番外編(読み切り)
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目が覚めたら隣で寝ているはずの彼女が居なかった。今日は休みだと昨夜言っていた筈なのだけど急な仕事かしら…そう思いながらベッドから出てリビングに向かう。
するとダイニングテーブルの上に紙が一枚。
“プキンちゃんへ♡
13時にグルメタウンの中にある
いつもの喫茶店で待ってます♡
普段のプキンちゃんも可愛いけど、
もっともっと可愛いお洋服の
プキンちゃんに会いたいなぁ♡
(名前)より♡”
文面からもハートが飛び出さんばかりの熱量を受けながらそれを読んで時計に目を向ける。時刻は8:45…遅めの朝食を食べてもゆっくり支度する時間はある、そういうところの抜かりの無さは本当にあの子らしいわね。そう思いながらキッチンに向かい軽く朝食を用意する。
パンを頬張りながら彼女の置き手紙に今一度目を通す、悪戯好きと言うかお茶目と言うか、そういったことが好きなあの子の事だから何かあるんだろうな、と思っていれば“もっともっと可愛い服”というワードが目についた。
彼女がこうして置き手紙をして待ち合わせを促す誘い方は何度もあった。だけどその時に書いてあったのは
よく歩くデートの時は
「お菓子のお家を探しに行けるようなお洋服♡」
パーティの同伴の時は
「ガラスの靴が似合うお洋服♡」
ただの散歩なら
「普段通りの可愛いプキンちゃん♡」
等々…ある程度予想の出来る言い回しを彼女はしてくるのだけど、
“もっともっと可愛いプキンちゃん♡”なんて抽象的な言い方をされた事がない為少し頭を抱えた。
しかし場所と時間帯的にしっかりしたドレスでもカジュアルなスニーカーでもないのかしら。と予想を立てる。するとふと先日彼女が私に洋服をプレゼントしてきた事を思い出す。その場で着てほしいとせがまれ試着をすれば彼女は確かこう言った。
「プキンちゃん最高に可愛い!普段のプキンちゃんの普段着も素敵だけどやっぱりこのお洋服もとっても似合うと思ったの!」
その時の私はいつも以上に褒める彼女の言葉が照れくさくて相槌を打つくらいしかできなかったけどなる程、あの時の服ね。と合点が行った。
あの時ご丁寧に靴から髪飾りまで揃えて渡してきたのはこの為だったらしい、あの子の希望が分かればそれに着替えて用意をするだけ。そして仕上がった自分を姿見で確認して思った事がある。
普段から彼女は私に何かしら渡してくるから感覚が麻痺していたけどセットアップどころかこうして足の先から頭の先、あまつさえ髪につけてるオイルから香水に至るまで…思い返してみれば全て彼女からの贈り物で成り立っていることに気づいた。
普段は服や装飾品を貰っても仕事の邪魔になったり、もしかしたら汚してしまうかもしれない。と言う可能性がある為あまり袖を通さずクローゼットに仕舞っていたから気づかなかったけど…恋人に染まるっていうのはこういう事なのかしら。なんて私の身につけてるもの全てが彼女からの贈り物で出来上がりまるで彼女の所有物だと言わんばかりの仕上がりに少し舞い上がってしまい鏡の前で一回転をする。
ふわりと広がるワンピースの裾を抑えながら緩んだ口元をキュッと締める。いけないわ、こんな顔で外に出て知り合いにでも会った日にはからかわれてしまう。そう思いながらも湧き出る嬉しさに再び頬が緩みかける。
そうこうしているうちに時計を見ればいい頃合いの時間、そろそろ出ないと。そう思いプキンは彼女の待つグルメタウンに向かう事にした。
…12:45
約束の時間より少し早くついてしまったけどテラス席で待っていればいいかしら。そう思いながらプキンが喫茶店のドアを潜るとそこには人々の視線を集めてる彼女が目に入った。
テーブルにはコーヒーカップが置いてあり時たまそれに手を付けながら本を読んでいる彼女、人々の視線を集めてるのは彼女の知名度ではなくおそらく服装だろうとプキンは容易に想像できた。
女性がため息をつくほど豊満な胸の谷間を惜しげもなく露わにし
男性が手にすれば折れるのでは。と思うほど細くくびれた腰を更に強調する様に紐で縛っている
