何でもない写真(番外編)
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「(名前)は何で鉄平と結婚したんだ?」
だって(名前)は結婚とかに執着しなさそうじゃね。と付け足しながらカウンター越しのトリコがそう尋ねてくる。
彼の隣にいる小松君も興味津々と言った表情でこちらを見ている
「なんで、って…付き合ってたし」
「それだけが理由じゃねぇだろ」
「えー…」
思い返してみれば理由らしい理由なんて大してないのかもしれない、プロポーズは彼からだった。しかしプロポーズされなければ別れてたかと言われるとそんなこと考えてもなかった、只々あの頃は先のことなんてロクに考えずにこのまま一緒にいるんだろうなぁ。なんて根拠もなく漠然と思っていた。
すると小松君が尋ねてくる
「でも、(名前)さんって自分より弱い人とは付き合わない!って感じのイメージがあります!」
「それどちらかと言うとお姉ちゃんの影響よね」
「あ…そうかもしれないです」
へへ、と笑う小松君に可愛いなぁ。なんて思いながらあながち間違ってないその考察の台詞を思い出して少し口元が緩む
「でもそうね、お姉ちゃんは昔から「私より弱いどこの馬の骨ともわからない野郎に(名前)ちゃんは渡せない!」って言ってたから」
「あ、やっぱり」
そう返す小松君と共にクスクスと笑いが溢れる。
「楽しそうに何の話してんの」
奥に引っ込んでた鉄平が紙袋を片手にこちらへ訪れるとそれをカウンターに置き小松君へ渡しながら会話に参加する。
「お姉ちゃんの事、自分より弱い男に私は渡さない。ってやつ」
「あぁ、お義姉さん昔よく言ってたね。」
「今でもたまに言うけどね」
「え、」
「“いつでも帰ってきていいのよ。”って」
「あぁ、それね。」
「あんたに包丁投げる事は流石にもうしないでしょ。…多分」
「多分!?待って多分がつくの!?」
なんて、下らない会話をしていれば小松君が気になった所を質問してくる
「え、あの…鉄平さんって天音さんより強いんですか…?」
その問いかけにトリコも“気になる”といった様子でこちらを見る、たしかに先程の会話の続きからすれば鉄平は姉より強いことになる。実際単純な腕っぷしで言えば姉より鉄平のが強いが私が絡むと話は別だ、自分で言うのもなんだが私が絡んだ時の姉はあの与作先生ですら手を焼く位厄介なのだ。
すると鉄平は少しだけ周りを伺うようにきょろきょろとして背を丸めればカウンターに肘をつき話す。
「強いって言うか…抜き打ちでしょっちゅう包丁投げられてたんだよ…それを全部無傷で避けれるようになるまでは目すら合わせてくれなかったから…」
今思い出しても憂鬱になるのかげんなりとした様子で当時のことを話す鉄平に怯えた表情の小松君と少し面白そうにしてるトリコを見ながら私はおかわりのお茶を入れる。
「それすっごく危なくないですか」
「危ないどころじゃないよ、はじめの頃はそんなのわかんないじゃん?普通に怪我してたよ、俺」
「何枚か服駄目にしてたもんね」
そう付け加える私の台詞に小松君は“そんなに!?”と驚いた様子が先程から絶えない。表情がコロコロ変わる彼を見てるだけで一日過ごせる気がする、なんて思っていればトリコが会話に入る。
「でも今こうしてるってことは全部避けきれて認めてもらえた、って事だろ」
「まぁ、一応そうなるかな。」
「一応?」
