは、
「…0…?」
「少し、ルールが多いですね。全王様には他の遊びをお勧めしましょうか。」
「他のものをとってきますので片付けておいて下さい。」と、大神官が席を立つ。
その背中を夢主が慌てて呼び止めた。
「0って…どういう意味…で、しょうか…?」
尻すぼみになる言葉を受け、大神官が立ち止まる。
「…1は、言わずもがな仕える主君。2以下に連なるのがガイド天使の皆さん。」
振り返らず、淡々と言葉を続ける。
「0、は…そうですね。特殊…特別枠と言ったところでしょうか。」
それだけ言うとまた足を進めた。
夢主は呆然と立ち尽くしていたが、やがて脱力して椅子に座る。
(……特別枠…って…。)
「…どう言う意味で捉えたらいいんですか……。」
有頂天になるには"特殊"の持つ意味が不鮮明すぎる。
はぐらかされた事により、「また諦める事が出来なかった…」と項垂れ、のろのろとルーレットを片付け始めた。
ルールブックを片手に大神官が言う。
全王に提案する遊びを模索中に行き着いたルーレットを実際にやってみようとなり、夢主がディーラー、大神官がプレイヤーでゲームを進めていたが、数回繰り返した後に夢主が首をひねって尋ねた。
「……どうして一点賭けをしてるのにこんなに当たるんですか…?」
「ホイールの回る速度やボールの回転角度から落ちるポケットを予測するのは難しい事ではありません。」
ルールブックを読みながら、しれっと言いのける大神官に夢主は暫し言葉が出なかった。
そんなまさか、と思いホイールを回してボールを転がす。
「黒、28。一目賭けの36倍です。」
大神官のベットしたポケットにボールが吸い込まれる。
「………私に、勝ち目が無いのですが…。」
「そこが腕の見せ所というものだと、このルールブックに書いております。腕のいいディーラーは言葉で上手く駆け引きをして選ぶ数字を誘導するのだとか。」
開いたページを差し出しながら配当されたチップを高く積み上げていく。
「…駆け引き…か…。」
大神官の言葉を聞き、ルールブックを凝視していた夢主の頭にある案が浮んだ。
(…誘導尋問の駆け引き…。食いつくかも分からない…。…だとしても…)
「もう一度、行きますね。」
深呼吸をし、勢いよくホイールを回す。
少しの躊躇の後、意を決した様な表情をして夢主がボールから手を離した。
その表情の変わり様に大神官が僅かに瞠目する。
(この駆け引きで、ほんの少しだけでも何か答えが得られるのなら…)
ーーー何処に入るかが分かる大神官にとっては何の意味もなさない可能性の方が高い事は理解していた。
緊張から乾く口を必死に潤して言葉を紡ぐ。
「…大神官様の中で私は…何番目に…重要ですか?」
臆病さが顔を覗かせ、言うはずだった言葉を少しすり替えて問う。
夢主にとって一世一代の博打。
…10番。最低ラインとして引いたその数字さえも大穴だろう。
それ以前に、大神官がこの賭けに乗るかどうかも分からない。
(ここで、何も得られないならもう…本当に諦めよう…。)
目をぎゅっと瞑って視界を遮り、ボールの転がる音だけを耳で拾う。
少し遅れて、チップを動かす音が聞こえた。
ーーカラン。
夢主がそっと目を開く。
「………負けてしまいましたね。」
大神官が表情を変えずに言った。
ボールが落ちたポケットは赤の18。
積み上がった大量のチップが置かれたのは、
「…0…?」
「少し、ルールが多いですね。全王様には他の遊びをお勧めしましょうか。」
「他のものをとってきますので片付けておいて下さい。」と、大神官が席を立つ。
その背中を夢主が慌てて呼び止めた。
「0って…どういう意味…で、しょうか…?」
尻すぼみになる言葉を受け、大神官が立ち止まる。
「…1は、言わずもがな仕える主君。2以下に連なるのがガイド天使の皆さん。」
振り返らず、淡々と言葉を続ける。
「0、は…そうですね。特殊…特別枠と言ったところでしょうか。」
それだけ言うとまた足を進めた。
夢主は呆然と立ち尽くしていたが、やがて脱力して椅子に座る。
(……特別枠…って…。)
「…どう言う意味で捉えたらいいんですか……。」
有頂天になるには"特殊"の持つ意味が不鮮明すぎる。
はぐらかされた事により、「また諦める事が出来なかった…」と項垂れ、のろのろとルーレットを片付け始めた。
2/2ページ