イベント番外
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ベンチに座り、サタン広場の喧騒を遠目に眺めていた夢主に上から影がさす。
見上げると、猫を模した顔が彫られているカボチャが見下ろしていた。
逆光で影ができ、可愛いはずの顔が何処か威圧感を放っている。
「カボチャの…被り物ですか。……ハロウィンにぴったりですね。」
地球にやって来た際、偶然開催されていたハロウィンパーティに参加すべく変身したビルスに、夢主は何とかそんなコメントを絞り出した。
一方のビルスは被っていたカボチャを外し、いつもと変わらない服装の夢主に不可解そうな顔をする。
「今日のパーティではこんな衣装が正装なんだろ?夢主はなんでいつもと同じ格好なんだ?」
「仮装しなくても参加は出来ると聞いたもので…。」
会場であるサタン広場はすでに沢山の人で賑わっており、仮装した人々で溢れかえっている。
「このパーティ、仮装している人は"トリックオアトリート"と言うだけで誰でも出店の品をただで貰えるそうですよ。」
「何でも、ミスターサタンが地球を救った記念に資金投資したんだとか…。」と、人づてに聞いた記憶を掘り起こす。
「とり…?なんだ?それ。」
「トリックオアトリートです。お菓子をくれなきゃイタズラするぞ、って言う意味ですよ。」
「何だ、脅すのか。……で、イタズラって何するの?破壊?」
「イ、イタズラの域に留めてください…。それにこれは脅すって程大それたものでは…。」
極端なビルスの思考に夢主が思わず苦笑いをこぼす。
「……イタズラねぇ。」
夢主の顔を眺めてからニイッと笑い、覚えたての単語を拙く並べた。
「……とりっくおあとりーと。」
「はい。お菓子ですね。ハッピーハロウィン。」
「…………なんで持ってるの。」
「え、何か…ご不満でも……?」
差し出したお菓子を中々受け取らないビルスに夢主の顔が曇る。
「……………いや、……貰うけど…。」
ややあって、少し不服そうな声で綺麗にラッピングされたお菓子を受け取った。
夢主から受け取ったお菓子を食べ終えたビルスがスクッと立ち上がる。
「さて、じゃあ一通りどんな出店があるか見てまわっ…」
「僕がミスターサタンの最強の敵、破壊神ビビスだぁ!!トリックオアトリート!」
「………何あれ。」
一際大きく響いた声の主の仮装を見て、ビルスの声のトーンが数段下がる。
「えぇっと…地球では、あのようなキャラクターが人気を博しているようでして…。」
ビルスにそっくりのキャラクター"ビビス"の仮装をしている少年を見て夢主が言いにくそうに言葉を濁した。
「へぇ…。"誰"を、モデルにしてるんだろうねぇ…。」
「だ、誰…でしょうね…。」
じとっとビビスの仮装を睨みつけるビルスに、夢主が慌てて話題を逸らすべく、勤めて明るい声をだす。
「……そ、それにしても仮装がメインのパーティだけあって、仮装している人が多いですね!…私、仮装してないので、やっぱり悪目立ちするでしょうか。」
来場者のほぼ全員が仮装をしているため、普通の格好をしている夢主はこの場で逆に目立っている。
「………入場口の所で貰ったやつをつければいいだろ。」
ビルスが手に持っている袋を漁り、中に入っていた全員配布の猫耳カチューシャを夢主の頭に付けた。
しかし、少し目を見開きしげしげと眺めた後、やがて重苦しそうに口を切る。
「…………。……やっぱりダメだ。……お前はこれを被ってろ。」
夢主の頭からひょいとカチューシャを外し、代わりにさっきまで自分が被っていたカボチャを被せた。
「…う…わ、私には少しサイズが合わないです…。カチューシャは可笑しかったですか?」
「……可笑しくないからダメなんだろ……。」
ポツリと呟いた後、「とにかくこれはダメだ。」と言い張るビルスに、夢主は「前が見えないので…これはお返しします。」と、カボチャを手渡した。
受け取ったカボチャと広場の様子を見比べ、少し考えた後にカチューシャと一緒に袋の中にしまう。
「被らないのですか?」
「あぁ。食べる度にいちいち外すのは面倒だからな。」
「確かに…そうですね。」
「取り敢えず、広場の中心に移動するぞ。」
(………それにしても…。)
中心地に向かう途中、夢主が広場をぐるりと見渡す。
(どうしてビビス様の仮装をしてる人がこんなに多いんだろう…。)
子供だけでなく、大人までビビスの被り物や帽子を被っているのだ。
(…ビルス様がカボチャを被らないなら、はぐれたら見つけるの大変かもしれないな。)
そう考えていた夢主に少し先を歩いていたビルスが振り返り、「ん。」と手を差し出した。
「…?…えっと…。」
「……夢主は気を感じ取ることが出来ないだろ?…はぐれたら面倒だ。ここには何故か、ボクにそっくりの奴が沢山いるからな。」
「あはは…。そうですね…。」と苦笑いを返しながら夢主はその手に自分の手を重ねる。
「さて、何から食べるか。」
「ビルス様、あそこに綿あめの露店がありますよ。」
「決まりだな。」
「じゃあ、取り敢えず…あそこから順番にだ。」と繋いだ手を引き、歩き出した。
半歩後ろで、仮装している人々を物珍しそうに見渡している夢主の方に首だけでそっと振り返る。
その視線を下に落とし、しっかりと握られている手を盗み見てから首を前に戻した。
(まぁ、いい口実になったし。あの仮装は大目にみてやるか。)
そう小さくほくそ笑み、繋がれた温もりを少しだけ強く握った。
ーーー
Happy Halloween!!
