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入学式も終われば、生徒達はそれぞれ自身のクラスメイト達と交流を深めたりする。それはミコト・アウデュラの所属するBクラスも変わらず。
だが、このクラスが唯一他のクラスと違うことと言えば、誰もが知る有名人が所属している事だ。そして、ミコトはその有名人と初日から仲睦まじく会話をしていた。それは他のクラスメイトの、興味というものの格好のエサにならないわけもなく。ミコトはクラスメイト─主に女子生徒に囲まれていた。

「レオン様とはどんな関係なの?」
「ねぇねぇ、レオンくんの好きなものは?」
「レオン君って普段なにしたりしてるの?」
「レオン様の行きつけのお店は?」

おぅふ…と、クラスメイトのその勢いにミコトは押しつぶされていた。
正直、ミコトからすれば自分で聞いて、と言いたいが、仕事なのか生憎本人は今日はまだ登校しておらず。助け舟を求めようにも本人がいなければ求めることも出来ない。かといって本人なしに答えるのも、とミコトが悩んでると、意外な助け舟が出される。

「こーら、みんな?彼女、困ってるじゃないの」
「むぅ、ミュゼちゃんは気にならないの?」
「そりゃあ勿論気にはなるけど、レオン君個人な事ばっかりじゃない。そういう質問は、せっかく同じクラスになれたんだから、本人に聞きなさい」

そういう彼女に、他の女子生徒はえーと言いつつも渋々下がっていく。
助け舟を出した少女は、心配そうにミコトを見た。

「大丈夫、ミコトさん?」
「大丈夫。助けてくれてありがと、委員長」
「皆みたいにミュゼでいいわよ。それに席が近い者同士のよしみってことで、ね」

そう言って笑う彼女、ミュゼ─ミュゼリネ・ソシエール。このクラスの委員長であり、彼女の言う通り、ミコトの前の席に座る生徒である。
ミュゼリネは、自身の席であるミコトの前に座りながら、会話を続ける。

「まぁ私も気になるけどね、2人の関係性は」
「そんなに?」
「あの“氷仮面の貴公子”とまで呼ばれてるレオン君が親しげに話しかけてるんだもの。そりゃあ、みんな気になるわよ〜」
「そうなんだ。その2つ名は知らなかった…」
「あら、そうなの?」

クスクスと笑うミュゼリネに、ミコトも思わず笑いが零れた。
彼女と話すのは、何処かレイナと喋っているかのようで、話しやすい。そう思いながら、先程のミュゼリネの疑問に答える。

「レオとは幼馴染だから、あっちも喋りやすいんじゃないかな」
「幼馴染か〜。それは確かに喋りやすくなるわね。幼い時から一緒な分、他の人より行きやすいのよね」
「ふーん、幼馴染ってそういうものなの?」
「うちは幼馴染っていうより腐れ縁ってやつがいるけど、似た感じだからわかるかも」
「それならレオン様のあの距離感は納得できるわ」

ミコトの答えにうんうんと頷くミュゼリネ。どうやら2人の会話を聞いていたらしい先程の女子生徒達も集まってきて、いつの間にか会話に混ざり始めていた。

「ミコトちゃん、さっきはごめんなさいね?」
「あ、うん、大丈夫。ちょっとびっくりはしたけど…」
「さっき思ったんだけど、ミコっちゃん笑ってる顔、超可愛い〜♡」
「分かる。なんかこう、守りたい笑顔」
「ね〜!あ、ミコっちゃんって呼んでもいい?」
「うん」

きゃあきゃあと笑う女子生徒達に、思わず可愛いな、なんて心の声がミコトの口から零れる。それを見た女子生徒達はミコトの方を見ると、突如真剣な顔をしてミコトに詰め寄った。

「ミコっちゃん、今の顔反則。カッコよすぎ」
「えっ、顔?」
「イケメンで可愛いとか…ズルいわ…」
「急にあんなイケメン顔と台詞は耐えられんわ…」
「えっ?えっ?」
「私も同意見。さっきのミコトさん、カッコよすぎたわ」
「え、ミュゼさんまで?」