要するにジャケットの上から腰を縛るデザインの裸タキシードだ。あんな格好が似合う人間世界中探しても数えれる位だと思うがそれすら着こなし様になってしまうのだから末恐ろしい。
頭の隅っこでそんな事を考えながらあそこまで注目を集めている彼女に声をかけれる程私の肝は座ってないしひと目に晒されるのにだって慣れてない。そう思いながら如何しようかと思い悩んで居れば彼女がふと視線を上げこちら側、店のドア付近を見る。
それ迄本を読んでいたせいか無表情だった瞳がプキンの姿を捉えればパァ、と効果音がつきそうなくらい分かりやすく表情が明るくなった。そのまま本をクラッチバッグに仕舞い、カップに残った珈琲を一気に流し込めば鞄を抱え伝票を片手にこちらへ駆け寄ってくる。
「プキンちゃん♡!お待たせ♡♡」
うん。またせたのはどちらかというと私なんだけどね。と言いそうになったがプキンは黙った。
きっと彼女に尻尾があれば千切れんばかりにぶんぶんと揺れているに違いない。そう思わせる程に彼女からハートが飛んてきていたからだ。彼女自身が幸せならいいか。そう思いプキンは口を閉じた。そしてお会計をしてる彼女を眺めていればふと気づく、彼女が着ているその服は先日私が選んだ代物だと。厳密にはどちらがいいか。と聞かれて彼女に似合う方を提案したらそのまま買ってた物なのだけど、よく見れば靴も腕輪も鞄だってそうだ。先日買い物デートしてる時に私に聞いてきて選んだ方を買っていた物たちばかり、そこでふと家を出る前の自分の姿を思い出した。
彼女の所有物だと言われているみたいで幸せだと。彼女もそう感じたのだろうか、その問いかけは(名前)には届かなかった。会計が終わり嬉々としながら振り返りこちらに手を差し出す彼女を見ればその問は愚問と言うものだ。
そう思いながらプキンは彼女の手を取り店を後にした。
彼女達が去った後の店内には静寂が流れていた、それは女性同士が手を繋いで出ていったからでも、先程まで席に座っていた女性の服装に関するものでもなく
只々彼女達の去り際が美しかったからである。
後から店内に来た髪の長い女性が着ていたのはクリームベースの白味が強いシフォンワンピース、その足元は3cmヒールとシンプルながら女性らしさを醸し出しており髪には百合をあしらったホワイトゴールドとパールで出来た少し大振りな髪飾りに耳元にはよく揺れるパールのイヤリング。
そして硬すぎず柔らかすぎないであろうその女性のキャラメル色の髪はゆったりと巻かれ大きな瞳を縁取る様な長い睫毛にキツイ印象はなく彼女の物腰を表すように穏やかな印象を与えるものであった。
方や先程まで店内に居た女性はその豊満な胸元とは対象的に顎先で前髪が繋がるよう切り揃えられた首のよく出る髪型に片目こそ隠れるが反対側から伺えるスッキリとした目鼻立ちによりその美しさは中性的で首から下の曝け出された胸元を見なければ性別に一瞬戸惑う程だった。
そんな彼女が纏っていたのはとてつもなくシンプル、オフホワイトのジャケットにセットアップのパンツ。そしてその惜しげもなくあらわにされてる胸元のすぐ下を絞るそのデザイン、しかもその下にシャツなどは纏わないと言う着こなしに並の人間では着こなせないことは明白だった。
そんな彼女が立ち上がると近くの席に座っていた男性達は驚いた、それはその高さにだ。おそらく元の背も高いであろうその女性は更に10cmオーバーのピンヒールでいとも容易く立ち上がりあまつさえそのまま入り口に駆け寄るのだ、その時にヒールと床の嫌な高い音がしない事から普段から履きなれている事が容易に想像できた。
そしてそんな男性顔負けの視線の高さの女性が先程まで無表情だった瞳に一気に熱を持ち、さらには相手の女性をエスコートする様に手を差し伸べる。その姿まるでお伽噺に出てくるプリンセスとプリンスを思わせる物だった。
勿論手を差し出された女性もそれを無下にすることなく手を絡めた、その姿がまた一層美しく彼女達が店を出たあとドアが閉まるまで目が離せないほどだった。
