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Gatto che corre nel cielo notturno

 チャヨンがテーブルと会話をしているその頃、藁のににかかる絵葉書の場所、マルタ島のとある小さな島にヴィンチェンツォはいた。
 現地は夕方の5時、太陽が地中海を優しく撫でるように照らしている。ゆったりと流れる時間に身を任せ、心が静寂に満たされ始めたその時、無機質な振動音が部屋に響いた。
「ルカ、君から連絡が来るということは、そういうことか?」
「コンシリエーレ・・・」
「パオロがまた?」
「そうです。貴方ばかり頼ってしまって申し訳ない。」
「君の頼みなら断る理由はないさ。」
 詳しい話は会ってから、とルカはどこか慌てた様子で電話を切った。
(パオロ、お前がボスの座を退いて7年経つが、やはり駄目な奴は駄目なままか。)
 ふう。と短い溜息をつき、ヴィンチェンツォはワインを一口含みながら輝く海を見て、いやその遥か先に想いを馳せそうになった自分を鼻で笑い、少しずつ冷たくなる海風を浴びていた。



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