丸井ブン太
ずっと、ずっと俺たちは、このままだと思っていた。
「ついに彼氏できたの!!」
意気揚々と話す顔は赤い。いつもと変わらない放課後、同じ方向へ歩く帰り道で、肉まんを持った手が思わず揺れた。
彼氏。カレシ。かれし。頭の中で、言葉を何度も回す。彼氏? こいつに?
小さい頃からずっと一緒にいた。誰よりも理解してるし、誰よりも大切だ。ずっとこのまま、一緒にこの道を歩くと思っていたのは俺だけ?
「へぇ!! 良かったじゃん」
俺は今笑えているのだろうか。声は震えていなかったか。
相手は誰だと聞いて、口から出た苗字にはっとする。そういえば、と、思い当たる節が走馬灯のように流れた。言われてみれば納得してしまう自分が情けない。
繋いでいた俺の手をすり抜けて、走っていってしまった気分だ。目の前で手を繋ぎなおして。笑顔で歩いていく。
うまいはずの肉まんが、得体の知れない食感のなにかに変わる。
俺じゃ、ないのか。
すとんと心の中に落ちてくる。好きな相手として、異性として、意識したのはいつからだっただろう。
ずっと子供のままでいられると思ってた。
「それはそうと、俺ん家寄ってくだろぃ?」
打ち込むなら、今、ここで。バッチリ決めてやる。
天才なんだから。
「ついに彼氏できたの!!」
意気揚々と話す顔は赤い。いつもと変わらない放課後、同じ方向へ歩く帰り道で、肉まんを持った手が思わず揺れた。
彼氏。カレシ。かれし。頭の中で、言葉を何度も回す。彼氏? こいつに?
小さい頃からずっと一緒にいた。誰よりも理解してるし、誰よりも大切だ。ずっとこのまま、一緒にこの道を歩くと思っていたのは俺だけ?
「へぇ!! 良かったじゃん」
俺は今笑えているのだろうか。声は震えていなかったか。
相手は誰だと聞いて、口から出た苗字にはっとする。そういえば、と、思い当たる節が走馬灯のように流れた。言われてみれば納得してしまう自分が情けない。
繋いでいた俺の手をすり抜けて、走っていってしまった気分だ。目の前で手を繋ぎなおして。笑顔で歩いていく。
うまいはずの肉まんが、得体の知れない食感のなにかに変わる。
俺じゃ、ないのか。
すとんと心の中に落ちてくる。好きな相手として、異性として、意識したのはいつからだっただろう。
ずっと子供のままでいられると思ってた。
「それはそうと、俺ん家寄ってくだろぃ?」
打ち込むなら、今、ここで。バッチリ決めてやる。
天才なんだから。