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授業の始まりを告げるチャイムが鳴る。それと同時にやってきたスペードは、全員が揃っているのを確認すると、早速と言わんばかりに今日の授業の内容を話し出した。

「さて、今日は前回話した通り特別バージョン。ボクにしか魅せられないとびきりの授業をするよ。っと、その前に、紹介だけ先に済ませておくね」

紹介、その言葉にざわつきをみせる生徒達。そんなざわつきを置いておくかのように、スペードはパチンと指を鳴らす。するとスペードの横には、3人の人物がスっと現れた。
1人は朱色の長い髪を後ろで結んだ三つ編みと、猫を思わせるような灰色の瞳が印象的な男。服装はスペードと同じく黒と白で基本的にコーディネートをされている。
1人は長い灰色の髪をポニーテールに纏めた、黒い瞳の男。朱色の髪の男と違い、華奢なその姿は女かと疑いを持つ程に美しく、着ている服装さえ違っていれば女だと勘違いする程だろう。彼もまた、黒と白でコーディネートを纏めているが、かっちりとした服装である。
1人は、オシャレに結い上げられた金髪に青い瞳の女。黒を基調とした華やかなドレスを身に纏ったその姿はまるで魔女を連想させた。それ以上に、彼女の青い瞳は空の青とも、海の青とも違う色を放ち、何故かその瞳を見るだけで嘘が見抜かれそうな気がする程だ。

「ボクの仲間、つまり【黒薔薇庭園】のメンバー達だよ。ボクの隣から順に、【クラブ】、【ダイヤ】、【ハート】だ」

口角を上げ、驚く程に短絡的な紹介をすませるスペード。
スペードがよく自慢気に話す、しかし世間では殆ど噂レベルである仲間達の登場に、生徒たちは驚きから今まで以上のざわつきが起こるのは、最早当然と言ってもいいだろう。
少しざわつきが落ち着いたところで、スペードは授業内容の説明を始める。

「今日はみんなを今から4つの集団に分けて、ボクらの仕事の1つ、この学園都市を覆う結界を維持している装置の点検業務を見学してもらうよ」

ニコリと笑いながらそう言ったスペードへ、生徒達と、何故か仲間であるはずのクラブの驚愕の声が向けられたのであった。
驚愕の声が少し落ち着いたあと、声を上げたクラブは、上げなかった2人に近づいていくと、ダイヤの胸ぐら掴みあげる。そしてそのままガクガクと揺らしながら真っ直ぐと、思っている事をぶつけた。

「なんでお前らはそんな冷静なんだよ!?」
「あら失礼ね。驚いてるわよ、これでも」
「まぁあの人の無茶ぶりなんて今までもありましたし…」
「今までの無茶ぶりと系統違いすぎるだろうがよぉ!?」
「違いはしますけど、まぁまだ何とかなる範囲でしょう?」
「そもそもあの子がこうやって真面目に教師の仕事受けてる時点で今までとは色々と違うんじゃなくて?」
「そうだけどそうじゃなくてよぉ!?」
「あとそろそろ離して下さい。貴方との力の差を考えて貰ってもいいですか?」

ここにいるすべての生徒が聞こえたその会話を受けて、生徒達は全員思う。誰も聞いてないのかい、と。
一方で、そんな会話をまるで聞こえないとでも言わんばかりに、スペードはパチンと指を鳴らしながら、言葉を続ける。

「分け方はグループ事にランダムにボクが今振り分けるね。キミたちの足元に広がっている光が赤ならボク、青ならクラブ、黄色ならダイヤ、緑ならハートだよ。そして場所も今からそれぞれテレポートで飛ばすね。あ、マギアから外に出る事はないし、魔物に襲われるとかもないから安心してね☆」

そんな説明と共に現れた光はグループ事に、スペードが言った通り4色の光をそれぞれ淡く放つ。

「着いたら装置の説明とか、不備を放置するとどうなるかとか、その場にいるメンバーが色々と説明するから、よく聞いてね」
「テメッ…おいこらスペード!オレらにも説明を…」
「そんなわけで、今から特別授業『職業体験in黒薔薇庭園』、レッツスタート〜!」
「おい聞け!?」

クラブが掴みかかるより先に、パチンと鳴らされた指の音と共に、視界が白く光る。まるで転移結晶を使った時や、転移門を潜る時のようなその光が落ち着いた後には、森には1人として人影はなくなるのだった。
そんな森に程なくして響く、2人の男の声。

「あの人、相変わらずのゴリ押しで行きよったなぁ…」
「ね〜。ハハ、いつ見ても面白い人だよね〜」
「あれで面白い言う奴はあんまおらへんやろ」
「そう?ウチの奴らは半数は多分言いそうじゃない?」
「そらぁアイツらは基本的に似た思考してるからやろ」
「ふふ、似たもの同士ってやつだね」

オレンジの髪の男と、茶髪の男はそう話しながら、先程まで生徒たちが居た場所の中心近くまで歩みを進める。笑いながら先を歩いていた茶髪の男は、中心辺りで足を止め、後ろを歩くオレンジ髪の男の方へ振り向くと、つま先で地面をトントンと軽く突く。

「うん、丁度この辺かな」
「ん。ほな、ボクらも始めよか」
「OK」

その言葉を皮切りにするかのように、茶髪の男は足元に大きな魔術式を展開させる。

「お仕事しなきゃ、怒られちゃうからね」

ニコリと笑いながら言う茶髪の男に、オレンジ髪の男は呆れ顔で言葉を返す。

「お前はもうちょい怒られろ」
「やだよ、怒られるの嫌いだもん」
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