トキシックのせいにしたい【ANST】
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
.
これが少女漫画なんかの中なら赤羽に恋をしてしまうのだろうな。しかし現実はこの上なく無情で、私たちは少女漫画ではない。だからこれも愛の象徴ではない。追い詰められたということを視覚と触覚の両方で嫌でも自覚させられる。頭の真横に伸びる腕は筋肉質でかくばっている。殴られたらひとたまりもない。
ゲーム機器の赤い光に照らされた赤羽の顔がより邪悪に際立って見える。これ以上問い詰められるのは限界。もう彼の中に答えは出ているだろう。それなら。・・・それなら、私に答え合わせを求めるのはあまりにも残酷だ。でも目をそらしたら殺されそうで震えながらも必死に体裁を保つ。
「・・・やめ、て」
心臓がバクバクと脈打ってうるさい。でもその鼓動は恋煩いなんかのそれではなくて、誰にも言わない過去を知られてしまった焦燥だけが私の中でうずまいていった。どうしよう。あれは誰にも知られちゃいけない。赤羽はからかうように笑う。私のことを馬鹿にするかのように笑う。
「そんなに怯えないでよ。ねえ、どうやったの?」
「わたしは、わたしは・・・」
だんだんと涙が出てきてしまった。呼吸が荒くなっていく。ざわめいて電子音のうすぐらいゲームセンター。私は違う。私は違う! UFOキャッチャーのポップな音楽が不釣り合いだ。肩幅が広く大きな体と、ひんやりとした顔がもう目の前。圧迫感で涙がこぼれ落ちていく。大きな手のひらが私の片頬を包んで涙をぬぐった。
不快だ。たまらなく不快だ。赤羽の手は皮が厚く固く男らしかった。そうしている間にも涙がぼろぼろと出てしまって、落ちるたび彼の手が親指で拭う。足が震える。立っているのにも精一杯だ。とうとう立っていることもできなくなってしまってずるずると崩れ落ちた。赤羽もそんな私に合わせるようしゃがむ。
ごめんなさい。許してください。誰のための謝罪かは分からなかった。女児用カードゲームの音声が響く。私の嗚咽と混ざる。ごめんなさ。百円を入れてね。い。登録カード。ごめ。ん。きらっと夢みたいに。いや。や。たのし。やめて。い魔法使いに。
泣きながら赤羽を突き飛ばした。力で敵うはずもなかったのにあっさりと解放してくれた。無我夢中で駅まで走って、赤く腫れた目を隠して帰っていった。
.
これが少女漫画なんかの中なら赤羽に恋をしてしまうのだろうな。しかし現実はこの上なく無情で、私たちは少女漫画ではない。だからこれも愛の象徴ではない。追い詰められたということを視覚と触覚の両方で嫌でも自覚させられる。頭の真横に伸びる腕は筋肉質でかくばっている。殴られたらひとたまりもない。
ゲーム機器の赤い光に照らされた赤羽の顔がより邪悪に際立って見える。これ以上問い詰められるのは限界。もう彼の中に答えは出ているだろう。それなら。・・・それなら、私に答え合わせを求めるのはあまりにも残酷だ。でも目をそらしたら殺されそうで震えながらも必死に体裁を保つ。
「・・・やめ、て」
心臓がバクバクと脈打ってうるさい。でもその鼓動は恋煩いなんかのそれではなくて、誰にも言わない過去を知られてしまった焦燥だけが私の中でうずまいていった。どうしよう。あれは誰にも知られちゃいけない。赤羽はからかうように笑う。私のことを馬鹿にするかのように笑う。
「そんなに怯えないでよ。ねえ、どうやったの?」
「わたしは、わたしは・・・」
だんだんと涙が出てきてしまった。呼吸が荒くなっていく。ざわめいて電子音のうすぐらいゲームセンター。私は違う。私は違う! UFOキャッチャーのポップな音楽が不釣り合いだ。肩幅が広く大きな体と、ひんやりとした顔がもう目の前。圧迫感で涙がこぼれ落ちていく。大きな手のひらが私の片頬を包んで涙をぬぐった。
不快だ。たまらなく不快だ。赤羽の手は皮が厚く固く男らしかった。そうしている間にも涙がぼろぼろと出てしまって、落ちるたび彼の手が親指で拭う。足が震える。立っているのにも精一杯だ。とうとう立っていることもできなくなってしまってずるずると崩れ落ちた。赤羽もそんな私に合わせるようしゃがむ。
ごめんなさい。許してください。誰のための謝罪かは分からなかった。女児用カードゲームの音声が響く。私の嗚咽と混ざる。ごめんなさ。百円を入れてね。い。登録カード。ごめ。ん。きらっと夢みたいに。いや。や。たのし。やめて。い魔法使いに。
泣きながら赤羽を突き飛ばした。力で敵うはずもなかったのにあっさりと解放してくれた。無我夢中で駅まで走って、赤く腫れた目を隠して帰っていった。
.