ムベショウ
股座に、黒い髪から覗く項がある。ちゅぱ、じゅぽ、と淫猥な音を立てて、自分の背中を快感という名の電流が走り抜けることだけが確かだった。
「むべさん、どう?」
「しゃべる、な」
そこで喋られては刺激が強すぎる。わしの表情で満足したのか、彼女はぺろりとわしのものを一舐めしてから、色付いた舌を出して笑っていた。その淫靡な表情に、呆れが来る。
そんなこと、何処で覚えた? 日に日にそれが上手くなっていく彼女に問いかけたい気分になるし、実際何度かそう訊いたこともある。当然彼女には他に男はおらず、自分が彼女の初めての、唯一の男であるが故に、娘の返事は決まっている。「あなたから。」今日だって、そう返事が返ってくるのを期待している自分がいる。齢五十を越えて、こんな十代半ばの少女にそのようなことを言わせる自分も、決して良い大人ではないだろう。けれど、少女は赤い舌を白い歯の間から覗かせながらにやりと笑った。
「もっと、そう言って」
わたし、ちょっと背伸びしたい気分なの。そう言いながら娘は胸に巻かれているさらしをゆっくりと解く。ふわりと解かれるさらしの間から、隠せない形のいい胸が見えて。そんなものは何度だって見ているし、見慣れたはずなのに、それでもこう猫のように挑発されては堪らない。くびれができたばかりの白い腰を振っては、少女は慣れた手つきでわしの股座に手をかけるものだから。
その腰に浮いた骨をぐっと掴み、力いっぱいに少女を引きはがすと、彼女はあぁん、と切なそうな声を上げた。
「何するの、ムベさん」
不満げな声だ。口だけでわしを絶頂に導きたかったのだろう。だが、自分の年齢を考えると、そうはさせられない。
「もう充分じゃ」
「でも、まだムベさんが気持ちよくなってないよ」
「これからなれば問題はなかろう?」
そう言いながら彼女をそっと布団に寝かせると、彼女は薄暗がりの中ながら、期待を隠さない熱を持った瞳でじっとわしを見た。
「あんたはわしに、どうされたいのだ」
知っている。その返事を知っている。期待している。その薄い唇から、聞かせてほしい言葉がある。それは品性下劣な言葉。十五の少女が口にしてよいものではない言葉。それでも、これが唯一の恋故に、わしは止まることができず。
これが、恋か。こんなものが、恋か。それを知らずに生きてきた自分には、恋というものがこんなに下劣なものだとは思いもよらなかった。けれど、自分がとうとうそれを手にしてしまったばかりに、絶望とも希望ともつかぬ感情を抱いている。なあ、貴様は今日このムベに何を与えるのか。
「もっと、もっと言って。何処で覚えたって言って。何が欲しいか言ってみろって言って」
そうしたら、わたし、ムベさんの全部が欲しいって言うから。――嗚呼、そんな風に煽られては、こちらの負けだ。あんたのことが欲しいのは、こちらの方なのだから。
白い腰に辛うじて引っかかっていた下履きに乱暴に手をかけると、少女は嫌がりもせずに腰を浮かせる。全て、本気なのだ。彼女の言葉は全部、全部。嗚呼、唯一の恋よ。神には祈らぬが、この恋には祈ろう。
甘い香りがする。気がおかしくなる。こんな香りが、十五の娘の肌からするものだろうか。けれど、この香りも自分が「教え込んだ」ものだ。わしが触れねば、こんなにも染まらなかった肌。誰も知らないままでいた、滑らかな手触り。熱。それはわしの手の中だけにある。
「ムベさん」
好きよ。少女はわしの耳元に息を吹きかける。嗚呼、本当に、何処でそんなことを覚えた? だがその言葉さえも彼女の思惑のままだということに気付いたために、わしは何も言わずにすでに濡れている彼女の中に己のものを挿入した。
「あんっ、ムベさ……ああっ!」
軽く揺すってやるだけで、この悦びようだ。小さな胸が震えている。軽く食んでやると少女はその小さな体を精一杯に反らせて快楽から逃げようとしていた。逃がさない。薄い彼女の腰を引いて強く腰を打ち付けると、彼女は悲鳴をあげて体をよじった。
