日常
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結論から言うと飛べた。
…………飛べてしまった。
人間が身一つで空を飛ぶなど絶対にありえないと考えていた私にとって私自身が飛べてしまったことは衝撃でありドン引きだった。
…いや、あれは無理やり飛ばされたに近い。
私が舞空術とやらを身につけられなかったらこの世にはいなかっただろう。死にものぐるいという言葉を身を以て体感した。
「飛べるじゃないですか〜」と生還した私に、私を突き落とした張本人であるウイスさんがニコニコ笑顔で話しかけて来た時は、神というより悪魔に見えてしまった……。
……さて、そんなこんなで舞空術を会得した私はそれを利用して使用人としての様々な雑用をこなしている。
馬鹿みたいに広く高いため、あちこち移動したり、外壁から飛んだりなど今日も慌ただしく動き回っていた。
なるほど、確かに飛べなければ移動の時間だけでかなり持っていかれそうだ。
「今日はビルス様のシーツと毛布を替えて頂きます。」
なん…だと…?
「ね、寝ておられる破壊神様の…ですか…?」
「はい。寝汗などで汚れてしまいますからね。定期的に交換しないと。」
なんという事だ。恐ろしい。
「起こさない様に気をつけてくださいね。寝起きは機嫌が悪いですから。あと、浮いている砂時計には決して触れない様に。」
ウイスさんにシーツと毛布を手渡されてから送り出され、とぼとぼと破壊神様の寝床へ向かう。
はぁ…。毛布はともかくシーツはどうやって交換しようか…。
教えられた部屋に到着するとあちこちに巨大な砂時計が浮かんでいる。触ってはいけないってどういう意味だろうか?
砂時計をかわしながら飛び、中心で浮いている寝台にたどり着き、そっと破壊神様の顔を覗き込んでみる。
「んごーー。くかぁーー」
気持ちよさそうに寝てらっしゃる…。
こうやって見ると本当にあの恐ろしい破壊神と同じ人物かと疑ってしまう。
「寝起きは機嫌が悪いって言ってたな。早く取り替えて戻ろう…。」
待てよ?起こさずにシーツの交換なんて不可能ではないだろうか…?
次の瞬間、目の前に突然尻尾が現れた。
僅か数センチ前でピタッと止まっており風圧で髪の毛がブワッと舞った。
「……ぇ?」
止まって無かったら確実に顔面強打を喰らいあの世行きだっただろう。
愕然として動けないでいるとトンとお腹に何かがあたり、ハッと放心状態から我に帰り見ると破壊神様が頭を擦りつけていた。
スンスンと匂いを嗅ぎ、また「くかぁー」と規則正しい寝息を立て始めた。
………し、死ぬところだった。
取り敢えず毛布だけ交換しそそくさとその場を離れた。
「おや、どうでした?その様子ですとやはり大丈夫だった様ですね。」
「だ、大丈夫なもんですか……。」
膝の震えが止まらない。最近こんな事ばかりだ。膝を壊しそうで怖い。
「危うく首から上が無くなるところでした…。」
「その点は大丈夫です。もし万が一のことがあってもやり直しが出来ますし。」
万が一を想定してたんじゃないか…。
「それに、たとえ寝ていたとしてもビルス様は貴方に攻撃をする事は無いと踏んでおりましたからね。恐らく匂いで判断しているのでしょう。」
私はそんなに悪臭を放っているのだろうか…。
「あの…毛布だけしか交換出来なかったのですが…。」
「おや、それはいけませんね。もう一度シーツの交換をして来てください。」
もう一度…だと…?
