「いっちゃったねぇ」
「いっちゃったな」
「たく、あいつらしいな」

綺麗に整えられた彼の部屋の前で、僕たちは顔を見合わせて笑った。
夕餉が終わったタイミングで行くと決めていたらしい。片付けを終わらせて来てみればこの通りだ。

「伽羅ちゃん、主くんに挨拶したのかな」
「どーだろーなー。いつでもいけよーって言ってたから、勝手に道具取っていったのかも」
「いやさすがに黙っていくなんてことは……ないよな？」

鶴さんがこてん、と首を傾げ、それにさあ？と貞ちゃんも首を傾げた。

「まあ、出発できたみたいだし、いいんじゃないかい？」
「そうだな！　伽羅、どんな服着てくるんだろうな～」
「手紙来たら、みせてもらいにいくか」

そうだね、と頷いたとともに。ふと浮かんだ疑問が口に出る。

「伽羅ちゃん、手紙送ってくれるかな」
「さすがに……どうだろうな？」
「いやさすがの伽羅も手紙くらい……くれるかな？」