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Gatto che corre nel cielo notturno

「え!ナム事務長に言ったの?」
「うん。言ったよ。ママも聞いてたでしょ。」
 所変わってチャヨンとジェナ、2人は朝の支度に追われていた。 
 それも相まってか朝からこの親子慌ただしく会話をしている。
「ママが聞いたのは『パパは格好良いの!』ってとこからよ」
「んー・・・」
「『会いに行く』って?」
「んー・・・」
「言ったのね?」
 髪を整えながら鏡越しに会話を続ける2人。
「言ったかも!ん?言った?うーん。」
「そもそもパパに会いに行くなんてママあなたに言った?いつ?」
「ママ覚えてないの?」
 ジェナは後ろでピアスをつけるチャヨンに振り返り尋ねた。
「んー・・・」
 今度はチャヨンの番だ。
「ママ忘れてるみたいだからジェナが教えてあげるね。」
「・・・はい。」
 それぞれが作業を中断し目を合わせて続けた。
「ママがテーブルさんとお話してた時」
「あ・・・」
「突然ね、パソコンに入ってるパパの顔を見ながら言ったのよ」
「ん~~・・・言ったかも・・・」
「会いに行くあなたと出会った季節に。」
 チャヨンも自分が言った言葉を思い出し、
「「あなたの育った国で」」
 二人顔を見合わせ同時に答えた。
「なんで正確に覚えてるのよ!」
 せっかく整えた長い髪を掻き乱しながらチャヨンが叫ぶ。
「だって、凄く嬉しかったの。わたしがパパに会えるのも。ママがパパに会えるのも。」
 そう言ってジェナは彼によく似た笑顔をチャヨンに向けた。



「ほんと、深酒しちゃダメね。」
 ジェナを保育園に送り届け、クムガプラザ駐車場の車内でチャヨンはひとり呟いた。
「パソコンまで開いてた?信じられない!」
 ああー!とハンドルに顔をうずめた。娘にあんな姿を見られてしまうなんて。情けない。
 でもお酒は止められない。
「気を付ければいいのよ!」
 半ば開き直る形でチャヨンは答えを出した。
 しかし、議題はもうひとつあった。
 それは、「ジェナが本気にしている」という事だ。
「会いに行くつもりはない」
 そうキッパリ言おうものなら娘を傷付けてしまう。
 でも、会いに行けるはずもない。
 この議題はいつか来る次回への持ち越しとなった。



「パパに会いに行くってそれは嬉しそうでしたよ」
 始業開始からしばらくしてナム事務長が地雷を踏んだ。
「同じ組のテギョンくんパパの事ね!!」
 チャヨンがその地雷を寸前で破壊した。
 だが、もちろんテギョンくんパパのことでは無い。
 どこか訝しげなナム事務長に持ち前の威圧感で対抗するチャヨン。
「そうですか!同じ組の!」
 何かを察したのかナム事務長はチャヨンに同調することにした。
「そうよ、テギョンくんの!じゃあ、わたし依頼人に会ってくるわねー。」
 怪しまれないように平静を装って藁を後にするチャヨンだったが、
「そんなわけないよね・・・」
 と、愛車に微笑むナム事務長がいた。



「ふぅ。バベルのお陰ですっかり人権派弁護士になっちゃったわ。」
 依頼人との会合も終わり、チャヨンはひとり車を走らせていた。
「私がお父さんみたいに他人のためにあくせく働いてるなんてね。お父さんきっと笑ってるわね。」
 不服っぽく口では言うがまた同時に、
「ふふっ。」
 と、チャヨンは笑った。



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