元来人間というものは美しすぎるものを見ると息を忘れる事があるらしい、店内が元の賑やかさを取り戻すのにはもう暫く掛かりそうだ。
するとダイニングテーブルの上に紙が一枚。
“プキンちゃんへ♡
13時にグルメタウンの中にある
いつもの喫茶店で待ってます♡
普段のプキンちゃんも可愛いけど、
もっともっと可愛いお洋服の
プキンちゃんに会いたいなぁ♡
(名前)より♡”
文面からもハートが飛び出さんばかりの熱量を受けながらそれを読んで時計に目を向ける。時刻は8:45…遅めの朝食を食べてもゆっくり支度する時間はある、そういうところの抜かりの無さは本当にあの子らしいわね。そう思いながらキッチンに向かい軽く朝食を用意する。
パンを頬張りながら彼女の置き手紙に今一度目を通す、悪戯好きと言うかお茶目と言うか、そういったことが好きなあの子の事だから何かあるんだろうな、と思っていれば“もっともっと可愛い服”というワードが目についた。
彼女がこうして置き手紙をして待ち合わせを促す誘い方は何度もあった。だけどその時に書いてあったのは
よく歩くデートの時は
「お菓子のお家を探しに行けるようなお洋服♡」
パーティの同伴の時は
「ガラスの靴が似合うお洋服♡」
ただの散歩なら
「普段通りの可愛いプキンちゃん♡」
等々…ある程度予想の出来る言い回しを彼女はしてくるのだけど、
“もっともっと可愛いプキンちゃん♡”なんて抽象的な言い方をされた事がない為少し頭を抱えた。
しかし場所と時間帯的にしっかりしたドレスでもカジュアルなスニーカーでもないのかしら。と予想を立てる。するとふと先日彼女が私に洋服をプレゼントしてきた事を思い出す。その場で着てほしいとせがまれ試着をすれば彼女は確かこう言った。
「プキンちゃん最高に可愛い!普段のプキンちゃんの普段着も素敵だけどやっぱりこのお洋服もとっても似合うと思ったの!」
その時の私はいつも以上に褒める彼女の言葉が照れくさくて相槌を打つくらいしかできなかったけどなる程、あの時の服ね。と合点が行った。
あの時ご丁寧に靴から髪飾りまで揃えて渡してきたのはこの為だったらしい、あの子の希望が分かればそれに着替えて用意をするだけ。そして仕上がった自分を姿見で確認して思った事がある。
普段から彼女は私に何かしら渡してくるから感覚が麻痺していたけどセットアップどころかこうして足の先から頭の先、あまつさえ髪につけてるオイルから香水に至るまで…思い返してみれば全て彼女からの贈り物で成り立っていることに気づいた。
普段は服や装飾品を貰っても仕事の邪魔になったり、もしかしたら汚してしまうかもしれない。と言う可能性がある為あまり袖を通さずクローゼットに仕舞っていたから気づかなかったけど…恋人に染まるっていうのはこういう事なのかしら。なんて私の身につけてるもの全てが彼女からの贈り物で出来上がりまるで彼女の所有物だと言わんばかりの仕上がりに少し舞い上がってしまい鏡の前で一回転をする。
ふわりと広がるワンピースの裾を抑えながら緩んだ口元をキュッと締める。いけないわ、こんな顔で外に出て知り合いにでも会った日にはからかわれてしまう。そう思いながらも湧き出る嬉しさに再び頬が緩みかける。
そうこうしているうちに時計を見ればいい頃合いの時間、そろそろ出ないと。そう思いプキンは彼女の待つグルメタウンに向かう事にした。
…12:45
約束の時間より少し早くついてしまったけどテラス席で待っていればいいかしら。そう思いながらプキンが喫茶店のドアを潜るとそこには人々の視線を集めてる彼女が目に入った。
テーブルにはコーヒーカップが置いてあり時たまそれに手を付けながら本を読んでいる彼女、人々の視線を集めてるのは彼女の知名度ではなくおそらく服装だろうとプキンは容易に想像できた。
女性がため息をつくほど豊満な胸の谷間を惜しげもなく露わにし
男性が手にすれば折れるのでは。と思うほど細くくびれた腰を更に強調する様に紐で縛っている
要するにジャケットの上から腰を縛るデザインの裸タキシードだ。あんな格好が似合う人間世界中探しても数えれる位だと思うがそれすら着こなし様になってしまうのだから末恐ろしい。
