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置き場

5.とある新刃の1日の話・3

2018/06/22 02:17
ちっちゃな兼さんのいる本丸
「はいお疲れ様!」
「おーっす」

今日最後の仕事である資材の在庫確認が終わり、俺は思い切り背を伸ばした。
流石に1日ずっとやってると疲れるもんだ。

「大分慣れてきたねー。もうすぐ第四部隊の交代もかかりそうだし、研修終わりかな」
「交代? って新入りは第四部隊隊長で経験積むんだったか?」
「そ。今の静さんから交代ね。長いからこっちの仕事忘れないようにね~~」
「おお……」

なんというか、この本丸に慣れるにはまだまだ時間がかかりそうだ。

「さ、夕飯いこっか。今日の報告事項は秘宝の里の定例だけでよさそうだね」
「おう、そうだな。第二部隊の遠征帰還だけ少し遅くなりそうだが」
「ってことは堀川いないのかー。今日は和泉守の近くで食べるかな」

ぼやく加州に苦笑する。一見面倒くさそうだが、なんだかんだ皆彼に甘いことだけはよくわかっている。

「加州さーん、南泉さーん!」
「お、浦島に蜂須賀」
「やぁ。遠征帰還したよ」

呼び声に応えれば、いくつかの資材を抱えた二人の姿が見えた。
二人は第四部隊だ。どうやら資材を確認している間に帰還していたようだ。

「もう今日は数え終わっちゃったからそっちの棚置いといて。明日に回そ」
「おう、まだ残ってるにゃあ?」
「残ってないよー短い遠征だったから二人で持ってこれちゃった」

よいしょ、っと指定された場所に資材を置く浦島を手伝いつつ、報告を聞く。報告書は静型が既に執務室に届けているらしい。なら近侍の陸奥守あたりが処理しているだろう。
大丈夫そうだろうと結論付け、そのまま4人で話しながら大広間へと向かう。

「俺たちは着替えてくるよ」
「おっけー、俺らは手伝いいくか」

大広間前で彼らと別れ、中に入れば、手伝いの短刀たちがぱたぱたとお膳を運んでいる。
夕食は大皿で分けたり、一人一膳だったりと色々だが、今日は一膳らしい。厨当番は一日同じく、第八部隊だ。

「一期、手伝いきたよー」
「ああ、ありがとうございます。そちら空いてますので巻いていただけますか」

フライパンでくるり、と卵を巻きながら指さしたのは空いている電子コンロとチキンライス。朝もみたな似たような光景。
あまり気にしたことはなかったが、彼は卵料理が得意なのだろうか。

「オムライスか、いいね」
「南泉はこっちで混ぜるの手伝ってもらってもいいかい?」
「おう日向。いいぜ」

小さな身体で一生懸命にかき混ぜるボウルの中にはポテトサラダ。
俺が近づけば、小さな厨の妖精たちがこれこれというように大きなボウルを差し出しマヨネーズをいれる。何度か手伝ったがわりと重労働なんだよな、これ。
並んで混ぜていたがそのうち日向がサラダ用の更に盛る係になり、俺が次々渡されるボウルを混ぜ続ける。混ぜる、混ぜる、混ぜる……70人分の用意とかほんと地獄だな……。

ふと気が付けば、大広間の方は賑やかな声が大きくなっていて厨の中で手伝う付喪の数も増え、次のボウルもなくなっていた。凝った肩を回す。

「お疲れ、助かったよ」
「おー、疲れるにゃあ……」

結局昼寝できてねぇし、あー、寝たい。
一期が足りないものの確認で声を張り上げ、日向もざっと周りを見渡している。次郎がさくっと酒瓶を取り出して持っていくのが見えた。俺も今日はお相伴にあずかろうか、と考える。
気づけば加州の姿もないので、彼はすでに大広間に移動したのだろうか。
手伝うこともなさそうだし、と俺も移動する。酒盛り連中の席の近くに視線を向ければ程よく離れた場所に空いていたので、そちらに足を向けた。

「お、南泉おつかれさん!」
「おっす」

気づいて手を挙げ笑うのは獅子王だ。周辺に座っていたソハヤや同田貫もよう、と手を挙げている。誘われるままにその席に座る。こいつらは騒がしくてなんとなく気が合う。

「はーい、用意できた? 全員座れー!」

前で加州が声を張り上げているのを聞きながら、楽しい夕食を過ごした。

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