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日常

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主人公の名前

名前の件はウイスさんに相談すると『ただの照れ隠しですよ。何度か呼んでいればいずれ慣れます。』と言われた。
照れ隠しにしてはいささか殺伐としすぎではないだろうか……?

(次に呼んだら今度こそ破壊されるのでは…)

そう考えていたが、それは杞憂だったようで、2度目に恐る恐る呼んだ時には以前のような高圧的な態度は取られなかったので、許可のようなものが降りたのだと勝手に解釈しておく。
……解釈違いだと命の危険を伴うが…。

「ただいま戻りました。お変わりありませんか?」

「あ、ウイスさん、おかえりなさい。はい。ビルス様もお休みになられているので変わった事は特にありません。」

「そうですか。ベジータさん。彼女が夢主さんです。交換条件の家事手伝いは彼女から教わってください。」

「は、はじめまして。夢主です。よろしくお願いします。」

「………あぁ。」

こ、怖い!ビルス様とはまた違った意味で怖い!!俺に話しかけるなオーラが出ている。グサグサと刺さる品定めの様な視線に思わず縮こまった。




(成る程な。)

ここに着くまでの道中ウイスにされた忠告がベジータの頭をよぎる。

『ビルス様の星にはもう1人使用人の方がいます。その方とは上手に付き合ってあげてくださいね。無下にせず、仲良くなりすぎず。ビルス様が暴れると面倒ですから。』

(こいつは戦い方などまるで知らない素人だ。だが、攻撃が届かない無機の気を纏っていやがる。……破壊神の加護か。)




「で、では、空いているお部屋に案内しますね…。」

移動中もずっと後ろから睨みつけられている……。何かおかしな仕草があったのだろうか…。

「ここが部屋です。お手伝いは大まかに、予言魚さんの鉢磨きとビルス様のシーツと毛布の交換、お皿洗い…後はウイスさんから私には出来ない体力仕事はベジータさんにお任せすると…それで…あの…」

「何だ。」

「こ、これを…」

私はおずおずと手に持っていたエプロンを差し出した。

「この俺にこれをつけろと言うのか!!!」

「ひぃ!!文句はウイスさんに言ってください!!」

やっぱり怒ってるよ!私もこの色はどうかと思ったんだ!

「……ッチ!!」

ベジータさんは私からエプロンをひったくって渋々と言う感じで身につけた。…付けるんだ…。

「で、では今からビルス様のシーツと毛布を交換に行きます。寝起きは特に機嫌が悪いそうなので、決して起こさないようにして下さい。あと、浮いている砂時計は触れると爆発するので触れないようにお願いします。」

「分かった。」

私とベジータさんはビルス様の寝台の前に行く。

「起こさずにどうやって交換するんだ。」

「寝返りを打つまで待つのですが、これを使えば直ぐに寝返りを打ってくれます。」

私はポケットから煮干しを取り出した。

「に、煮干し!?」

「シーー!!!」

「んんんうぅ」

ビルス様が少し唸り声を上げ、また元の寝息をたてはじめる。

「お、大きな声を出すと起きてしまいます…!」

「す、すまん。」

「この煮干しを使えばすんなりと寝返りを打ってくれますが、2度目に使うと起きてしまいます。」

以前2度目に使った時、ビルス様の目がカッと開き、驚いて硬直する私を寝台に引きずり込みまた眠ってしまった事があった。
抱え込まれて身動きが取れず、いつ全身の骨を折られるかヒヤヒヤしていたが、少し腕が緩んだ隙に何とか脱出出来たのだ。
その教訓から、煮干しを使えるのは一度きりと学んだ。

「煮干しを鼻に近づけて、少しずつ遠くに…」

スンスンとビルス様の鼻が動く。端まで来たところで、ベジータさんに目線で合図を送る。
ベジータさんが頷いてテキパキとシーツと毛布を交換していく。終わったのを確認してからビルス様に煮干しを食べさせて無意識に止めてしまっていた息を吐く。
この作業だけは何度やっても慣れない…。

「ふぅ…。これで完了です。戻りましょうか。」

「あぁ。」

その時、ドカッという音がして隣にいたはずのベジータさんが消えた。…え?
どうやらビルス様がベジータさんを蹴り飛ばしたようだ。崩れた瓦礫の中に足が見える。
し、死んでしまったのではないだろうか…?

「べ、ベジータさ、」

「行くな夢主。」

駆けよろうとした私を呼び止める声。振り向くと、ビルス様が私の腕を掴んでいた。真っ直ぐな視線に射抜かれて動くことができない。まるで身体が凍りついたようだ。

「ボクの側にいろ。」

目を見開いて固まっていると、スーッとビルス様が目を閉じてまたいびきをかきはじめた。

「寝、言……?」

起きたのではなかったのか、びっくりした…。心臓が止まるかと思った。視界の端で瓦礫の山から起き上がるベジータさんを捉え、改めてこの星には普通の人間は居ないのだなと痛感した。
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