「ほら、(名前)ちゃんってこう見えて少し抜けててさ。まぁそこが可愛いところでもあるんだけど、今もたまにやらかしたりしててねこの間なんか補充したばっかの材料の事忘れててもっかい買ってきたの。その時の表情がホント可愛すぎて惚れ直すくらいで別にそれがなくても日頃から惚れ直す事何て何回もあるんだけど、そんな(名前)ちゃんも昔から変わらず怪我とかしょっちゅうしてた訳よ、適合食材がまだ分からないって時から。そりゃ、あのお義姉さんだから凄く心配してた訳、そんな時に見つかった適合食材の関係で俺との関係も渋々承諾してくれた。って感じ。」
「鉄平。」
「ん?」
「私の恥を勝手に晒さないで」
ごめんごめん、なんて悪びれた様子もない鉄平を見ながら話を吹っかけてきたカウンター越しの二人におかわりのお茶を差し出しながら様子を見れば彼の相変わらずの饒舌とその中に織り込まれた惚気に苦笑いしていた。
「でも、あのゼブラさんを捕まえる程の鉄平さんですから強くて当たり前ですよね」
「あらやだ、小松君それじゃ私がゼブラより弱いみたいじゃない」
「え、嫌…」
そんなつもりは、と言葉尻が弱くなりながら付け加える小松君の反応に少しだけ意地悪をしたくなる気持ちを抑えながら冗談だと笑顔で伝えようとした瞬間隣から要らない一言が降ってくる
「え、俺じゃなきゃゼブラ捕まえられないでしょ」
パッと隣を見ればニヤニヤとした表情の鉄平
「は?」
途端に私の眉間に皺が寄る
「だから俺の所に逮捕依頼来たんじゃないの?」
言葉の中の意味を考えなくても目を見れば分かる。この挑発的な目…
「いいわ、相手してあげる表に出さない。」
それがはじまりの合図だった、
私達は準備運動の様に軽く関節を回しながらトリコ達を放って再生所の外に出る。
「俺が一体何回君の怪我治したと思ってるのさ」
「あらやだ、私が一体何回あんたの再生させた生物ノッキングしたと思ってるのよ」
「あれはジジイのノッキングされたままの奴らを再生させてるんだよ」
「次郎兄さんのじゃなくてあんたが無断で再生させた隔離生物の話よ」
「言っても埒が明かない、」
「同意見だわ」
「ルールは」
「降参した方が負け。」
そのセリフを言い終わるやいなや私達の様子をうかがう為に扉を開けた小松君のその“扉の音”がゴングとなった。
砂埃を立たせながら激しく行き交う(名前)達を見つめながら小松はトリコに問う、
「あのぅ…良いんですかトリコさん、お二人を止めなくて」
「良いんだよ、それに俺一人じゃいくらお互い手加減してる喧嘩でもあの二人を止めるのなんて無理だしな」
トリコにあっさりとそう言わせる事実に小松は二人の強さを痛感した。
「それより小松、目的の物は貰ったんだろ?」
「あ、はいっ!」
トリコの問いかけに小松は己がずっと抱えていた紙袋の中を見ながら応える
「よし、それじゃ目的も果たしたし帰るか。」
「え、帰るかってあのお二人を放っておいて良いんですか!?」
「夫婦喧嘩は犬も食わぬ。って言うだろ」
「夫婦喧嘩…?」
「ありゃ夫婦喧嘩って言うよりじゃれ合いだろうがな。」
僕の知ってるじゃれ合いって意味より幾分か違うんですが…
視線を下ろすと今尚地面が割れんばかりの振動を起こしながらあらゆる植物が(名前)目掛けて伸びて行ったと思えばそれを軽快に避け一瞬の躊躇いもなく確実にこめかみに蹴りを入れると鉄平はそれをガードして戸惑いなく振り払う、そしてそれにより後ろへ飛び退く(名前)の目はとてもキラキラと輝きそれはまるでこれ以上ない極上の好物を目の前にしている美食屋の様で
一方ガードしても尚数m後ろへ飛ばされる鉄平の口元もまた至高の食材を発見した美食屋が浮かべる顔をしているのを見ながら小松は思った。
(なんで鉄平さんと(名前)さんが結婚したのかなんとなくわかった気がします。)
きっと自分達が知る事もない数多の理由ときっかけがあるはずだけれど
