1ページ
彼女をひとまずはと安全な場所へ送り届けたのと、呼んでいたみんなが到着するのはほぼ同じタイミングだった。
「やぁ、急で悪いね。『仕事』だ」
「ほんっと急だな。オレ、今から飯食おうと思ってたのに」
「まぁあなたが急に呼び出して仕事、だなんて今に始まったことではありませんがね」
「ほんとよ。ヒト使いが荒すぎだわ」
「ボクだってこんな事が起こるなんて、思ってなかったんだよ。ただ散歩しにきただけなのにさ」
文句しか返してこないみんなに、逆に文句を返す。本当に、ほんとーに!ボクはただ気分転換の散歩をしにきただけなのに。こんなことになるなんて誰が思うよ?
「でも、これは流石に看過できないからねぇ。文句を言わずに働いてくれたまえ」
「へいへい、分かってるよ」
「さっすがー、わかってるー」
「うぜぇわ、焼くぞ」
ちぇ、場を和ませようとしただけなのに。
「はいはい、いつものじゃれ合いも程々にして。指示を出してちょうだい」
「はーい。じゃあ、それぞれ指示出すよー。まず──」
来てくれた仲間達にそれぞれ指示を出していく。その間にこの立ち入り禁止エリアに落ちる影を使って索敵と、魔物達の手から子ども達を守ることも忘れない。何せあの子と『約束』したからね。『誰1人傷つけさせやしない』って。
「──じゃあ、そんな感じで。転移先は学園マギアの大講堂でよろしく!」
ボクの言葉を最後に、みんなそれぞれ指示した場所へと散っていく。さて、ボクも頑張るぞぉ……っと、その前に。
「ミコトちゃんが言ってた子を見つけないとね。まぁ、何となく誰か分かる気もするけ、ど!」
後ろから狙おうと襲ってきた魔物に渾身の一撃を決めてやる。一発ノックアウト、やったぜ!
魔物が倒れる音と、誰かが走ってやって来る音が聞こえたのは同じタイミングだった。
「やっと戻って来れた〜!道中別の魔物と会っちゃって……って、アレ?」
この子が、ミコトちゃんが言っていた黒髪でツインテールの女の子だろう。多分そうだろうなとは思ったけど、まさか本当にこの子だとは。やぁ、と声を掛ければ不思議そうに首を傾げた。
「アレアレ?【スペード】サマ?なんで居るの?」
「やっぱりキミだったね、【エイト】。ミコトちゃんなら、先にマギアに送ったよ」
「ってことは、安全エリアに行ったの?なら安心だね!」
「そういうキミは普通に戦いすぎだね。今の時期の1学年は大抵、もうちょっと簡単な魔術を使うよ」
「エ、そうなの!?」
ショック、という言葉が顔にありありと見える表情をするエイト。全く、可愛い子め。
「ミコトちゃん以外の前で戦った?」
「ううん、あの子の前だけ。咄嗟に出た〜ってことにしとこ〜。って、あの子、ミコトちゃんって言うんだ?」
「そうだよ。ミコト・アウデュラちゃん。【ジョーカー】が気にかけてる子だからね。覚えておいて損はないんじゃないかな」
確かにー、と頷くエイトは、周りに誰も居ないと分かったからか、ふわりと宙に浮き始める。
「スペードサマ、アタシも手伝おっか?なにすればいい?」
「うーん、そうだな…ひとまずここら辺に生徒が残ってないか、確認してくれるかな?いたら報告、あと怪我の有無の確認も忘れずにね」
「はーい!」
そう元気よく返事をすると、空気に溶け込むかのように姿を消した。ここはあの子に任せても平気そうだな。
よし、と頷くと突然、声を掛けられる。
「いいのか、巻き込んじまってよ?」
「戦闘指示までは出してないからね。それに今は猫の手も借りたいくらいだ。なんせこのエリア全体を気にするってなると、魔力の消費がバカみたいにえぐいからね」
というわけで、お前も見てないで手伝え。
そう声をかけてきた奴に返すと、ソイツはゆらりと現れる。上から眺めて楽しむだけなんて、今はさせるもんか。
「命令なら仕方ねぇな。ったく、相変わらず、とんでもねぇ魔術の使い方しやがって」
「それがボクの長所なんでぇ。ほら、お前もさっさとあっちの方見てきて。見つけた時の転移先は大講堂ね」
ビシッと指さしながらそう言えば、はいはい仰せのままに、なんていつもなら絶対言わない事を言ってまた姿を消す。
みんなの協力もあって、転移はどんどん済んでいるみたいだ。これなら誰も怪我することなく、なんとかなりそうだね。
「子どもたちの学園生活は、やっぱりハッピーでいっぱいじゃないと、ね」
また1体、子ども達を襲おうとした魔物を吹き飛ばしながらそう呟く。
「あ、ありがとうございます…!もうダメかと…」
「ウンウン、怖かったよね。もう安心だよー。今、安全な場所に送るからね」
そう言いながら、転移魔術を発動させる。途中、子ども達はふとボクに尋ねてきた。
「あ、あの!あなたは一体……」
「ん?ボク?そうだなぁ……」
二っと笑いかけながら、ボクは答える。
「ただの通りすがりの人だよ」
「やぁ、急で悪いね。『仕事』だ」
「ほんっと急だな。オレ、今から飯食おうと思ってたのに」
「まぁあなたが急に呼び出して仕事、だなんて今に始まったことではありませんがね」
「ほんとよ。ヒト使いが荒すぎだわ」
「ボクだってこんな事が起こるなんて、思ってなかったんだよ。ただ散歩しにきただけなのにさ」
文句しか返してこないみんなに、逆に文句を返す。本当に、ほんとーに!ボクはただ気分転換の散歩をしにきただけなのに。こんなことになるなんて誰が思うよ?
