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誰かを好きになろう、だとか
恋人が欲しい。だとか
そういった邪な考えからくる恋人関係の方が人間うまく行くと思うんだよ。
…そんなしかめっ面をしながら話を聞かないでくれよ
え、なぜ?って、そんなの簡単だよ。
不意に好きになった相手だと自分を制御できないからさ、相手のことを知りたい。知ってほしい。
もっと懇意になりたい…
取り繕う暇がないんだ。
その点、打診から来る恋人関係はいい。
互いに利害の一致から来るものだから下手な期待もしなくていい上に自分のはしたない所を見せる心配がない。
え?それじゃあ本当に恋人なのか。って?
嫌だなぁ、君は世界中の皆が落ちた恋をしてるとでも思っていたの?
そんな事あるわけ無いよ。
…それでも、本当の恋人なんだよ。
なんで急にこんな話をしに来たのか?
話したくなったんだ。
自分の感情と考えをまとめるには相手が必要だからね、壁に話しかけて話がまとまるなら皆そうしてる。
あぁ、安心して。ここの会計は私が出すから
それくらいの“お礼”はさせてくれ。
…
「嘘。だね」
「お得意の占いかい?」
ため息を溢しながら頬杖をつく(名前)の姿をココは少し目を細めてじっと見たあとコーヒーに口をつける
「電磁波を見れば分かるよ」
「嫌だなぁ…君には何でもお見通し。ってことかい?」
その言葉に肯定の意を含めながらココは微笑んだ、その姿に(名前)は肩をすくめながらため息をこぼす。
「一体“どれ”が嘘だって?」
「ここの会計。」
「嫌だなぁ!それは本当だよ!ここは私が持つ、それ以上でもそれ以下でもない。」
心外だと言わんばかりに(名前)は少し大げさな身振りをしながら言う
ココはじっ。と“それ”を見る
「奢ってはもらうよ?僕の鑑定料は安くないからね。」
微妙に噛み合わない会話にむず痒く思っている(名前)を他所にココは本格的に(名前)の目を見つめる。
(名前)は大人しくなった
………例えばこれが、恋人同士だとか片思いの相手ならここでドキドキしたりするんだろうなぁ、なんて考えながら黒曜石の様な底の見えぬ瞳を見つめ返す。
店内の秒針がやけに耳につく。
それと一緒に響くのはコーヒーのドリップ音
やけに長いな…そう思いながら先ほどとは変わらない姿勢でココを見つめていれば不意に視線を下げられる。どうやら終わったみたいだ
タイミングよく店員がおかわりのコーヒーを持ってくる。
なるほど。ココが気に入ってる店なだけはある、店員の雰囲気がいい。
客の事を詮索しないと言うのはやはり都合はいい、最近はそれが出来ない店が少なくなってるのも事実。
しかもコーヒーも美味しいと来てる
これは私も通ってしまうかもしれない、通える位置に住めたなら…
もしもの先のことを考えながらココの言葉を待つ。
「話、もう纏まってるんだろう?」
「うん。結納まで終わっているよ。」
ココがコーヒーを喉につまらせて咽る。
汚いなぁ、と言いながらハンカチを手渡せば店員さんが布巾を持ってきてくれる、気が利くお嬢さんだ、心のなかで店の評価が上がる
戸惑いなくそれを受取り口元を拭うと本題に戻るように話すココ。
「はぁ、はぁ…君ねぇ………まぁいいや。一応言っておくけど相手も悪くなさそうだよ、未来の電磁波に悪い気はしないからね。」
「でも痴情の想も出てないだろ?」
「そんなもの出てたら駄目だろう。」
全く、と言いたげに呆れながら咽た口直しと言わんばかりにコーヒーに口をつけるココを眺めながら私は少し物足りない気持ちのやり場に困って店内の外に目を向ける。
「あ、」
私の咄嗟の声に今度はなんだと言いたげな顔でこちらを見るココに
「でもやっぱり私にとってこれは恋にはならないと思うんだ」
そう言い残してコーヒーを一気に煽れば伝票片手に支払いを済ませれば店の外へ出た。
…
本当に身勝手な人だと思いながらも本気で怒らないのは彼女が僕の…嫌、僕等の姉代わりだからだろうか。
(名前)が居たソファ席へ腰を下ろせば店外の映るガラスが目につく。そこに居るのは先程まで僕の事を弄んでいた人物と見知らぬ男。
知り合いが絡まれてたら僕だって助けに行くがそうじゃない、さっきまで話してた話題の人物…(名前)の婚約者である事は電磁波を見るまでもなく二人の距離を見ればわかる。
特に見つめてたつもりはないがガラス越しに目が合う。ひらひら、と手を振る彼女に合わせて手を振り返せばその婚約者もこちらに気づく。
これ以上の面倒事はゴメンな為彼女達からは見えないカウンター席に移動すれば店員の彼女は特に声をかけてくることなく新しいコーヒーを出してくれる
「お代は先程のお会計のときに頂いてます。」