見上げると、猫を模した顔が彫られているカボチャが見下ろしていた。
逆光で影ができ、可愛いはずの顔が何処か威圧感を放っている。
「カボチャの…被り物ですか。……ハロウィンにぴったりですね。」
地球にやって来た際、偶然開催されていたハロウィンパーティに参加すべく変身したビルスに、夢主は何とかそんなコメントを絞り出した。
一方のビルスは被っていたカボチャを外し、いつもと変わらない服装の夢主に不可解そうな顔をする。
「今日のパーティではこんな衣装が正装なんだろ?夢主はなんでいつもと同じ格好なんだ?」
「仮装しなくても参加は出来ると聞いたもので…。」
会場であるサタン広場はすでに沢山の人で賑わっており、仮装した人々で溢れかえっている。
「このパーティ、仮装している人は"トリックオアトリート"と言うだけで誰でも出店の品をただで貰えるそうですよ。」
「何でも、ミスターサタンが地球を救った記念に資金投資したんだとか…。」と、人づてに聞いた記憶を掘り起こす。
「とり…?なんだ?それ。」
「トリックオアトリートです。お菓子をくれなきゃイタズラするぞ、って言う意味ですよ。」
「何だ、脅すのか。……で、イタズラって何するの?破壊?」
「イ、イタズラの域に留めてください…。それにこれは脅すって程大それたものでは…。」
極端なビルスの思考に夢主が思わず苦笑いをこぼす。
「……イタズラねぇ。」
夢主の顔を眺めてからニイッと笑い、覚えたての単語を拙く並べた。
「……とりっくおあとりーと。」
「はい。お菓子ですね。ハッピーハロウィン。」
「…………なんで持ってるの。」
「え、何か…ご不満でも……?」
差し出したお菓子を中々受け取らないビルスに夢主の顔が曇る。
「……………いや、……貰うけど…。」
ややあって、少し不服そうな声で綺麗にラッピングされたお菓子を受け取った。
夢主から受け取ったお菓子を食べ終えたビルスがスクッと立ち上がる。
「さて、じゃあ一通りどんな出店があるか見てまわっ…」
「僕がミスターサタンの最強の敵、破壊神ビビスだぁ!!トリックオアトリート!」
「………何あれ。」
一際大きく響いた声の主の仮装を見て、ビルスの声のトーンが数段下がる。
「えぇっと…地球では、あのようなキャラクターが人気を博しているようでして…。」
ビルスにそっくりのキャラクター"ビビス"の仮装をしている少年を見て夢主が言いにくそうに言葉を濁した。
「へぇ…。"誰"を、モデルにしてるんだろうねぇ…。」
「だ、誰…でしょうね…。」
じとっとビビスの仮装を睨みつけるビルスに、夢主が慌てて話題を逸らすべく、勤めて明るい声をだす。
「……そ、それにしても仮装がメインのパーティだけあって、仮装している人が多いですね!…私、仮装してないので、やっぱり悪目立ちするでしょうか。」
来場者のほぼ全員が仮装をしているため、普通の格好をしている夢主はこの場で逆に目立っている。
「………入場口の所で貰ったやつをつければいいだろ。」
ビルスが手に持っている袋を漁り、中に入っていた全員配布の猫耳カチューシャを夢主の頭に付けた。
しかし、少し目を見開きしげしげと眺めた後、やがて重苦しそうに口を切る。
「…………。……やっぱりダメだ。……お前はこれを被ってろ。」
夢主の頭からひょいとカチューシャを外し、代わりにさっきまで自分が被っていたカボチャを被せた。
「…う…わ、私には少しサイズが合わないです…。カチューシャは可笑しかったですか?」
「……可笑しくないからダメなんだろ……。」
ポツリと呟いた後、「とにかくこれはダメだ。」と言い張るビルスに、夢主は「前が見えないので…これはお返しします。」と、カボチャを手渡した。
受け取ったカボチャと広場の様子を見比べ、少し考えた後にカチューシャと一緒に袋の中にしまう。
「被らないのですか?」
「あぁ。食べる度にいちいち外すのは面倒だからな。」
「確かに…そうですね。」
「取り敢えず、広場の中心に移動するぞ。」
(………それにしても…。)
中心地に向かう途中、夢主が広場をぐるりと見渡す。
(どうしてビビス様の仮装をしてる人がこんなに多いんだろう…。)
子供だけでなく、大人までビビスの被り物や帽子を被っているのだ。
(…ビルス様がカボチャを被らないなら、はぐれたら見つけるの大変かもしれないな。)
そう考えていた夢主に少し先を歩いていたビルスが振り返り、「ん。」と手を差し出した。
「…?…えっと…。」
「……夢主は気を感じ取ることが出来ないだろ?…はぐれたら面倒だ。ここには何故か、ボクにそっくりの奴が沢山いるからな。」
「あはは…。そうですね…。」と苦笑いを返しながら夢主はその手に自分の手を重ねる。
「さて、何から食べるか。」
「ビルス様、あそこに綿あめの露店がありますよ。」
「決まりだな。」
「じゃあ、取り敢えず…あそこから順番にだ。」と繋いだ手を引き、歩き出した。
半歩後ろで、仮装している人々を物珍しそうに見渡している夢主の方に首だけでそっと振り返る。
その視線を下に落とし、しっかりと握られている手を盗み見てから首を前に戻した。
(まぁ、いい口実になったし。あの仮装は大目にみてやるか。)
そう小さくほくそ笑み、繋がれた温もりを少しだけ強く握った。
ーーー
Happy Halloween!!