「でも、これは流石に看過できないからねぇ。文句を言わずに働いてくれたまえ」
「へいへい、分かってるよ」
「さっすがー、わかってるー」
「うぜぇわ、焼くぞ」
ちぇ、場を和ませようとしただけなのに。
「はいはい、いつものじゃれ合いも程々にして。指示を出してちょうだい」
「はーい。じゃあ、それぞれ指示出すよー。まず──」
来てくれた仲間達にそれぞれ指示を出していく。その間にこの立ち入り禁止エリアに落ちる影を使って索敵と、魔物達の手から子ども達を守ることも忘れない。何せあの子と『約束』したからね。『誰1人傷つけさせやしない』って。
「──じゃあ、そんな感じで。転移先は学園マギアの大講堂でよろしく!」
ボクの言葉を最後に、みんなそれぞれ指示した場所へと散っていく。さて、ボクも頑張るぞぉ……っと、その前に。
「ミコトちゃんが言ってた子を見つけないとね。まぁ、何となく誰か分かる気もするけ、ど!」
後ろから狙おうと襲ってきた魔物に渾身の一撃を決めてやる。一発ノックアウト、やったぜ!
魔物が倒れる音と、誰かが走ってやって来る音が聞こえたのは同じタイミングだった。
「やっと戻って来れた〜!道中別の魔物と会っちゃって……って、アレ?」
この子が、ミコトちゃんが言っていた黒髪でツインテールの女の子だろう。多分そうだろうなとは思ったけど、まさか本当にこの子だとは。やぁ、と声を掛ければ不思議そうに首を傾げた。
「アレアレ?【スペード】サマ?なんで居るの?」
「やっぱりキミだったね、【エイト】。ミコトちゃんなら、先にマギアに送ったよ」
「ってことは、安全エリアに行ったの?なら安心だね!」
「そういうキミは普通に戦いすぎだね。今の時期の1学年は大抵、もうちょっと簡単な魔術を使うよ」
「エ、そうなの!?」
ショック、という言葉が顔にありありと見える表情をするエイト。全く、可愛い子め。
「ミコトちゃん以外の前で戦った?」
「ううん、あの子の前だけ。咄嗟に出た〜ってことにしとこ〜。って、あの子、ミコトちゃんって言うんだ?」
「そうだよ。ミコト・アウデュラちゃん。【ジョーカー】が気にかけてる子だからね。覚えておいて損はないんじゃないかな」
確かにー、と頷くエイトは、周りに誰も居ないと分かったからか、ふわりと宙に浮き始める。
「スペードサマ、アタシも手伝おっか?なにすればいい?」
「うーん、そうだな…ひとまずここら辺に生徒が残ってないか、確認してくれるかな?いたら報告、あと怪我の有無の確認も忘れずにね」
「はーい!」
そう元気よく返事をすると、空気に溶け込むかのように姿を消した。ここはあの子に任せても平気そうだな。
よし、と頷くと突然、声を掛けられる。
「いいのか、巻き込んじまってよ?」
「戦闘指示までは出してないからね。それに今は猫の手も借りたいくらいだ。なんせこのエリア全体を気にするってなると、魔力の消費がバカみたいにえぐいからね」
というわけで、お前も見てないで手伝え。
そう声をかけてきた奴に返すと、ソイツはゆらりと現れる。上から眺めて楽しむだけなんて、今はさせるもんか。
「命令なら仕方ねぇな。ったく、相変わらず、とんでもねぇ魔術の使い方しやがって」
「それがボクの長所なんでぇ。ほら、お前もさっさとあっちの方見てきて。見つけた時の転移先は大講堂ね」
ビシッと指さしながらそう言えば、はいはい仰せのままに、なんていつもなら絶対言わない事を言ってまた姿を消す。
みんなの協力もあって、転移はどんどん済んでいるみたいだ。これなら誰も怪我することなく、なんとかなりそうだね。
「子どもたちの学園生活は、やっぱりハッピーでいっぱいじゃないと、ね」
また1体、子ども達を襲おうとした魔物を吹き飛ばしながらそう呟く。
「あ、ありがとうございます…!もうダメかと…」
「ウンウン、怖かったよね。もう安心だよー。今、安全な場所に送るからね」
そう言いながら、転移魔術を発動させる。途中、子ども達はふとボクに尋ねてきた。
「あ、あの!あなたは一体……」
「ん?ボク?そうだなぁ……」
二っと笑いかけながら、ボクは答える。
「ただの通りすがりの人だよ」