だが、先に煽ったのはそっちだ。態と音を出すように打ち続けると、先ほどまでの淫靡な笑みは何処へやら。すっかり、元の生娘の顔だった。何を今更。その身体はもう生娘というには遠すぎる。証拠にあんたの秘所はずぶずぶとわしを飲み込み、甘い香りをじわじわとこの暗い部屋に満たしている。
この平坦な交わりにも飽きたろうと善意で体勢を変え、背後から責め立ててやると、ほう、これは顔こそ見えぬがいい光景である。肉のない小さな尻がわしを呑んで離さないのがよく見える。最早何方から出た汁かもわからぬ白濁が、布団に染み落ちそうでもある。腕を後ろへと引っ張って体を反らしてやると、また彼女は鳴いた。
「反るのが好きなのだったか?」
「あんっ、そん、なぁ……いじわる、いわない、でっ……!」
「先ほどの言葉と違うな。言って欲しいんじゃろう?」
「むべさんの、いじわる……っ!」
意地も悪くなろうとも言うものだ。肉のない尻に己のものを打ち付けてやれば、其の度に小さな体が背筋を震わせて泣き喚く。それが堪らなく愛おしいのだ
はて、恋とはこんなものなのだろうか。自問自答に意味はない。ただ今は目の前の白い肉体に全てを注ぎ込みたいということしか考えられない。迷いを振り切るように一際深く子宮まで抉った。
「むべ、さぁん」
「気に入ったのか?」
「じゃなくて、もういじわるしないで、ねえ……これ、怖いよぅ……ムベさんの顔、見たい」
震え、強張っていた四肢が力を失くした。腰を止めると、喘ぎ声がみるみるうちにさめざめとした泣き声に変わっていく。それがどうにも罪悪感を刺激するので、今更ながらこの娘はどうしようもなく哀れな娘だと実感した。
五十も過ぎた男にいい様に舐られて、果てにはこうして涙を流させられている。それはやはり罪悪に感じるもので、一度己のものを少女から抜き、彼女の体を自分と向き合わせた。ろうそくの灯りしか無いこの部屋の暗がりでも、少女の頬に薄く涙がつう、と引いていることだけは確かだった。
「……ムベさん」
蕩けた目から、真珠が溢れる。
「……すまない。ショウ、すまない」
「どうして謝るの」
「お前を汚した」
細い肩口に頬を寄せて彼女を抱きしめると、数秒の後、背中に温もりが触れた。ショウの手である。それはぽん、ぽん、とわしの背中を軽く撫ぜた。
「泣かないで、ムベさん。ほら、せっかく気持ちよくなってるんだよ」
「泣いてなど……」
「じゃあ、顔、見せてほしいな」
ショウに促されるまま彼女の肩口から顔を離すと、少女の手が背中からそっと頬に触れた。
「泣かないで、ムベさん。大好きよ」
だから、二人でもっと気持ちよくなろ? そう、彼女の唇が蠱惑的に動いた。娼婦の真似事をしたと思えば生娘のように恥じたり、泣いたり。そうして今はまた年齢に見合わぬ、艶のある微笑みを湛える少女。嗚呼、お前はそうやって表情をコロコロと変えて、わしを魅了し続ける。
「ムベさん、乗るね」
そう謂うほうが早いか、それとも行動のほうが早かったか。ショウはわしの股座の上に乗りあがり、自ら自分のその穴に、わしのものを導き挿れた。この姿勢だと、随分深く入るらしい。今までわしのものの全てが彼女の中に納まったことはないほどに娘は小さかったが、果たして、わしのものは全て少女の中にすっかり入ってしまった。
ショウは痛みか、悦びか。判らないが、背中を反らせて震えている。流れる涙が何によるものか分からない。
「……ムベさん、これでわたし、全部あなたのもの。ムベさんも、わたしの」
ショウは涙を流しながら、小さく微笑んだ。
そこから先のことは何も覚えていない。只、獣のように彼女を喰らいつくした。その涙も、声も、身体も、全て。自分が涙を流していたことに、朝になってから気付いた。この涙は何だろうか。罪悪だろうか。快楽だろうか。それとも。
「ムベさん」
「……ショウ」
「大好きです」
そうしてショウは、わしの頬に触れるだけの口づけを落とした。
それが、あまりにも苦しく、喜びに満ちていて、朝日を背に受けて微笑むショウが美しかったから――
神には祈らない。けれど、その姿はあまりに艶めかしくて、彼女に祈るのならば悪くないと思い。そうしてやはりこれは唯一の恋だと、やっとわかったのだ。
