バーガーショップに来た2年ズ
望は呆れてものも言えなかった。彼らの胃袋は底無しなのか、それとも後先考えられない馬鹿なのか。答えはおおよそ想像できるが、それでも一応尋ねてみる。
「ねぇ、本当にそれ全部食べるの?」
隼人、晴馬、ついでに龍之介へ視線を流し、彼らが頼んだジャンクフードを見ては顔を歪ませる。ボリューム感のあるバーガー、わざわざ大きめのサイズを注文したポテト、普通サイズのドリンク、少食な望の感覚では見ているだけでも満腹になってしまうような組み合わせだ。
しかし望以外の三人はキョトンとしている。これくらい普通だろと。確かに食べ盛りな男子高校生ならばそうなのかもしれない、もっと食べる人だっているくらいだ。けれど本当に主張したいのはそこではない。
「時間を考えろって言っているの! ハルくん、今何時?」
「ほぇ? 待って携帯見るー。えーと夕方の四時ー!」
「そうだよね、四時だよね? じゃあもう一つ質問、寮の夕食は何時から?」
「六時!」
晴馬はキラキラと満面の笑みで言い切った。彼は質問の意味が理解出来ていないのか不思議そうに首を傾げてからバーガーにかぶりつく。その幸せそうな顔といったら。
「あのね、夜ご飯まであと二時間しかないんだよ? 今がっつり食べちゃうとほとんど入らないでしょ」
「いや、もちろん普段通り完食できるぞ」
涼し気な顔で否定したのは隼人だ。いつもの無表情を崩さないまま既に三分の一は食べている。早いねと言うと無言でポテトを差し出してくるが、欲しいとは一言も言っていない。
「いりません。そこの人もナゲットを俺の方へ寄せなくていいから」
そこの人もとい龍之介へ眼光を飛ばす。ドリンクしか頼んでいない望の薄い体を心配しているようなことを言っているが無視していると、代わりに晴馬が一つ摘んで口に放り込んだ。
「うまっ! いーなーナゲット、オレも頼もうかな!」
「浅葱、追加注文するのか? それなら俺も行く。アイスが食べたくなってきた」
席を立つ晴馬と隼人の会話を聞いていた望は気がふれそうになるのを堪えて指を組み、ひたすら自問自答した。もはや自分の感覚が間違っているのかと疑ったがきっとそうではない、正しいのは自分だと。
おやつの域をとっくに超えている量をペロリと平らげた彼らは二時間後の夕食もあっさり完食し、なぜか食欲を吸い取られていった望は半分ほど残してしまい、憎々しげに捨て台詞を残すのであった。
「絶対あの人たちの満腹中枢イカれてる」
【完】
「ねぇ、本当にそれ全部食べるの?」
隼人、晴馬、ついでに龍之介へ視線を流し、彼らが頼んだジャンクフードを見ては顔を歪ませる。ボリューム感のあるバーガー、わざわざ大きめのサイズを注文したポテト、普通サイズのドリンク、少食な望の感覚では見ているだけでも満腹になってしまうような組み合わせだ。
しかし望以外の三人はキョトンとしている。これくらい普通だろと。確かに食べ盛りな男子高校生ならばそうなのかもしれない、もっと食べる人だっているくらいだ。けれど本当に主張したいのはそこではない。
「時間を考えろって言っているの! ハルくん、今何時?」
「ほぇ? 待って携帯見るー。えーと夕方の四時ー!」
「そうだよね、四時だよね? じゃあもう一つ質問、寮の夕食は何時から?」
「六時!」
晴馬はキラキラと満面の笑みで言い切った。彼は質問の意味が理解出来ていないのか不思議そうに首を傾げてからバーガーにかぶりつく。その幸せそうな顔といったら。
「あのね、夜ご飯まであと二時間しかないんだよ? 今がっつり食べちゃうとほとんど入らないでしょ」
「いや、もちろん普段通り完食できるぞ」
涼し気な顔で否定したのは隼人だ。いつもの無表情を崩さないまま既に三分の一は食べている。早いねと言うと無言でポテトを差し出してくるが、欲しいとは一言も言っていない。
「いりません。そこの人もナゲットを俺の方へ寄せなくていいから」
そこの人もとい龍之介へ眼光を飛ばす。ドリンクしか頼んでいない望の薄い体を心配しているようなことを言っているが無視していると、代わりに晴馬が一つ摘んで口に放り込んだ。
「うまっ! いーなーナゲット、オレも頼もうかな!」
「浅葱、追加注文するのか? それなら俺も行く。アイスが食べたくなってきた」
席を立つ晴馬と隼人の会話を聞いていた望は気がふれそうになるのを堪えて指を組み、ひたすら自問自答した。もはや自分の感覚が間違っているのかと疑ったがきっとそうではない、正しいのは自分だと。
おやつの域をとっくに超えている量をペロリと平らげた彼らは二時間後の夕食もあっさり完食し、なぜか食欲を吸い取られていった望は半分ほど残してしまい、憎々しげに捨て台詞を残すのであった。
「絶対あの人たちの満腹中枢イカれてる」
【完】