Gatto che corre nel cielo notturno
イタリアでの時刻は01:30頃、とは言えギリシャにある本陣でヴィンツェンツォ達を乗せ韓国へと出発軍用輸送機はすでにイタリア時刻圏外を飛んでいた。
機内では、
「アンさんからは『国家情報院を救ってくれたヴィンツェンツォさんを探してほしい。イタリアに住む知人から彼が今何をしようとしているのか報告を受けた。彼のことだから手を引くとは思うが・・・。あぁ、そのことはいい。とにかく、彼を見つけて連れてきて欲しい。恩返しがしたいんだ。』という依頼内容です。」
シジンがヴィンツェンツォにいきさつを説明していた。
「義理堅い男だ。」
ヴィンツェンツォがアンの今にも泣きそうな顔(平時でも)を思い出し、フッと笑った。
シジンは自分と全く同じ顔でありながら笑顔一つさえ似ていないヴィンツェンツォを再び興味深げに見つめながらヴィンツェンツォに言った。
「あなたはいわばVIPのようなものですね。大切な客人なので色々調べましたが、祖国でのあなたの評価をご存じでしょうか。」
「俺のことを調べたのなら知っているだろう。国際指名手配中の身だ。あなたの言う祖国からすれば敵だな。」
「確かにそうでした。しかし、この7年でそれが覆されたのですよ。」
「有り得ない話だ。」
「確かに7年前、あなたは祖国の敵だった。祖国はあなたに関わりがあったであろう当時の事件全てをあなたのせいにした。ですが、時は流れ、事件の真相を知ろうとする者が一人、また一人と現れた。スマホ一つあれば北のかの国以外、地球上の出来事はある程度把握できる。幼稚園児でさえ。」
「俺の信者でも現れたって言うのか。」
「信者もいるでしょうね。あなたは当時庶民には悪徳企業でしかなかったバベルグループの会長、その法定代理人たちをそれはそれは残忍な方法で権力の座から引きずりおろした。あなたもご存じのはずだ、彼らに命を奪われた者の遺族たちの無念さを。」
「知っているさ。俺が手を差し伸べておいて救うことさえできず、命を奪ってしまった人たちがいる。」
ヴィンツェンツォは思いつめた表情で俯く。シジンはヴィンツェンツォの肩に手を置き言葉を続けた。
「それはあなたのせいではない。彼ら以外にも7年前まで無念さを抱え、自ら日陰を選び、沈黙していた遺族たちがいた。彼らがこの数年のうちに立ち上がったんです。あなたの犯した罪は消えないが、遺族や真相を追い続ける者たちの間ではあなたは英雄なんです。少なくとも、あなた一人だけに泥を塗るような7年前の祖国ではない。」
「そうだといいが・・・」
そうですよ。とシジンはヴィンツェンツォに微笑みかけた。
すると、
「ビッグボス、アン殿より中継です。」
ウルフが開いたノートパソコンをシジンに差し出した。
「アン殿、無事にビンセンジョさんを見つけました。今向かっているところです。」
シジンがにこやかにモニターの向こうにいるアンに報告すると、
「状況が変わった。落ち合う予定だった場所に向かえそうにない。」
神妙な面持ちでアンは答えた。
「久しぶりだね。アン君。」
アンのモニターにシジンの横からヴィンツェンツォが映り込む。
「コンシリエーレ・・・。やっと会えた。」
突然の再会に表情筋の緊張が一気に解け、言葉に詰まるアンだったが、
「状況はどうなっているんだ。」
ヴィンツェンツォが問いかけた途端、アンは表情を強張らせ、
「本来であれば、落ち合う場所へ私がお迎えに上がる予定でしたが、クムガプラザから出られそうにありません。」
「韓国に入り次第、自力でプラザに向かうよ。心配いらない。」
「ですが、プラザに警察が向かっています。入れるかどうか・・・。」
「「「どう言うことだ。ですか。」」」
モニターにシジン、ヴィンツェンツォ、ウルフが詰め寄る。
機内では、
「アンさんからは『国家情報院を救ってくれたヴィンツェンツォさんを探してほしい。イタリアに住む知人から彼が今何をしようとしているのか報告を受けた。彼のことだから手を引くとは思うが・・・。あぁ、そのことはいい。とにかく、彼を見つけて連れてきて欲しい。恩返しがしたいんだ。』という依頼内容です。」
シジンがヴィンツェンツォにいきさつを説明していた。
「義理堅い男だ。」
ヴィンツェンツォがアンの今にも泣きそうな顔(平時でも)を思い出し、フッと笑った。
シジンは自分と全く同じ顔でありながら笑顔一つさえ似ていないヴィンツェンツォを再び興味深げに見つめながらヴィンツェンツォに言った。
「あなたはいわばVIPのようなものですね。大切な客人なので色々調べましたが、祖国でのあなたの評価をご存じでしょうか。」
「俺のことを調べたのなら知っているだろう。国際指名手配中の身だ。あなたの言う祖国からすれば敵だな。」
「確かにそうでした。しかし、この7年でそれが覆されたのですよ。」
「有り得ない話だ。」
「確かに7年前、あなたは祖国の敵だった。祖国はあなたに関わりがあったであろう当時の事件全てをあなたのせいにした。ですが、時は流れ、事件の真相を知ろうとする者が一人、また一人と現れた。スマホ一つあれば北のかの国以外、地球上の出来事はある程度把握できる。幼稚園児でさえ。」
「俺の信者でも現れたって言うのか。」
「信者もいるでしょうね。あなたは当時庶民には悪徳企業でしかなかったバベルグループの会長、その法定代理人たちをそれはそれは残忍な方法で権力の座から引きずりおろした。あなたもご存じのはずだ、彼らに命を奪われた者の遺族たちの無念さを。」
「知っているさ。俺が手を差し伸べておいて救うことさえできず、命を奪ってしまった人たちがいる。」
ヴィンツェンツォは思いつめた表情で俯く。シジンはヴィンツェンツォの肩に手を置き言葉を続けた。
「それはあなたのせいではない。彼ら以外にも7年前まで無念さを抱え、自ら日陰を選び、沈黙していた遺族たちがいた。彼らがこの数年のうちに立ち上がったんです。あなたの犯した罪は消えないが、遺族や真相を追い続ける者たちの間ではあなたは英雄なんです。少なくとも、あなた一人だけに泥を塗るような7年前の祖国ではない。」
「そうだといいが・・・」
そうですよ。とシジンはヴィンツェンツォに微笑みかけた。
すると、
「ビッグボス、アン殿より中継です。」
ウルフが開いたノートパソコンをシジンに差し出した。
「アン殿、無事にビンセンジョさんを見つけました。今向かっているところです。」
シジンがにこやかにモニターの向こうにいるアンに報告すると、
「状況が変わった。落ち合う予定だった場所に向かえそうにない。」
神妙な面持ちでアンは答えた。
「久しぶりだね。アン君。」
アンのモニターにシジンの横からヴィンツェンツォが映り込む。
「コンシリエーレ・・・。やっと会えた。」
突然の再会に表情筋の緊張が一気に解け、言葉に詰まるアンだったが、
「状況はどうなっているんだ。」
ヴィンツェンツォが問いかけた途端、アンは表情を強張らせ、
「本来であれば、落ち合う場所へ私がお迎えに上がる予定でしたが、クムガプラザから出られそうにありません。」
「韓国に入り次第、自力でプラザに向かうよ。心配いらない。」
「ですが、プラザに警察が向かっています。入れるかどうか・・・。」
「「「どう言うことだ。ですか。」」」
モニターにシジン、ヴィンツェンツォ、ウルフが詰め寄る。