ミュゼリネまで頷くその様に、ミコトは困惑する。今までされた事の無い反応に、今そんなおかしな顔したかな、なんて検討違いな事を考え始める程に。
そうとは思わない女子生徒達はそうだ、と思い出したかのようにあっさりと話題転換をし始めた。

「改めて自己紹介しなきゃね。あたしはラメリア・コータス。ラメちゃん、とかって呼んでね」
「うちはイクス・スノウリリィ。よろしくね」
「エトワール・ミレニアよ、よろしく」
「うん、よろしく。ミコト・アウデュラだよ」

自己紹介も程々に、ミコト達は仲良く盛り上がりを見せる。最初の押し寄せが嘘だったかのように、仲睦まじく。授業の開始を知らせるチャイムがなる前まで、彼女達は楽しそうにお喋りをしていたのだった。


「そういえば皆どうする?最初の魔術科合同授業の話」

お昼休憩の時間。早速仲良くなった彼女達は集まって、昼食を取ることにした。中庭にある大きなベンチで、それぞれ持ってきていたり、買ったりした昼食を取りながら、ふとラメリアがそう訊ねる。

「あの、4人1組の〜ってやつ?」
「そ。それそれ」
「うちは同じ科の別クラスにいる腐れ縁の奴らから組もうってメッセ来てた。丁度4人だし」
「私は今のところは特に決めてないかな」
「私も特に居ないわね」
「私もかな」

ラメリアの問いかけにそれぞれが答える。答えを聞いたラメリアはふむ、と態とらしく考えこむ素振りを見せた後、口を開いた。

「これはイっちゃん以外今のところ決まってない感じ?」
「寧ろイクスが決まるの早すぎなんじゃない?」
「だって丁度4人なんだもの。うち悪くなくない?」
「それは確かに私でも即決する」

ぷくぅと頬を膨らますイクスに、ミコトはうんうんと頷く。ほらぁ!と言うイクスによしよしとミュゼリネとミコトが宥めるその一方で、あ、とラメリアが何かを思いついたように声を上げた。

「丁度あたし達特に決まってない面子4人な訳だし、あたし達で組もうよ。男女混合はダメって先生も言ってたから、ミコっちゃんはレオン君と組めない訳だし」
「あ、確かに。もう1人の幼馴染は別科だしいいかも」

ラメリアの言葉にミコトは、言われて気づいたかのようにラメリアを見る。

「でしょ?他の2人は?」
「異議なし」
「私も同意見かな。楽しそうだしね」

エトワールとミュゼリネも特に異論はないようで、同意の意を返す。それを聞いたイクスは少し羨ましそうに4人を見た。

「いいな〜。うちも混ざりたかった〜」
「イっちゃんは先約あるわけだし、仕方ないでしょ」
「それはそうだけど〜」
「なら、代わりって程でもないけど、今度の休日みんなで遊びに行くのはどう?それだったら人数とか気にしなくてもいいじゃない?」
「ミュゼち天才!流石委員長!」
「委員長は関係あるかな…?」
「多分無いんじゃない?」
「そこ2人!辛辣過ぎてうち泣いちゃうよ!?」

ビシっ、とミコトとエトワールを指差すイクス。そんなイクスに笑いながらミコトは謝罪を入れる。

「遊びに行くのはあたしも大賛成!ミコっちゃんのこと、もっと知りたいしね」
「えっ、私?」

突然話題になったミコトは困惑の表情を見せるが、他の全員はわかると言った表情で頷いていた。

「だって、こんな可愛い子と出会えるなんて思ってもなかったし?」
「でも、皆レオの事好きなんじゃ…」
「それはそれ、これはこれよ。確かにレオン様の事も知りたいけれど、ミコトちゃんの事も今は知りたいもの」
「それほどミコトさんが素敵で魅力的ってことよ」

エトワールとミュゼリネのその言葉に、思わずミコトは照れてしまう。そんな様子を見て4人は可愛い〜とミコトを可愛がるのだった。
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