日常
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「こいつさえいれば破壊神なんざ怖かねぇ!!今こそ復讐の時だ!!!」
異星から来たであろう大柄の男の声に「おう!!!」と沢山の屈強な人達が応える。
瓦礫が崩れ、倉庫のような廃れたビルの一角で繰り広げられる光景を、まるで映画のワンシーンのようだと眺めている私はロープでぐるぐる巻きにされ大柄の男に首をホールドされている。
……よし、少し落ち着こうか自分。何が起きたのか冷静に整理しようじゃないか。
ビルス様とお祭りに行く。
↓
帰り際にまだ食べ足りないとビルス様が引き返す。
↓
遠ざかる背中を追いかける。
↓
突然知らない人たちに囲まれて連れ去られる。
↓
ロープでぐるぐる巻き←now!
……now!なんて呑気なこと言ってる場合じゃない!!人質じゃないか!!絶対絶命じゃないか!!!
「破壊神ビルスは…俺たちの故郷を粉々にしやがった!!その落とし前を付けてやろう!!」
「あぁ!目にもの見せてやろうぜ!!」
…それなら私を巻き込まずにやって頂きたい…。
「…ぁ、あの……私はただの使用人に過ぎなくて…そのぅ…私を人質にしても餌になるかどうかも微妙…と、いいますか……。」
慎重に言葉を選び絞り出したような声で呟くと、沢山の目玉が私に向く。
「あぁ、まだ来ねえよ。お前には気を感知させない特殊な装置を取り付けてるからな。それから、」
私の身動きを封じている大柄の男が鋭い刃物を私に向ける。
「次、勝手に喋ったらその舌切り落とすぞ。お前には生きてさえ貰えれば良いんだからな。」
刃物が眼前に迫り、総身に戦慄が走る。
「何なら、目玉ひとつくらいなら潰しても良いかもな。もっとも、俺らの気はそんなもんじゃ晴ねぇけどなァ!!!」
刃物が少し距離を取り、勢いをつけて真っ直ぐこちらに向かってくる。
恐怖でギュッと目を瞑るとバチッ!!とまばゆい光がまぶたの上で走った。
ーーカラン、と音がして恐る恐る目を開けてみると、男が手を痙攣させながら蹲っていた。
「何だ!?何が起こった!?」
薄暗い部屋の中、ロープの下で私の腕の辺りが紫色の光を放っている。
………そうだ。私にはウイスさんに貰った身を守るお守りがあったんだ。
その事に多少なりとも安堵し、膝に力が入らなくなりへたり込む。
「ッチ!!こいつには攻撃が通らねぇのか!!」
「おい!どうするだよ!!これじゃあ、いざって時にっ…!!」
ガヤガヤと狼狽えていた群衆だったが、ガンッ!!という大きな音と共に吹っ飛んできた鉄製の扉を目にし、水を打ったように静まり返る。
「………やれやれ…」
場違いな程呑気な、しかし静かな怒気を孕んだ声が廃ビルに大きく響いた。
逆光で姿は見えないが聞き慣れた声に安堵の波が押し寄せる。
「……随分と…胸糞の悪い真似してくれるじゃない……。」
いっそ穏やかな程のゆったりとした口調に私の隣で蹲っていた男が息を呑み、怯んだ。
しかし、すぐに奮い立って「き、来たぞ!!畳み掛けろ!!!」と叫び、呆気に取られていた大勢の男も雄叫びを上げながらビルス様に飛びかかる。
その光景がやけにゆっくりと見えた。
ビルス様が片足を後ろに持ち上げ、つま先で地面を軽く小突く。
ーー刹那。
ズオオオオオオ!!!と、すごい爆風が吹き上がり、飛びかかった人達は次々と壁に打ち付けられ意識を失っていった。
「ぁ…ぁぁ……。」と、震えながら愕然と目の前の光景を凝視している男に、ビルス様がゆっくりと視線を向ける。
「ひぃ!!」と声を上げ、私を掴み上げると唾を飛ばしながら叫んだ。
「く、来るんじゃねえ!!!!こいつが、こいつがどうなってもいいのか!!!!」
恐怖のせいか私の首をホールドしている腕に必要以上に力が入っている。
ついと細められたビルス様の目はゾッとするほどに鋭い。
その鋭さを微塵も衰えさせず、片方の口角だけ吊り上げ不自然な弧を描いた。
「……まぁまぁ、話し合おうじゃないか。………穏便に。」
微塵も穏便に話し合う気など無さそうな程の強烈なプレッシャー。
私でさえ感じるのだから直接向けられている後ろの男は比じゃないだろう。
ビルス様が人差し指をこちらに向けその先端に光が集中していく。
男が私を盾にしながら、後ずさった。
「それを撃ったらこいつも巻き添えだぞ!!」
男の放った言葉にビルス様が私の方に視線を落とす。
「夢主。」
はっきりと耳に届く落ち着いた声。
「………動くなよ。」
その言葉に私は小さく頷き、目を閉じる。
耳元で『大丈夫だ。』と、囁かれた気がした。
「え…」と思うが早いか、首の圧迫感が消えバキィッ!!と嫌な音がする。
支えが無くなり崩れ落ちる体をビルス様が受け止めてくれた。
月明かりに一瞬照らされたビルス様の首筋は少し光っている様に見えた。
(…なんだろう……汗…?)