頭の隅っこでそんな事を考えながらあそこまで注目を集めている彼女に声をかけれる程私の肝は座ってないしひと目に晒されるのにだって慣れてない。そう思いながら如何しようかと思い悩んで居れば彼女がふと視線を上げこちら側、店のドア付近を見る。
それ迄本を読んでいたせいか無表情だった瞳がプキンの姿を捉えればパァ、と効果音がつきそうなくらい分かりやすく表情が明るくなった。そのまま本をクラッチバッグに仕舞い、カップに残った珈琲を一気に流し込めば鞄を抱え伝票を片手にこちらへ駆け寄ってくる。
「プキンちゃん♡!お待たせ♡♡」
うん。またせたのはどちらかというと私なんだけどね。と言いそうになったがプキンは黙った。
きっと彼女に尻尾があれば千切れんばかりにぶんぶんと揺れているに違いない。そう思わせる程に彼女からハートが飛んてきていたからだ。彼女自身が幸せならいいか。そう思いプキンは口を閉じた。そしてお会計をしてる彼女を眺めていればふと気づく、彼女が着ているその服は先日私が選んだ代物だと。厳密にはどちらがいいか。と聞かれて彼女に似合う方を提案したらそのまま買ってた物なのだけど、よく見れば靴も腕輪も鞄だってそうだ。先日買い物デートしてる時に私に聞いてきて選んだ方を買っていた物たちばかり、そこでふと家を出る前の自分の姿を思い出した。
彼女の所有物だと言われているみたいで幸せだと。彼女もそう感じたのだろうか、その問いかけは(名前)には届かなかった。会計が終わり嬉々としながら振り返りこちらに手を差し出す彼女を見ればその問は愚問と言うものだ。
そう思いながらプキンは彼女の手を取り店を後にした。
彼女達が去った後の店内には静寂が流れていた、それは女性同士が手を繋いで出ていったからでも、先程まで席に座っていた女性の服装に関するものでもなく
只々彼女達の去り際が美しかったからである。
後から店内に来た髪の長い女性が着ていたのはクリームベースの白味が強いシフォンワンピース、その足元は3cmヒールとシンプルながら女性らしさを醸し出しており髪には百合をあしらったホワイトゴールドとパールで出来た少し大振りな髪飾りに耳元にはよく揺れるパールのイヤリング。
そして硬すぎず柔らかすぎないであろうその女性のキャラメル色の髪はゆったりと巻かれ大きな瞳を縁取る様な長い睫毛にキツイ印象はなく彼女の物腰を表すように穏やかな印象を与えるものであった。
方や先程まで店内に居た女性はその豊満な胸元とは対象的に顎先で前髪が繋がるよう切り揃えられた首のよく出る髪型に片目こそ隠れるが反対側から伺えるスッキリとした目鼻立ちによりその美しさは中性的で首から下の曝け出された胸元を見なければ性別に一瞬戸惑う程だった。
そんな彼女が纏っていたのはとてつもなくシンプル、オフホワイトのジャケットにセットアップのパンツ。そしてその惜しげもなくあらわにされてる胸元のすぐ下を絞るそのデザイン、しかもその下にシャツなどは纏わないと言う着こなしに並の人間では着こなせないことは明白だった。
そんな彼女が立ち上がると近くの席に座っていた男性達は驚いた、それはその高さにだ。おそらく元の背も高いであろうその女性は更に10cmオーバーのピンヒールでいとも容易く立ち上がりあまつさえそのまま入り口に駆け寄るのだ、その時にヒールと床の嫌な高い音がしない事から普段から履きなれている事が容易に想像できた。
そしてそんな男性顔負けの視線の高さの女性が先程まで無表情だった瞳に一気に熱を持ち、さらには相手の女性をエスコートする様に手を差し伸べる。その姿まるでお伽噺に出てくるプリンセスとプリンスを思わせる物だった。
勿論手を差し出された女性もそれを無下にすることなく手を絡めた、その姿がまた一層美しく彼女達が店を出たあとドアが閉まるまで目が離せないほどだった。
元来人間というものは美しすぎるものを見ると息を忘れる事があるらしい、店内が元の賑やかさを取り戻すのにはもう暫く掛かりそうだ。
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