向こうのテーブル席片付けてきますね。そう言ってカウンターから離れる見慣れた彼女を尻目に一息つく。
「恋にはならないけど幸せな結婚、ねぇ…」
少し考えてみたが些か自分には縁のない出来事過ぎてやはり考えるのをやめる。
恋愛相談の占いをしないわけじゃないし僕のお客さんは女性が多い、すると必然的に携わることは多いがそれはそれ、これはこれである。
仕事での相談とプライベートじゃ話が違うしやっぱりいまいちよくわからない…いや、これは多分よほどの恋愛に対して玄人じゃないと相手できないだろう。
そう結論づけた時、テーブル席の片付けを終えた店員の彼女がカウンターに戻ってくる。
「どうされました?珍しく眉間にシワが寄ってますよ」
「あぁ、すまない。いや、少しなぞなぞ紛いな事でね」
「なぞなぞ…ですか、それだと案外、答えは単純かもしれませんよ。」
…
6月某日
今日は大安吉日。
祝事にはまたとない日付、しかもこの梅雨の時期を見まごうばかりの雲一つない晴天ときている
僕の周りにいる参列者達は“神から祝福されてる”と口にする程だった。
僕が今目にしているのはカフェで会話をした人の晴姿。真っ白の上等なドレスと何mも引きずる長い長いベールを纏いゆっくりと歩みを進めている
神父と共に行われる誓いの言葉と共に交わされる契約の儀式が粛々と進んでいく
気づけばそれは最後の儀式になる、神父に言われ新郎は新婦の長い長いベールを上げ少し見つめ合った後に誓いの口づけをする。
勿論ここで「ちょっと待ったぁ!」なんて演出はない。
全てが終わり教会の前にある広場での立食式パーティが繰り広げられるて始めて僕は今日の主役に挨拶ができた。
「おめでとう(名前)、今日は世界で一番綺麗だよ」
「ありがとうココ。君も今日は一段と男前だよ」
「そんなこと言ったら旦那さんが嫉妬しちゃうんじゃない?」
「いや?案外そうでもないのよ。あの人は君のファンだからね」
予想外の言葉に少しだけ瞬きをしていれば
僕と彼女の間にタイミングよく入ってきたのはトリコたちだった。
流石にゼブラはいないようだが…もし何かあれば音玉でも飛ばしてるだろう、あいつが結婚を祝う。何てこと知ってるかどうかわからないが
少し騒がしくなった彼女の周りから一歩引いてみるとこの間のなぞなぞが解けた気がしてつい頬が緩む。
「なるほどね」
───彼女は綺麗な笑顔で式を上げた。
恋人が欲しい。だとか
そういった邪な考えからくる恋人関係の方が人間うまく行くと思うんだよ。
…そんなしかめっ面をしながら話を聞かないでくれよ
え、なぜ?って、そんなの簡単だよ。
不意に好きになった相手だと自分を制御できないからさ、相手のことを知りたい。知ってほしい。
もっと懇意になりたい…
取り繕う暇がないんだ。
その点、打診から来る恋人関係はいい。
互いに利害の一致から来るものだから下手な期待もしなくていい上に自分のはしたない所を見せる心配がない。
え?それじゃあ本当に恋人なのか。って?
嫌だなぁ、君は世界中の皆が落ちた恋をしてるとでも思っていたの?
そんな事あるわけ無いよ。
…それでも、本当の恋人なんだよ。
なんで急にこんな話をしに来たのか?
話したくなったんだ。
自分の感情と考えをまとめるには相手が必要だからね、壁に話しかけて話がまとまるなら皆そうしてる。
あぁ、安心して。ここの会計は私が出すから
それくらいの“お礼”はさせてくれ。
…
「嘘。だね」
「お得意の占いかい?」
ため息を溢しながら頬杖をつく(名前)の姿をココは少し目を細めてじっと見たあとコーヒーに口をつける
「電磁波を見れば分かるよ」
「嫌だなぁ…君には何でもお見通し。ってことかい?」
その言葉に肯定の意を含めながらココは微笑んだ、その姿に(名前)は肩をすくめながらため息をこぼす。
「一体“どれ”が嘘だって?」
「ここの会計。」
「嫌だなぁ!それは本当だよ!ここは私が持つ、それ以上でもそれ以下でもない。」
心外だと言わんばかりに(名前)は少し大げさな身振りをしながら言う
ココはじっ。と“それ”を見る
「奢ってはもらうよ?僕の鑑定料は安くないからね。」
微妙に噛み合わない会話にむず痒く思っている(名前)を他所にココは本格的に(名前)の目を見つめる。
(名前)は大人しくなった
………例えばこれが、恋人同士だとか片思いの相手ならここでドキドキしたりするんだろうなぁ、なんて考えながら黒曜石の様な底の見えぬ瞳を見つめ返す。
店内の秒針がやけに耳につく。
それと一緒に響くのはコーヒーのドリップ音
やけに長いな…そう思いながら先ほどとは変わらない姿勢でココを見つめていれば不意に視線を下げられる。どうやら終わったみたいだ
タイミングよく店員がおかわりのコーヒーを持ってくる。
