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　イリーナ先生がクラスに馴染んだ(？)後私たちは地獄のような居残りに付き合わされている。現在の心情としては本当に早く帰りたいんだけど暗殺者としてのテクニックがどうとかこうとかでクラス全員言いくるめられてしまったのだ。(ちなみに渚はいの一番に犠牲となった)

中学生への仕打ちとしてはあまりにも生々しいレッスンに全員が若干引いているなか赤羽はどこか余裕そうな顔で私の右隣に座っていた。あれから私を脅すような真似やクラスメイトにバラす素振りも見られない。そんな態度に私も慣れつつなんとか隣にいても平常心が保てるようになった。

現在進行形で前原が被害者になっているのだが普段チャラついた男とはいえ不憫に見える。思春期の子どもにやることじゃないでしょ。クラス全員むさぼり喰うつもりなのか定かではないがイリーナ先生は色っぽく髪をかきあげた。


「小手先のテクニックに頼りすぎよ」


　中学生相手に言う台詞じゃないんだって。さすがにあれに巻き込まれるのは御免だと荷物をまとめ始めれば隣の赤羽が退屈そうにあくびをする。不幸なことに私が立ち上がったのと同時にイリーナ先生とばっちり目が合ってしまった。こんなことに付き合う義理はないね。


「渋沢のどか･･･で合ってるかしら。まだ全員の顔と名前が一致していないものだから」
「いろんな事情があるので帰っていいですか」
「あ、それは俺も賛成。ビッチ先生の居残り暇だから」


　お前は出てくるな赤羽。イリーナ先生とタイマンで話し合いして帰るつもりだったのに思いがけない赤羽の加勢で不本意な二対一の構図ができあがる。しかし異論があったのは他のクラスメイトも同じなようで次々(おそらくでっちあげの)帰る理由を吐き出した。

歯医者があるから。女の子とデートがあるから。そういえば待ち合わせをしてたんだった。病院に行く予定だった。先生を刺激し過ぎない言い訳を。鞄の紐を握りしめ突っ立っていれば赤羽に「渋沢さん言い訳下手すぎじゃない？」と言われてしまった。うるさいな。言い返せずくちびるを噛む。


「良いわ。ディープキステストに合格した者から帰りなさい！」


　なんも変わんねえだろとクラス中の顔が歪む。ドン引きしてる間にもイリーナ先生は獲物をハントし肉欲の罠へ貶めていく。赤羽はけろりとそれを終わらせ帰るので拍子抜け。いろんな先生が居るのだなあと思いつつ、やはり誰もすきにはなれなかった。


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