「むべさん、どう?」
「しゃべる、な」
そこで喋られては刺激が強すぎる。わしの表情で満足したのか、彼女はぺろりとわしのものを一舐めしてから、色付いた舌を出して笑っていた。その淫靡な表情に、呆れが来る。
そんなこと、何処で覚えた? 日に日にそれが上手くなっていく彼女に問いかけたい気分になるし、実際何度かそう訊いたこともある。当然彼女には他に男はおらず、自分が彼女の初めての、唯一の男であるが故に、娘の返事は決まっている。「あなたから。」今日だって、そう返事が返ってくるのを期待している自分がいる。齢五十を越えて、こんな十代半ばの少女にそのようなことを言わせる自分も、決して良い大人ではないだろう。けれど、少女は赤い舌を白い歯の間から覗かせながらにやりと笑った。
「もっと、そう言って」
わたし、ちょっと背伸びしたい気分なの。そう言いながら娘は胸に巻かれているさらしをゆっくりと解く。ふわりと解かれるさらしの間から、隠せない形のいい胸が見えて。そんなものは何度だって見ているし、見慣れたはずなのに、それでもこう猫のように挑発されては堪らない。くびれができたばかりの白い腰を振っては、少女は慣れた手つきでわしの股座に手をかけるものだから。
その腰に浮いた骨をぐっと掴み、力いっぱいに少女を引きはがすと、彼女はあぁん、と切なそうな声を上げた。
「何するの、ムベさん」
不満げな声だ。口だけでわしを絶頂に導きたかったのだろう。だが、自分の年齢を考えると、そうはさせられない。
「もう充分じゃ」
「でも、まだムベさんが気持ちよくなってないよ」
「これからなれば問題はなかろう?」
そう言いながら彼女をそっと布団に寝かせると、彼女は薄暗がりの中ながら、期待を隠さない熱を持った瞳でじっとわしを見た。
「あんたはわしに、どうされたいのだ」
知っている。その返事を知っている。期待している。その薄い唇から、聞かせてほしい言葉がある。それは品性下劣な言葉。十五の少女が口にしてよいものではない言葉。それでも、これが唯一の恋故に、わしは止まることができず。
これが、恋か。こんなものが、恋か。それを知らずに生きてきた自分には、恋というものがこんなに下劣なものだとは思いもよらなかった。けれど、自分がとうとうそれを手にしてしまったばかりに、絶望とも希望ともつかぬ感情を抱いている。なあ、貴様は今日このムベに何を与えるのか。
「もっと、もっと言って。何処で覚えたって言って。何が欲しいか言ってみろって言って」
そうしたら、わたし、ムベさんの全部が欲しいって言うから。――嗚呼、そんな風に煽られては、こちらの負けだ。あんたのことが欲しいのは、こちらの方なのだから。
白い腰に辛うじて引っかかっていた下履きに乱暴に手をかけると、少女は嫌がりもせずに腰を浮かせる。全て、本気なのだ。彼女の言葉は全部、全部。嗚呼、唯一の恋よ。神には祈らぬが、この恋には祈ろう。
甘い香りがする。気がおかしくなる。こんな香りが、十五の娘の肌からするものだろうか。けれど、この香りも自分が「教え込んだ」ものだ。わしが触れねば、こんなにも染まらなかった肌。誰も知らないままでいた、滑らかな手触り。熱。それはわしの手の中だけにある。
「ムベさん」
好きよ。少女はわしの耳元に息を吹きかける。嗚呼、本当に、何処でそんなことを覚えた? だがその言葉さえも彼女の思惑のままだということに気付いたために、わしは何も言わずにすでに濡れている彼女の中に己のものを挿入した。
「あんっ、ムベさ……ああっ!」
軽く揺すってやるだけで、この悦びようだ。小さな胸が震えている。軽く食んでやると少女はその小さな体を精一杯に反らせて快楽から逃げようとしていた。逃がさない。薄い彼女の腰を引いて強く腰を打ち付けると、彼女は悲鳴をあげて体をよじった。
だが、先に煽ったのはそっちだ。態と音を出すように打ち続けると、先ほどまでの淫靡な笑みは何処へやら。すっかり、元の生娘の顔だった。何を今更。その身体はもう生娘というには遠すぎる。証拠にあんたの秘所はずぶずぶとわしを飲み込み、甘い香りをじわじわとこの暗い部屋に満たしている。