なるほど。ココが気に入ってる店なだけはある、店員の雰囲気がいい。
客の事を詮索しないと言うのはやはり都合はいい、最近はそれが出来ない店が少なくなってるのも事実。
しかもコーヒーも美味しいと来てる
これは私も通ってしまうかもしれない、通える位置に住めたなら…
もしもの先のことを考えながらココの言葉を待つ。
「話、もう纏まってるんだろう?」
「うん。結納まで終わっているよ。」
ココがコーヒーを喉につまらせて咽る。
汚いなぁ、と言いながらハンカチを手渡せば店員さんが布巾を持ってきてくれる、気が利くお嬢さんだ、心のなかで店の評価が上がる
戸惑いなくそれを受取り口元を拭うと本題に戻るように話すココ。
「はぁ、はぁ…君ねぇ………まぁいいや。一応言っておくけど相手も悪くなさそうだよ、未来の電磁波に悪い気はしないからね。」
「でも痴情の想も出てないだろ?」
「そんなもの出てたら駄目だろう。」
全く、と言いたげに呆れながら咽た口直しと言わんばかりにコーヒーに口をつけるココを眺めながら私は少し物足りない気持ちのやり場に困って店内の外に目を向ける。
「あ、」
私の咄嗟の声に今度はなんだと言いたげな顔でこちらを見るココに
「でもやっぱり私にとってこれは恋にはならないと思うんだ」
そう言い残してコーヒーを一気に煽れば伝票片手に支払いを済ませれば店の外へ出た。
…
本当に身勝手な人だと思いながらも本気で怒らないのは彼女が僕の…嫌、僕等の姉代わりだからだろうか。
(名前)が居たソファ席へ腰を下ろせば店外の映るガラスが目につく。そこに居るのは先程まで僕の事を弄んでいた人物と見知らぬ男。
知り合いが絡まれてたら僕だって助けに行くがそうじゃない、さっきまで話してた話題の人物…(名前)の婚約者である事は電磁波を見るまでもなく二人の距離を見ればわかる。
特に見つめてたつもりはないがガラス越しに目が合う。ひらひら、と手を振る彼女に合わせて手を振り返せばその婚約者もこちらに気づく。
これ以上の面倒事はゴメンな為彼女達からは見えないカウンター席に移動すれば店員の彼女は特に声をかけてくることなく新しいコーヒーを出してくれる
「お代は先程のお会計のときに頂いてます。」
向こうのテーブル席片付けてきますね。そう言ってカウンターから離れる見慣れた彼女を尻目に一息つく。
「恋にはならないけど幸せな結婚、ねぇ…」
少し考えてみたが些か自分には縁のない出来事過ぎてやはり考えるのをやめる。
恋愛相談の占いをしないわけじゃないし僕のお客さんは女性が多い、すると必然的に携わることは多いがそれはそれ、これはこれである。
仕事での相談とプライベートじゃ話が違うしやっぱりいまいちよくわからない…いや、これは多分よほどの恋愛に対して玄人じゃないと相手できないだろう。
そう結論づけた時、テーブル席の片付けを終えた店員の彼女がカウンターに戻ってくる。
「どうされました?珍しく眉間にシワが寄ってますよ」
「あぁ、すまない。いや、少しなぞなぞ紛いな事でね」
「なぞなぞ…ですか、それだと案外、答えは単純かもしれませんよ。」
…
6月某日
今日は大安吉日。
祝事にはまたとない日付、しかもこの梅雨の時期を見まごうばかりの雲一つない晴天ときている
僕の周りにいる参列者達は“神から祝福されてる”と口にする程だった。
僕が今目にしているのはカフェで会話をした人の晴姿。真っ白の上等なドレスと何mも引きずる長い長いベールを纏いゆっくりと歩みを進めている
神父と共に行われる誓いの言葉と共に交わされる契約の儀式が粛々と進んでいく
気づけばそれは最後の儀式になる、神父に言われ新郎は新婦の長い長いベールを上げ少し見つめ合った後に誓いの口づけをする。
勿論ここで「ちょっと待ったぁ!」なんて演出はない。
全てが終わり教会の前にある広場での立食式パーティが繰り広げられるて始めて僕は今日の主役に挨拶ができた。
「おめでとう(名前)、今日は世界で一番綺麗だよ」
「ありがとうココ。君も今日は一段と男前だよ」
「そんなこと言ったら旦那さんが嫉妬しちゃうんじゃない?」
「いや?案外そうでもないのよ。あの人は君のファンだからね」
予想外の言葉に少しだけ瞬きをしていれば
僕と彼女の間にタイミングよく入ってきたのはトリコたちだった。
流石にゼブラはいないようだが…もし何かあれば音玉でも飛ばしてるだろう、あいつが結婚を祝う。何てこと知ってるかどうかわからないが
少し騒がしくなった彼女の周りから一歩引いてみるとこの間のなぞなぞが解けた気がしてつい頬が緩む。
「なるほどね」
───彼女は綺麗な笑顔で式を上げた。
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