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──次の魔術科合同授業は特別バージョンだよ。
警備隊との2人との出会いから暫く経ったとある日の授業の終わり際。スペードは嬉々として、そう予告をしていた。内容はその日のお楽しみ、と1つも教えることなく、場所だけを告げて終わっていた。
そんなスペードが指定したのは学園エリアにある森。以前、騒動があった場所である。場所が場所故、聞いた生徒たちはザワザワとしていたが、スペードはそれを宥めると、1つの約束を取り付けた。
「ボクは絶対、キミたちを傷つけたり、怖がらせる様なことはしない。ボクがキミ達を見ている間はね。約束する。もし約束を破ったら、ボクの“秘密”を教えてあげるよ」
真剣な顔で言うスペードに、生徒たちは別のざわつきを起こした。スペードの“秘密”。それは一体なんなのだろうか、と。
「その代わり、次の授業は、他のどの先生でも魅せられないとびっきりの授業を約束するよ」
コロリと表情を変え、パチリとウィンクを決めて言うスペード。その頃には、生徒達の心にあった不安は無くなっていた。
そうして迎えた、スペード曰く『特別バージョン』の魔術科合同授業。ミコトたち4人はスペードが指示した森へと向かっていた。話題は勿論、授業についてだ。
「スペード先生にしかみせられない特別な授業って、なんだろうね?」
「怖くないっていってたし、特別な魔術とか?」
「もしくは〜…お仕事見せてくれたりとか!」
「でもそれだと怖くないかしら?」
そうきゃいきゃいとお喋りに夢中になりながら曲がり角を曲がったミコトは、同じく曲がってきたらしい誰かとぶつかる。前回と違い、今回は倒れこそしなかったが、後ろにいたラメリアにぶつかってしまう。
「大丈夫、ミコっちゃん?」
「うん、大丈夫」
「おっと、ごめんごめん。前を見てなかったよ。怪我してない?」
そうかけられた声は男性の声。見ると、そこには顔立ちの整った1人の青年が立っていた。着用義務のある学年や科を示すピンを付けていない為、恐らくは来客の類いではあるが、レオンを幼い頃から見ているミコトから見ても『かっこいい』がすぐに出るほどの顔立ちの整った青年だ。それは他の3人も同じように思ったようで、誰も返答をしなくなったこの空間は静まり返ってしまう。
「あれ、大丈夫?」
おーいと心配そうに声を掛ける青年の声で、はっとすると、ミコトは慌てて言葉を返した。
「えっと、すみません…前を見てなくて…」
「いやいやこっちこそごめんねぇ。初めてここに来たから迷子になっちゃってねー。連れを探しながら歩き回ってたんだよ。いやぁ、ダメだね、よそ見しながら歩くってのは」
たはは、と笑う青年は、そうだ、と言葉を続ける。
「君達、僕と同い年くらいのオレンジ色の髪の男を見てないかな?一緒に来てたんだけどはぐれたみたいで…」
「あ、おった。迷子」
彼の言葉の途中、別の男の声が被さる。後ろから聞こえたその声に振り返ると、そこには彼があげた特徴と同じオレンジ色の髪の青年が、呆れた目を向けながら腰に手を当て立っていた。それを見た彼は、嬉しそうに声を上げる。
「あ、イヴちゃん」
「この学園広いんやから離れるな言うたやろ」
「いやぁ、学校の中なんて初めて見るから思わずワクワクしちゃって…」
「ほんではぐれて迷子なるアホが何処におんねん」
「イヴちゃん今日も辛辣〜」
「ほんまお前と一緒やとロクなこと起きひんわ」
訛り口調の青年はため息を吐くと、ミコトたちを見る。
「お嬢さんらも、うちのが迷惑かけて堪忍な」
「い、いえ…?」
「ほら、行くで。時間ないんやから」
「はいはい〜っと。お嬢さん達も、ごめんね?」
そう言って去っていく2人を、4人はぼーっと見送る。やがて、姿が見えなくなった頃に、ラメリアが声を上げた。
「いや何今のイケメン!?レオンくんとかアキさんとかに負けず劣らずのイケメン過ぎない!!??」
「分かる、凄く分かるわ、ラメ」
「あまりにイケメン過ぎて喋れなかったんだけど!ミコっちゃんよく喋れたね!!??」
「いや、私もほぼ返事くらいだったし…」
「後から来た人も私は気になるわ。あれはぶっきらぼうだけど心の中では凄く心配してたって思ってるやつね。レオン様がこの前ドラマで演じてたみたいなタイプ」
「凄く分かる!」
「最終的には少し危険な香りがしたりとかね」
「分かる!凄く分かるわ!!」
いつも以上にテンションを上げたラメリアがやや興奮気味に喋る。一緒に喋るエトワールは一見は変わりはないものの、ラメリア同様にどこか興奮気味な様子で受け答えをする。
それを見ていたミュゼリネは思い出したかのように呟いた。
「…そういえばラメちゃん、イケメン好きだったわね」
「なるほど…それでこのテンションの上がりよう…」
「でも分からなくもないわねぇ。凄くかっこよかったもの」
ふふ、と笑うミュゼリネにミコトもこくりと頷く。恐らく先程の青年が人前に立とうものなら、恋を知らない女の子達の初恋相手になるのではないだろうか。そう思える程に、本当にかっこよかったと印象を残した青年の話題に存分に花を咲かせる4人は、森に着くまでその話題で盛り上がり続けた。