この平坦な交わりにも飽きたろうと善意で体勢を変え、背後から責め立ててやると、ほう、これは顔こそ見えぬがいい光景である。肉のない小さな尻がわしを呑んで離さないのがよく見える。最早何方から出た汁かもわからぬ白濁が、布団に染み落ちそうでもある。腕を後ろへと引っ張って体を反らしてやると、また彼女は鳴いた。
「反るのが好きなのだったか?」
「あんっ、そん、なぁ……いじわる、いわない、でっ……!」
「先ほどの言葉と違うな。言って欲しいんじゃろう?」
「むべさんの、いじわる……っ!」
意地も悪くなろうとも言うものだ。肉のない尻に己のものを打ち付けてやれば、其の度に小さな体が背筋を震わせて泣き喚く。それが堪らなく愛おしいのだ
はて、恋とはこんなものなのだろうか。自問自答に意味はない。ただ今は目の前の白い肉体に全てを注ぎ込みたいということしか考えられない。迷いを振り切るように一際深く子宮まで抉った。
「むべ、さぁん」
「気に入ったのか?」
「じゃなくて、もういじわるしないで、ねえ……これ、怖いよぅ……ムベさんの顔、見たい」
震え、強張っていた四肢が力を失くした。腰を止めると、喘ぎ声がみるみるうちにさめざめとした泣き声に変わっていく。それがどうにも罪悪感を刺激するので、今更ながらこの娘はどうしようもなく哀れな娘だと実感した。
五十も過ぎた男にいい様に舐られて、果てにはこうして涙を流させられている。それはやはり罪悪に感じるもので、一度己のものを少女から抜き、彼女の体を自分と向き合わせた。ろうそくの灯りしか無いこの部屋の暗がりでも、少女の頬に薄く涙がつう、と引いていることだけは確かだった。
「……ムベさん」
蕩けた目から、真珠が溢れる。
「……すまない。ショウ、すまない」
「どうして謝るの」
「お前を汚した」
細い肩口に頬を寄せて彼女を抱きしめると、数秒の後、背中に温もりが触れた。ショウの手である。それはぽん、ぽん、とわしの背中を軽く撫ぜた。
「泣かないで、ムベさん。ほら、せっかく気持ちよくなってるんだよ」
「泣いてなど……」
「じゃあ、顔、見せてほしいな」
ショウに促されるまま彼女の肩口から顔を離すと、少女の手が背中からそっと頬に触れた。
「泣かないで、ムベさん。大好きよ」
だから、二人でもっと気持ちよくなろ? そう、彼女の唇が蠱惑的に動いた。娼婦の真似事をしたと思えば生娘のように恥じたり、泣いたり。そうして今はまた年齢に見合わぬ、艶のある微笑みを湛える少女。嗚呼、お前はそうやって表情をコロコロと変えて、わしを魅了し続ける。
「ムベさん、乗るね」
そう謂うほうが早いか、それとも行動のほうが早かったか。ショウはわしの股座の上に乗りあがり、自ら自分のその穴に、わしのものを導き挿れた。この姿勢だと、随分深く入るらしい。今までわしのものの全てが彼女の中に納まったことはないほどに娘は小さかったが、果たして、わしのものは全て少女の中にすっかり入ってしまった。
ショウは痛みか、悦びか。判らないが、背中を反らせて震えている。流れる涙が何によるものか分からない。
「……ムベさん、これでわたし、全部あなたのもの。ムベさんも、わたしの」
ショウは涙を流しながら、小さく微笑んだ。
そこから先のことは何も覚えていない。只、獣のように彼女を喰らいつくした。その涙も、声も、身体も、全て。自分が涙を流していたことに、朝になってから気付いた。この涙は何だろうか。罪悪だろうか。快楽だろうか。それとも。
「ムベさん」
「……ショウ」
「大好きです」
そうしてショウは、わしの頬に触れるだけの口づけを落とした。
それが、あまりにも苦しく、喜びに満ちていて、朝日を背に受けて微笑むショウが美しかったから――
神には祈らない。けれど、その姿はあまりに艶めかしくて、彼女に祈るのならば悪くないと思い。そうしてやはりこれは唯一の恋だと、やっとわかったのだ。
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