「死ねとおっしゃっているのでしょうか……?」
「おほほ。とんでもない。そうですね。では、これを差し上げましょう。」
そう言ってミサンガの様なものを手渡された。
「これは?」
「それをつけていれば、どんな攻撃からも貴方の命を守ってくれるでしょう。」
まぁ、神様の言う事なのだから何かしらの力はあるのだろう。私の命綱になるものかもしれないのでありがたく貰っておこう。
「ありがとうございます。」
「いえいえ。礼には及びませんよ。」
…なんだ、私の事を少しは気遣ってくれているではないか。
最初は人を容赦なく突き落とすし、とんでもない人だと思っていたが、身を守るミサンガをくれるし、まぁ、万が一の対処法を考えてくれていただけ、本当はいい人なのかもしれない。
「では、シーツの交換お願いしますね。」
前言撤回。
…………飛べてしまった。
人間が身一つで空を飛ぶなど絶対にありえないと考えていた私にとって私自身が飛べてしまったことは衝撃でありドン引きだった。
…いや、あれは無理やり飛ばされたに近い。
私が舞空術とやらを身につけられなかったらこの世にはいなかっただろう。死にものぐるいという言葉を身を以て体感した。
「飛べるじゃないですか〜」と生還した私に、私を突き落とした張本人であるウイスさんがニコニコ笑顔で話しかけて来た時は、神というより悪魔に見えてしまった……。
……さて、そんなこんなで舞空術を会得した私はそれを利用して使用人としての様々な雑用をこなしている。
馬鹿みたいに広く高いため、あちこち移動したり、外壁から飛んだりなど今日も慌ただしく動き回っていた。
なるほど、確かに飛べなければ移動の時間だけでかなり持っていかれそうだ。
「今日はビルス様のシーツと毛布を替えて頂きます。」
なん…だと…?
「ね、寝ておられる破壊神様の…ですか…?」
「はい。寝汗などで汚れてしまいますからね。定期的に交換しないと。」
なんという事だ。恐ろしい。
「起こさない様に気をつけてくださいね。寝起きは機嫌が悪いですから。あと、浮いている砂時計には決して触れない様に。」
ウイスさんにシーツと毛布を手渡されてから送り出され、とぼとぼと破壊神様の寝床へ向かう。
はぁ…。毛布はともかくシーツはどうやって交換しようか…。
教えられた部屋に到着するとあちこちに巨大な砂時計が浮かんでいる。触ってはいけないってどういう意味だろうか?
砂時計をかわしながら飛び、中心で浮いている寝台にたどり着き、そっと破壊神様の顔を覗き込んでみる。
「んごーー。くかぁーー」
気持ちよさそうに寝てらっしゃる…。
こうやって見ると本当にあの恐ろしい破壊神と同じ人物かと疑ってしまう。
「寝起きは機嫌が悪いって言ってたな。早く取り替えて戻ろう…。」
待てよ?起こさずにシーツの交換なんて不可能ではないだろうか…?
次の瞬間、目の前に突然尻尾が現れた。
僅か数センチ前でピタッと止まっており風圧で髪の毛がブワッと舞った。
「……ぇ?」
止まって無かったら確実に顔面強打を喰らいあの世行きだっただろう。
愕然として動けないでいるとトンとお腹に何かがあたり、ハッと放心状態から我に帰り見ると破壊神様が頭を擦りつけていた。
スンスンと匂いを嗅ぎ、また「くかぁー」と規則正しい寝息を立て始めた。
………し、死ぬところだった。
取り敢えず毛布だけ交換しそそくさとその場を離れた。
「おや、どうでした?その様子ですとやはり大丈夫だった様ですね。」
「だ、大丈夫なもんですか……。」
膝の震えが止まらない。最近こんな事ばかりだ。膝を壊しそうで怖い。
「危うく首から上が無くなるところでした…。」
「その点は大丈夫です。もし万が一のことがあってもやり直しが出来ますし。」
万が一を想定してたんじゃないか…。
「それに、たとえ寝ていたとしてもビルス様は貴方に攻撃をする事は無いと踏んでおりましたからね。恐らく匂いで判断しているのでしょう。」
私はそんなに悪臭を放っているのだろうか…。
「あの…毛布だけしか交換出来なかったのですが…。」
「おや、それはいけませんね。もう一度シーツの交換をして来てください。」
もう一度…だと…?
「死ねとおっしゃっているのでしょうか……?」
「おほほ。とんでもない。そうですね。では、これを差し上げましょう。」
そう言ってミサンガの様なものを手渡された。
「これは?」
「それをつけていれば、どんな攻撃からも貴方の命を守ってくれるでしょう。」
まぁ、神様の言う事なのだから何かしらの力はあるのだろう。私の命綱になるものかもしれないのでありがたく貰っておこう。
「ありがとうございます。」
「いえいえ。礼には及びませんよ。」
…なんだ、私の事を少しは気遣ってくれているではないか。
最初は人を容赦なく突き落とすし、とんでもない人だと思っていたが、身を守るミサンガをくれるし、まぁ、万が一の対処法を考えてくれていただけ、本当はいい人なのかもしれない。
「では、シーツの交換お願いしますね。」
前言撤回。