山田三郎と放課後の共犯者
name
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「三郎~今日はどのゲームやる!?」
「いつもの」
「よし来た!俺の本気見せてやるぜ!!」
「ん、壁にめり込む覚悟しといて」
「最近なんかよく物騒なこと言うなぁお前」
放課後、夕日が差し込む教室の窓際。
いつもの場所で僕らは落ち合って話をしていた。誰にも邪魔されずに、二人きりで。
結局葵は僕との対戦ではあの時のまぐれ以降、いい所まで行くことはあったが矢張り僕には勝てず、いつか絶対もう一度負かすと豪語していた。いつかそんな日が来るといいな、と返せば目を三角にして僕の頭を拳骨でぐりぐり押したっけ。
それはさておき、僕は今とても機嫌が悪かった。
どうやらこいつは可愛い女の人に目がなくてたまに僕を置いて違うところに行ってしまうのだ。まあ今回もそれが発動して……僕はちょっとだけ、怒っている。
「ねえ」
「ん~?なんだよ」
「……保健室の先生と仲いいの?」
「…………あれ、さぶろ~もしかして嫉妬?」
「茶化すなよ、今日だって授業サボって保健室行ってたろ」
「安心しろよマジで腹痛かったんだって」
「ふーん……どうだか」
まったく、こんなに好きにさせておいて元凶である自分は他の人に目移りするだなんて嫌な奴。
でも僕は知っている。誰にでも優しくて明るいこいつがぜったい、僕以外に見せない顔。
「……葵」
「っは……三郎お前な、教室だぞここ」
「あの時お前だって僕にあんなキスしたくせに」
「それとこれとは……人が来たらどうすんだよ」
「僕に集中しなよ」
僕は机に腰掛けたこいつの足に跨る。顔を寄せればこくん、と唾を飲み込む音が聞こえた。僕は首筋に吸い付いてそのまま跡を残した。これで虫除けにはなるはずだ。
「……さぶろー、これ、不純異性交遊って言うんだぞ」
「僕ら同性じゃん」
「えー、じゃあ……不純同性交遊?」
「……まあ、知ってるよ、だからなに……っあ!」
こいつが突然腰を抱き寄せて耳を食むので思わず声が出てしまった。そして首筋に吸いつかれて、同じように跡を残される。今度は後頭部を優しく撫でられて……もう危ないと僕の頭が告げる。主導権を握らないと、また────
「はい、これで共犯だな」
僕の体は言うことを聞かなくなってしまうのだ。
───放課後、共犯者と
8/8ページ