何となくそのひとつが見えた気がした小松だった。
だって(名前)は結婚とかに執着しなさそうじゃね。と付け足しながらカウンター越しのトリコがそう尋ねてくる。
彼の隣にいる小松君も興味津々と言った表情でこちらを見ている
「なんで、って…付き合ってたし」
「それだけが理由じゃねぇだろ」
「えー…」
思い返してみれば理由らしい理由なんて大してないのかもしれない、プロポーズは彼からだった。しかしプロポーズされなければ別れてたかと言われるとそんなこと考えてもなかった、只々あの頃は先のことなんてロクに考えずにこのまま一緒にいるんだろうなぁ。なんて根拠もなく漠然と思っていた。
すると小松君が尋ねてくる
「でも、(名前)さんって自分より弱い人とは付き合わない!って感じのイメージがあります!」
「それどちらかと言うとお姉ちゃんの影響よね」
「あ…そうかもしれないです」
へへ、と笑う小松君に可愛いなぁ。なんて思いながらあながち間違ってないその考察の台詞を思い出して少し口元が緩む
「でもそうね、お姉ちゃんは昔から「私より弱いどこの馬の骨ともわからない野郎に(名前)ちゃんは渡せない!」って言ってたから」
「あ、やっぱり」
そう返す小松君と共にクスクスと笑いが溢れる。
「楽しそうに何の話してんの」
奥に引っ込んでた鉄平が紙袋を片手にこちらへ訪れるとそれをカウンターに置き小松君へ渡しながら会話に参加する。
「お姉ちゃんの事、自分より弱い男に私は渡さない。ってやつ」
「あぁ、お義姉さん昔よく言ってたね。」
「今でもたまに言うけどね」
「え、」
「“いつでも帰ってきていいのよ。”って」
「あぁ、それね。」
「あんたに包丁投げる事は流石にもうしないでしょ。…多分」
「多分!?待って多分がつくの!?」
なんて、下らない会話をしていれば小松君が気になった所を質問してくる
「え、あの…鉄平さんって天音さんより強いんですか…?」
その問いかけにトリコも“気になる”といった様子でこちらを見る、たしかに先程の会話の続きからすれば鉄平は姉より強いことになる。実際単純な腕っぷしで言えば姉より鉄平のが強いが私が絡むと話は別だ、自分で言うのもなんだが私が絡んだ時の姉はあの与作先生ですら手を焼く位厄介なのだ。
すると鉄平は少しだけ周りを伺うようにきょろきょろとして背を丸めればカウンターに肘をつき話す。
「強いって言うか…抜き打ちでしょっちゅう包丁投げられてたんだよ…それを全部無傷で避けれるようになるまでは目すら合わせてくれなかったから…」
今思い出しても憂鬱になるのかげんなりとした様子で当時のことを話す鉄平に怯えた表情の小松君と少し面白そうにしてるトリコを見ながら私はおかわりのお茶を入れる。
「それすっごく危なくないですか」
「危ないどころじゃないよ、はじめの頃はそんなのわかんないじゃん?普通に怪我してたよ、俺」
「何枚か服駄目にしてたもんね」
そう付け加える私の台詞に小松君は“そんなに!?”と驚いた様子が先程から絶えない。表情がコロコロ変わる彼を見てるだけで一日過ごせる気がする、なんて思っていればトリコが会話に入る。
「でも今こうしてるってことは全部避けきれて認めてもらえた、って事だろ」
「まぁ、一応そうなるかな。」
「一応?」
「ほら、(名前)ちゃんってこう見えて少し抜けててさ。まぁそこが可愛いところでもあるんだけど、今もたまにやらかしたりしててねこの間なんか補充したばっかの材料の事忘れててもっかい買ってきたの。その時の表情がホント可愛すぎて惚れ直すくらいで別にそれがなくても日頃から惚れ直す事何て何回もあるんだけど、そんな(名前)ちゃんも昔から変わらず怪我とかしょっちゅうしてた訳よ、適合食材がまだ分からないって時から。そりゃ、あのお義姉さんだから凄く心配してた訳、そんな時に見つかった適合食材の関係で俺との関係も渋々承諾してくれた。って感じ。」
