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Gatto che corre nel cielo notturno

韓国 発表会当日 14:00
 メイン会場ゴーステップ、サブ会場アルノ、そして控え室運命ピアノには、それぞれ参加者である子供たちとその保護者が17:00からの本番の流れの確認や演奏曲の練習をしていた。
 時を同じくして、クムガプラザの正面階段前には今催事には似つかわしくない黒尽くめの2人の男が佇んでいた。
 男達は、
「本当にこのビルのどこかにあるのかよ。」
「疑うのか?ここまで来て。」
「そうだよな、ここまで来て。」
「行くぞ。
「おう。」
 と、決意を固めるとプラザの中へ入っていったが、
「暗い・・・なんか、怖い。」
 片方の男が早くも音を上げた。
「ボロビルとは聞いてたが、ここまでだったとはな」
「ほんとにここにあるのかよ。」
「またそれか。じゃあお前だけ手ぶらで帰れ。車は置いていけよ」
「なんだよ!じゃあシャトルバス賃寄越せよ!」
「そんなもったいねぇこと出来るかよ!」
 もう何年も住民の居ないフロアに2人の声がこだまする。
「シーーーーッ!」
「先に大声出したのはお前だろう!」
「シーーーーッ!」
「なんだよ!」
「聞こえないか?声だ!」
「あん?」
 2人が耳を澄ますと、
「・・・下から声がするな」
「確か、地下にあるって。」
「だけどよ、何の声だ。気持ちわりい。」
「まさか、怖いのか?財宝を守ってるのは化け物ってのがセオリーだぜ」
「さっきまでビビってたのはお前だろ!」
「何かいるって言うんなら平気だ!」
「よく分かんねえやつだな。」
 形勢逆転、とでも言うのか先程まで怖がっていた男がもう一人の男を鼓舞するように、
「地下に眠る財宝を連れて帰るぞ!」 と、拳を突き上げ反対の腕で 怖がる男と肩を組み、地下へと向かって行った。


 地下、そこには暖薬寺がある 僧侶のチョクハが厳かに読経する後ろで同じく僧侶のチェシンは合掌し頭を垂れては跪くを繰り返す礼拝を心を込めて行っていた。
 神聖な空気で満たされた暖薬寺の扉が突如乱暴に開け放たれ、
「財宝があるのはここか?」
「俺たちに寄越しな。」
 と、先程の男たちが乱入してきた。
「なんだ!お前たちは。」
 チェシンが声を荒らげた。
「ここがどういう場所か分からないのか!」
 チェシンが更に語気を強めて2人に詰め寄ったが、
「話をしに来たんじゃねぇよ。」
 片方の男がチェシンの鳩尾に一撃を食らわせ、彼を気絶させる。
「おい、爺さん!こいつみたいになりたくなかったら出せよ。」
 男はチョクハに言うと、御堂を物色しながら、
「違う、これじゃねえ。これでもねえ!」
 と、仏像一体一体を確認しては床に放り出した。
「やめろ!我々の神に無礼を働くんじゃない。」
 チョクハは読経の体勢のまま男に言った。
「神?神なんて信じてんのか。」
 もう一人の男がチョクハの横にしゃがみ嘲笑った。
「神がいたならばなぜ俺はここでこんなことをしている?」
「神がいたならばなぜ俺は日陰者なんだ?」
「神がいたならばなぜ俺は・・・」
 仏像を放り出した男はそう言いながらチョクハの目の前に立つと、
「いや、神はいたんだよ・・・こうして俺の前に現れたんだよ・・・だから出せよ!黄金の仏像を!」
 激昴し、カーゴパンツのポケットからナイフを出すと、チョクハの首にナイフの面を当て言ったが、
「お前のような者に神が与えるのは、目先の利益ではない。改心する機会だ。今すぐ悔い改めよ。」
 臆することなくチョクハは言い放った。
「うるせえ!説教なんざ飯にもならねえよ!」
 男はナイフを翳した。
 しかし、
「おい!」
 もう一人の男の声にナイフを下ろす手が止まる。
 瞬間、扉の外に目をやると・・・ジェナだ、ジェナが見ていた。
「っ、このガキ!おい、捕まえろ!」
「ジェナ!逃げろ!ママの所へ走れ!」
 男とチョクハがほぼ同時に言うと、ジェナは急いで走り出した。
 走る園児に追いつくなど、男にしてみれば造作もない。 階段をふたつ飛ばしで駆け上がり、廊下で捕獲出来たはずだった…が、ジェナは階段ではなく、階段手前の角に身を隠していた。
 彼女が階段を上がったとばかり思っている男は、駆け上がった階段のその先の通路を見渡したが、もちろん彼女はいない。
 おかしい、と思いつつも男は暖薬寺に戻り、子供が見当たらないんだ、ともう一人の男に話した。
「逃がした?ガキに逃げられたのか?」
 残っていた方の男はチョクハも気絶させ、2人の僧侶を拘束していた。
「まるで化かされたみたいだ。」
「馬鹿野郎!見られたんだぞ。」
 2人を拘束した男はニット帽を脱ぐと頭を掻きむしりながら 、
「絶対に殺せ。このビルの中にいるはずだ」
  そう言いながら帽子をかぶり直し2人で暖薬寺を出ると、
「…上か」
 微かに聞こえる楽しげな声や音を頼りにプラザのどこかにいるジェナの捜索を開始した。


 ジェナは、男たちが1階の空き店舗に入るのを見届けると、足音を立てないよう慎重に階段を上っていった。



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