トキシックのせいにしたい【ANST】
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帰り道、見るからに憔悴した私を見て渚は心配そうな顔をした。今日一日まともな気分でいられなかったしそのお陰で食欲も無く弁当を半分ほど残してしまった。早く赤羽への緊張を消さないと。久しぶりの再会が最悪だっただけにげんなりする。
「様子がおかしいけど大丈夫?」
「・・・うん。すこしだけ、赤羽にびっくりしちゃって」
「・・・業くんはちょっと破天荒だもんね」
私の心中を察するような苦笑いをする渚。去年三人で遊びに行ったこともあるけど絡んできた悪質な高校生をボコボコにした光景を目の当たりにしたのをよく覚えてる。喧嘩っ早い気質はどうにかならないかな。それで器用で何でも卒なくこなせる頭のよさを持ってるから厄介なのだ。
隣で歩く渚を見て思う。背が伸びた。小柄なことを度々からかわれる渚だけど、小学校の頃から付き合いのある私は彼が成長したことを知っている。小学校は男子のほうが小さいなんてよく言うが本当に私より小さかった。それが微々たるものだが私を越しているのだから充分。見つめ続けると、渚は照れ臭そうに笑いながら尋ねてきた。
なんでもないよ。笑いながら答える。・・・悲しいような嬉しいような、複雑な心境で彼を見守ることが私の役目。誰に頼まれた訳でもないけれど私は渚を見守らなければならない。彼の環境は易々他人に明かせないほど壮絶である。互いに助け合いながら生きてきた私たち。私にとって渚は欠けてはならない存在だ。彼を失うことを考えるとぞっとする。
「のどか」
「なに?」
「ずっと聞けなかったことがあるんだけど・・・聞いていい?」
「うん」
神妙な顔つきが夕陽に照らされて凛々しく見えた。それでもすらりとした鼻筋が少女のように見えたのが皮肉だった。彼は私の方を見ないのか見られないのか目の前の空(くう)だけを見つめて歩き続ける。渚がそうしたように私も適当なところへ視線を合わせた。私たちはちょっと不器用だ。それでいて、ちょっとだけ不誠実だ。何かに怯えるとき目を合わせることができない。
「なんでE組に来たの?」
「・・・」
「A組から落ちるほど頭悪くないでしょ」
「浅野の、顔を、ぶん殴っちゃって・・・」
「どっちを?!」
正直に打ち明けると渚は勢いよくこちらへ顔を向けた。あんまり驚いたのかそこで急停止。息子のほう。私が目をそらしているのを見た渚は「ええ・・・」と困惑を隠しきらない様子で立ち尽くすばかりだった。
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帰り道、見るからに憔悴した私を見て渚は心配そうな顔をした。今日一日まともな気分でいられなかったしそのお陰で食欲も無く弁当を半分ほど残してしまった。早く赤羽への緊張を消さないと。久しぶりの再会が最悪だっただけにげんなりする。
「様子がおかしいけど大丈夫?」
「・・・うん。すこしだけ、赤羽にびっくりしちゃって」
「・・・業くんはちょっと破天荒だもんね」
私の心中を察するような苦笑いをする渚。去年三人で遊びに行ったこともあるけど絡んできた悪質な高校生をボコボコにした光景を目の当たりにしたのをよく覚えてる。喧嘩っ早い気質はどうにかならないかな。それで器用で何でも卒なくこなせる頭のよさを持ってるから厄介なのだ。
隣で歩く渚を見て思う。背が伸びた。小柄なことを度々からかわれる渚だけど、小学校の頃から付き合いのある私は彼が成長したことを知っている。小学校は男子のほうが小さいなんてよく言うが本当に私より小さかった。それが微々たるものだが私を越しているのだから充分。見つめ続けると、渚は照れ臭そうに笑いながら尋ねてきた。
なんでもないよ。笑いながら答える。・・・悲しいような嬉しいような、複雑な心境で彼を見守ることが私の役目。誰に頼まれた訳でもないけれど私は渚を見守らなければならない。彼の環境は易々他人に明かせないほど壮絶である。互いに助け合いながら生きてきた私たち。私にとって渚は欠けてはならない存在だ。彼を失うことを考えるとぞっとする。
「のどか」
「なに?」
「ずっと聞けなかったことがあるんだけど・・・聞いていい?」
「うん」
神妙な顔つきが夕陽に照らされて凛々しく見えた。それでもすらりとした鼻筋が少女のように見えたのが皮肉だった。彼は私の方を見ないのか見られないのか目の前の空(くう)だけを見つめて歩き続ける。渚がそうしたように私も適当なところへ視線を合わせた。私たちはちょっと不器用だ。それでいて、ちょっとだけ不誠実だ。何かに怯えるとき目を合わせることができない。
「なんでE組に来たの?」
「・・・」
「A組から落ちるほど頭悪くないでしょ」
「浅野の、顔を、ぶん殴っちゃって・・・」
「どっちを?!」
正直に打ち明けると渚は勢いよくこちらへ顔を向けた。あんまり驚いたのかそこで急停止。息子のほう。私が目をそらしているのを見た渚は「ええ・・・」と困惑を隠しきらない様子で立ち尽くすばかりだった。
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