曖昧な思考でそう考えていた時に安心感と疲労が一気に襲って来て、とうとう意識を手放してしまった。
***
気絶した夢主をそっと地面に横たえると、先程殴り飛ばした男の元へと歩く。
痛みに悶絶して呻き声を上げている頭を鷲掴み、ドスの効いた声でビルスが囁いた。
「全く、汚い手を使ってくれるよね。妙な小細工で居場所まで分からなくしてくれてさ。」
「探しちゃったじゃないか…。」と、ギリギリと手に込める力を強くし、肌を刺すような殺気を膨れ上がらせる。
眼前の男の顔を見るたびに人質にされていた時の夢主の顔がフラッシュバックする。
自分を見据え、不安そうに揺れるその瞳は「助けて」と悲痛に叫んでいる様に見えた。
その表情を思い出し、ビルスの腹の虫がこの男を殺せと咆える。
「…あいつはね、お前みたいな奴が汚い手で触っていい様な女じゃないんだ。」
ドシャ!!と男を瓦礫に投げ飛ばし、夢主を抱えて廃ビルの上空へ浮き上がった。
握った掌を開き、気絶した男たちのいる廃ビルに小さな光の玉を落とす。
悲鳴は一切上がらなかった。
紫色の光を放ちながら朽ちて行き、破壊神の怒りを買った復讐者達は廃ビル諸共完全に消滅した。
異星から来たであろう大柄の男の声に「おう!!!」と沢山の屈強な人達が応える。
瓦礫が崩れ、倉庫のような廃れたビルの一角で繰り広げられる光景を、まるで映画のワンシーンのようだと眺めている私はロープでぐるぐる巻きにされ大柄の男に首をホールドされている。
……よし、少し落ち着こうか自分。何が起きたのか冷静に整理しようじゃないか。
ビルス様とお祭りに行く。
↓
帰り際にまだ食べ足りないとビルス様が引き返す。
↓
遠ざかる背中を追いかける。
↓
突然知らない人たちに囲まれて連れ去られる。
↓
ロープでぐるぐる巻き←now!
……now!なんて呑気なこと言ってる場合じゃない!!人質じゃないか!!絶対絶命じゃないか!!!
「破壊神ビルスは…俺たちの故郷を粉々にしやがった!!その落とし前を付けてやろう!!」
「あぁ!目にもの見せてやろうぜ!!」
…それなら私を巻き込まずにやって頂きたい…。
「…ぁ、あの……私はただの使用人に過ぎなくて…そのぅ…私を人質にしても餌になるかどうかも微妙…と、いいますか……。」
慎重に言葉を選び絞り出したような声で呟くと、沢山の目玉が私に向く。
「あぁ、まだ来ねえよ。お前には気を感知させない特殊な装置を取り付けてるからな。それから、」
私の身動きを封じている大柄の男が鋭い刃物を私に向ける。
「次、勝手に喋ったらその舌切り落とすぞ。お前には生きてさえ貰えれば良いんだからな。」
刃物が眼前に迫り、総身に戦慄が走る。
「何なら、目玉ひとつくらいなら潰しても良いかもな。もっとも、俺らの気はそんなもんじゃ晴ねぇけどなァ!!!」
刃物が少し距離を取り、勢いをつけて真っ直ぐこちらに向かってくる。
恐怖でギュッと目を瞑るとバチッ!!とまばゆい光がまぶたの上で走った。
ーーカラン、と音がして恐る恐る目を開けてみると、男が手を痙攣させながら蹲っていた。
「何だ!?何が起こった!?」
薄暗い部屋の中、ロープの下で私の腕の辺りが紫色の光を放っている。
………そうだ。私にはウイスさんに貰った身を守るお守りがあったんだ。
その事に多少なりとも安堵し、膝に力が入らなくなりへたり込む。
「ッチ!!こいつには攻撃が通らねぇのか!!」
「おい!どうするだよ!!これじゃあ、いざって時にっ…!!」