警備隊との2人との出会いから暫く経ったとある日の授業の終わり際。スペードは嬉々として、そう予告をしていた。内容はその日のお楽しみ、と1つも教えることなく、場所だけを告げて終わっていた。
そんなスペードが指定したのは学園エリアにある森。以前、騒動があった場所である。場所が場所故、聞いた生徒たちはザワザワとしていたが、スペードはそれを宥めると、1つの約束を取り付けた。
「ボクは絶対、キミたちを傷つけたり、怖がらせる様なことはしない。ボクがキミ達を見ている間はね。約束する。もし約束を破ったら、ボクの“秘密”を教えてあげるよ」
真剣な顔で言うスペードに、生徒たちは別のざわつきを起こした。スペードの“秘密”。それは一体なんなのだろうか、と。
「その代わり、次の授業は、他のどの先生でも魅せられないとびっきりの授業を約束するよ」
コロリと表情を変え、パチリとウィンクを決めて言うスペード。その頃には、生徒達の心にあった不安は無くなっていた。
そうして迎えた、スペード曰く『特別バージョン』の魔術科合同授業。ミコトたち4人はスペードが指示した森へと向かっていた。話題は勿論、授業についてだ。
「スペード先生にしかみせられない特別な授業って、なんだろうね?」
「怖くないっていってたし、特別な魔術とか?」
「もしくは〜…お仕事見せてくれたりとか!」
「でもそれだと怖くないかしら?」
そうきゃいきゃいとお喋りに夢中になりながら曲がり角を曲がったミコトは、同じく曲がってきたらしい誰かとぶつかる。前回と違い、今回は倒れこそしなかったが、後ろにいたラメリアにぶつかってしまう。
「大丈夫、ミコっちゃん?」
「うん、大丈夫」
「おっと、ごめんごめん。前を見てなかったよ。怪我してない?」
そうかけられた声は男性の声。見ると、そこには顔立ちの整った1人の青年が立っていた。着用義務のある学年や科を示すピンを付けていない為、恐らくは来客の類いではあるが、レオンを幼い頃から見ているミコトから見ても『かっこいい』がすぐに出るほどの顔立ちの整った青年だ。それは他の3人も同じように思ったようで、誰も返答をしなくなったこの空間は静まり返ってしまう。
「あれ、大丈夫?」
おーいと心配そうに声を掛ける青年の声で、はっとすると、ミコトは慌てて言葉を返した。
「えっと、すみません…前を見てなくて…」
「いやいやこっちこそごめんねぇ。初めてここに来たから迷子になっちゃってねー。連れを探しながら歩き回ってたんだよ。いやぁ、ダメだね、よそ見しながら歩くってのは」
たはは、と笑う青年は、そうだ、と言葉を続ける。
「君達、僕と同い年くらいのオレンジ色の髪の男を見てないかな?一緒に来てたんだけどはぐれたみたいで…」
「あ、おった。迷子」
彼の言葉の途中、別の男の声が被さる。後ろから聞こえたその声に振り返ると、そこには彼があげた特徴と同じオレンジ色の髪の青年が、呆れた目を向けながら腰に手を当て立っていた。それを見た彼は、嬉しそうに声を上げる。
「あ、イヴちゃん」
「この学園広いんやから離れるな言うたやろ」
「いやぁ、学校の中なんて初めて見るから思わずワクワクしちゃって…」
「ほんではぐれて迷子なるアホが何処におんねん」
「イヴちゃん今日も辛辣〜」
「ほんまお前と一緒やとロクなこと起きひんわ」
訛り口調の青年はため息を吐くと、ミコトたちを見る。
「お嬢さんらも、うちのが迷惑かけて堪忍な」
「い、いえ…?」
「ほら、行くで。時間ないんやから」
「はいはい〜っと。お嬢さん達も、ごめんね?」
そう言って去っていく2人を、4人はぼーっと見送る。やがて、姿が見えなくなった頃に、ラメリアが声を上げた。
「いや何今のイケメン!?レオンくんとかアキさんとかに負けず劣らずのイケメン過ぎない!!??」
「分かる、凄く分かるわ、ラメ」
「あまりにイケメン過ぎて喋れなかったんだけど!ミコっちゃんよく喋れたね!!??」
「いや、私もほぼ返事くらいだったし…」
「後から来た人も私は気になるわ。あれはぶっきらぼうだけど心の中では凄く心配してたって思ってるやつね。レオン様がこの前ドラマで演じてたみたいなタイプ」
「凄く分かる!」
「最終的には少し危険な香りがしたりとかね」
「分かる!凄く分かるわ!!」
いつも以上にテンションを上げたラメリアがやや興奮気味に喋る。一緒に喋るエトワールは一見は変わりはないものの、ラメリア同様にどこか興奮気味な様子で受け答えをする。
それを見ていたミュゼリネは思い出したかのように呟いた。
「…そういえばラメちゃん、イケメン好きだったわね」
「なるほど…それでこのテンションの上がりよう…」
「でも分からなくもないわねぇ。凄くかっこよかったもの」
ふふ、と笑うミュゼリネにミコトもこくりと頷く。恐らく先程の青年が人前に立とうものなら、恋を知らない女の子達の初恋相手になるのではないだろうか。そう思える程に、本当にかっこよかったと印象を残した青年の話題に存分に花を咲かせる4人は、森に着くまでその話題で盛り上がり続けた。