「鉄平。」
「ん?」
「私の恥を勝手に晒さないで」
ごめんごめん、なんて悪びれた様子もない鉄平を見ながら話を吹っかけてきたカウンター越しの二人におかわりのお茶を差し出しながら様子を見れば彼の相変わらずの饒舌とその中に織り込まれた惚気に苦笑いしていた。
「でも、あのゼブラさんを捕まえる程の鉄平さんですから強くて当たり前ですよね」
「あらやだ、小松君それじゃ私がゼブラより弱いみたいじゃない」
「え、嫌…」
そんなつもりは、と言葉尻が弱くなりながら付け加える小松君の反応に少しだけ意地悪をしたくなる気持ちを抑えながら冗談だと笑顔で伝えようとした瞬間隣から要らない一言が降ってくる
「え、俺じゃなきゃゼブラ捕まえられないでしょ」
パッと隣を見ればニヤニヤとした表情の鉄平
「は?」
途端に私の眉間に皺が寄る
「だから俺の所に逮捕依頼来たんじゃないの?」
言葉の中の意味を考えなくても目を見れば分かる。この挑発的な目…
「いいわ、相手してあげる表に出さない。」
それがはじまりの合図だった、
私達は準備運動の様に軽く関節を回しながらトリコ達を放って再生所の外に出る。
「俺が一体何回君の怪我治したと思ってるのさ」
「あらやだ、私が一体何回あんたの再生させた生物ノッキングしたと思ってるのよ」
「あれはジジイのノッキングされたままの奴らを再生させてるんだよ」
「次郎兄さんのじゃなくてあんたが無断で再生させた隔離生物の話よ」
「言っても埒が明かない、」
「同意見だわ」
「ルールは」
「降参した方が負け。」
そのセリフを言い終わるやいなや私達の様子をうかがう為に扉を開けた小松君のその“扉の音”がゴングとなった。
砂埃を立たせながら激しく行き交う(名前)達を見つめながら小松はトリコに問う、
「あのぅ…良いんですかトリコさん、お二人を止めなくて」
「良いんだよ、それに俺一人じゃいくらお互い手加減してる喧嘩でもあの二人を止めるのなんて無理だしな」
トリコにあっさりとそう言わせる事実に小松は二人の強さを痛感した。
「それより小松、目的の物は貰ったんだろ?」
「あ、はいっ!」
トリコの問いかけに小松は己がずっと抱えていた紙袋の中を見ながら応える
「よし、それじゃ目的も果たしたし帰るか。」
「え、帰るかってあのお二人を放っておいて良いんですか!?」
「夫婦喧嘩は犬も食わぬ。って言うだろ」
「夫婦喧嘩…?」
「ありゃ夫婦喧嘩って言うよりじゃれ合いだろうがな。」
僕の知ってるじゃれ合いって意味より幾分か違うんですが…
視線を下ろすと今尚地面が割れんばかりの振動を起こしながらあらゆる植物が(名前)目掛けて伸びて行ったと思えばそれを軽快に避け一瞬の躊躇いもなく確実にこめかみに蹴りを入れると鉄平はそれをガードして戸惑いなく振り払う、そしてそれにより後ろへ飛び退く(名前)の目はとてもキラキラと輝きそれはまるでこれ以上ない極上の好物を目の前にしている美食屋の様で
一方ガードしても尚数m後ろへ飛ばされる鉄平の口元もまた至高の食材を発見した美食屋が浮かべる顔をしているのを見ながら小松は思った。
(なんで鉄平さんと(名前)さんが結婚したのかなんとなくわかった気がします。)
きっと自分達が知る事もない数多の理由ときっかけがあるはずだけれど
何となくそのひとつが見えた気がした小松だった。
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