ガヤガヤと狼狽えていた群衆だったが、ガンッ!!という大きな音と共に吹っ飛んできた鉄製の扉を目にし、水を打ったように静まり返る。
「………やれやれ…」
場違いな程呑気な、しかし静かな怒気を孕んだ声が廃ビルに大きく響いた。
逆光で姿は見えないが聞き慣れた声に安堵の波が押し寄せる。
「……随分と…胸糞の悪い真似してくれるじゃない……。」
いっそ穏やかな程のゆったりとした口調に私の隣で蹲っていた男が息を呑み、怯んだ。
しかし、すぐに奮い立って「き、来たぞ!!畳み掛けろ!!!」と叫び、呆気に取られていた大勢の男も雄叫びを上げながらビルス様に飛びかかる。
その光景がやけにゆっくりと見えた。
ビルス様が片足を後ろに持ち上げ、つま先で地面を軽く小突く。
ーー刹那。
ズオオオオオオ!!!と、すごい爆風が吹き上がり、飛びかかった人達は次々と壁に打ち付けられ意識を失っていった。
「ぁ…ぁぁ……。」と、震えながら愕然と目の前の光景を凝視している男に、ビルス様がゆっくりと視線を向ける。
「ひぃ!!」と声を上げ、私を掴み上げると唾を飛ばしながら叫んだ。
「く、来るんじゃねえ!!!!こいつが、こいつがどうなってもいいのか!!!!」
恐怖のせいか私の首をホールドしている腕に必要以上に力が入っている。
ついと細められたビルス様の目はゾッとするほどに鋭い。
その鋭さを微塵も衰えさせず、片方の口角だけ吊り上げ不自然な弧を描いた。
「……まぁまぁ、話し合おうじゃないか。………穏便に。」
微塵も穏便に話し合う気など無さそうな程の強烈なプレッシャー。
私でさえ感じるのだから直接向けられている後ろの男は比じゃないだろう。
ビルス様が人差し指をこちらに向けその先端に光が集中していく。
男が私を盾にしながら、後ずさった。
「それを撃ったらこいつも巻き添えだぞ!!」
男の放った言葉にビルス様が私の方に視線を落とす。
「夢主。」
はっきりと耳に届く落ち着いた声。
「………動くなよ。」
その言葉に私は小さく頷き、目を閉じる。
耳元で『大丈夫だ。』と、囁かれた気がした。
「え…」と思うが早いか、首の圧迫感が消えバキィッ!!と嫌な音がする。
支えが無くなり崩れ落ちる体をビルス様が受け止めてくれた。
月明かりに一瞬照らされたビルス様の首筋は少し光っている様に見えた。
(…なんだろう……汗…?)
曖昧な思考でそう考えていた時に安心感と疲労が一気に襲って来て、とうとう意識を手放してしまった。
***
気絶した夢主をそっと地面に横たえると、先程殴り飛ばした男の元へと歩く。
痛みに悶絶して呻き声を上げている頭を鷲掴み、ドスの効いた声でビルスが囁いた。
「全く、汚い手を使ってくれるよね。妙な小細工で居場所まで分からなくしてくれてさ。」
「探しちゃったじゃないか…。」と、ギリギリと手に込める力を強くし、肌を刺すような殺気を膨れ上がらせる。
眼前の男の顔を見るたびに人質にされていた時の夢主の顔がフラッシュバックする。
自分を見据え、不安そうに揺れるその瞳は「助けて」と悲痛に叫んでいる様に見えた。
その表情を思い出し、ビルスの腹の虫がこの男を殺せと咆える。
「…あいつはね、お前みたいな奴が汚い手で触っていい様な女じゃないんだ。」
ドシャ!!と男を瓦礫に投げ飛ばし、夢主を抱えて廃ビルの上空へ浮き上がった。
握った掌を開き、気絶した男たちのいる廃ビルに小さな光の玉を落とす。
悲鳴は一切上がらなかった。
紫色の光を放ちながら朽ちて行き、破壊神の怒りを買った復讐者達は廃ビル諸共完全に消滅した。