レノ
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「最近太った気がするの、」
(名前)はとても深刻そうな顔で本日のランチBセットのペペロンチーノをフォークに絡める。
「そうですか?全然わかりませんよ?」
イリーナがCセットのBLTサンドを口にしながら応える。
「いや、いやね、やばいのよ」
「どこがですか」
「ほら、こう、内腿の部分とか脇腹の部分とかぁあああああ」
嘆く様に机に項垂れる(名前)を見ながらイリーナはフルーツサラダに手を付けていた。
「更衣室とかであんまり気にならないですし大丈夫な気がしますけどねぇ」
「そ、そうかな…」
「そうですよ。それに誰かに言われたんですか?」
その台詞に(名前)の動きが石化したように止まる。
(しまった。)イリーナは己が地雷を踏んだことを即座に理解したが弁明する方法が見当たらない。
ここは先輩である(名前)の切り返しを待つしかない、そう判断しながらレタスにフォークを刺す。
レタスとパプリカが無くなろうとしてる時、ようやく(名前)が口を開いた。
「あのバカが…」
(バカ…)
誰のことが聞かなくてもわかる。レノの事だ。
イリーナはそのまま聞き続ける
「最近抱き心地が良くなったって…言われなきゃ気にならなかったんだけど、言われてみたら最近スラックスがキツくなって気がしなくもなくて…」
なる程、でもきっとレノ先輩の事だからそう意味じゃないだろうなぁ。むしろ下半身っていうより上半身の………
イリーナは(名前)の顔から少し視線を下げて胸元を見る。
(名前)の美的センスに反するその羨ましい膨らみは任務に支障のない程度締め付けられてるのを着替えのとき見たイリーナは思い出す。
そして普段ならその締め付けた胸元の上にあるシャツは美しい直線を描いているが今は若干膨らみを帯びており(名前)お気に入りのカマーベストが少し窮屈そうに見える。
きっとレノ先輩の言いたい事はそういう事じゃないんだろうが如何せん喋らせると少し残念な先輩の事なのでいらない一言でも言ったのだろう。大方の察しはついたがだからといってその事をここで自分が進言してしまってもここで頭を抱えている先輩は素直に受け入れられないだろう。
一度自分が「太った」と認識してしまっては周りにどれだけ言われても受け入れ難いのをイリーナ自身よく分かっている。
女子というのはそういう生き物なのだ。
さて、自分でできる最善策が見当たらなくなったイリーナはフルーツサラダのグレープフルーツを口に放り込みながら匙を投げようとしていた。
するとこの話の元凶が当たり前の様に先輩の隣へ日替わりB定食の味噌カツを乗せたトレイを置いて席につく。
「なんの話してんだ?」
「ダイエットの話です」
「あ?イリーナ太ったのか」
あぁ、確かにこの先輩に言われたら頭抱えそうだ。
と言うか一発殴りたい。そう思いながらイリーナはスープでその全てを流し込む。
「そうは見えないが。」
「自分じゃなくて(名前)先輩の話です!」
日替わりA定食の焼肉定食を手に自分の隣に座ったルードにイリーナは口を滑らす。
「あ?(名前)?なんだよお前太ったのか?」
その一言で先程まで項垂れていた(名前)がキレる瞬間をイリーナは見逃さなかった。
「あんたが言ったんでしょう!?」
「はぁ!?俺そんなこと一言も行ってねぇよ」
「言ったわよ!最近抱き心地が良くなったって!」
「おま、あれはそういう意味じゃなくて…!」
「じゃあどういう意味なのよ!あーもうやだ!あったま来た!」
そう言いながら(名前)はトレイに残ったペペロンチーノとスープを食べきり水の入ったカップを勢いよく傾け飲み干す。
「ルード!この後空きよね!トレーニング付き合って!」
急に会話の矛先を向けられたルードは少し傾いたサングラスのブリッジを上げながら承諾した。
が、(名前)の隣の席男がそれに抗議をする。
「なんで急にそうなるんだよ!」
「食べたら動く!これ鉄則に決まってるじゃない」
「だからって何でルードなんだよ、俺でもいいだろ」
「嫌よ。アンタ相手にならないもん。」
「はぁ!?」
「だってアンタ私の一撃でダウンするじゃない。嫌よ、やりがいないもの」
「お前…俺にその一撃与えれたことのほうが少ないだろうが」
「それも余計腹立たしいの。スピードばっかり早くなっちゃって!ルードならちゃんと受け止めてくれるし私だってやりやすいわ!」
その言い分に心当たりがあるらしいレノは言い返せず押し黙ってしまった。
確かに(名前)先輩、一番の奥の手は二刀流のダガーだけど基本は体術とテクニックで仕事をしてる人だから手合わせ。っていうもので言うとルード先輩の方がやりやすいんだろうなぁ。
なんて妙な納得をイリーナはしながらサンドイッチの最後のひと口を口に放り込んだ。
イリーナが放り込んだひと口をもぐもぐと咀嚼してる間も赤と青の喧嘩は続いていた。
しかしイリーナもルードも痴話喧嘩に首を突っ込む様な愚かな事はしない為早々に食べきって席を立った。
「先輩達ってあれで付き合ってるんですよね?」
「あぁ」
「よくあれで破局しないものですよね」
「ある意味、馬が合うのかもしれない」
「あぁ、喧嘩するほど仲がいい。ってやつっすね」
食べた食器を返却しながらまだ続いる二人のやり取りを遠目で見ながらイリーナとルードは食堂の入り口に足を向ける。
イリーナの距離よりも若干早い段階で食堂の自動ドアが開くとそこにはツォンが立っていた。
イリーナが姿勢を正して挨拶をすればそれに対して返そうとしたツォンの耳にレノと(名前)の声が届く。
ピクリと耳を動かしてそちらに顔を向けたツォンを見ながらイリーナは心の中で「あぁ…」とツォンさんに未だ気づいてない二人の先輩を見ながら数時間前に治安維持部から回された仕事を思い出す。
「ボム討伐の任務、そういえばまだメンバー決まってなかったな」