Forever
名前
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「昨夜カラオケで歌いすぎてノド痛ェ…」
「そりゃーよーござんしたねぇ…」
「カラオケでも萩原の独壇場だったからね…」
「おい名字、松田の腕に引っ付く暇があるなら掃除しろ」
「あん?
俺の名前にケチつけてんじゃねーよ。それとも羨ましいのかゼロ?」
「そ、そんなんじゃない。
ちゃんと掃除をして欲しいだけだ」
「俺と名前の担当範囲はもう終わってんだよ。
悔しかったらもっと手際よくやれよ」
「なんだと?」
「まあまあ二人とも」
二人を止めに入る伊達班長、萩と諸伏君は笑いながら見てる。
どうやら自分はあの日にいるらしい。
って事はこの後にあの車がやって来て…。
「お!カッケー!
マツダRX-7FD3Sじゃんよー!!」
「誰が乗ってんだ?」
萩が鬼塚の預かってる車を車庫に入れて来て、重装備訓練でサングラスのオッサンが二人に目を付けて…。
自動二輪技能訓練の時、陣平と萩は機動隊の爆発物処理班にスカウトされるんだ。
陣平が嬉しそうにしてるから、私は行かないでと言えなかった。
私は女だから機動隊に入れない。
陣平と離れるならどこに行けば良いんだろうと考えてたら、降谷さんに誘われたんだ。
僕と一緒に来ないか━━と。
「ねえ、萩」
「どうしたの?」
「爆発物処理班に行くの?
さっき考えさせてって…」
陣平がトイレに行ってる間に萩を談話室に連れこんだ。
前はこんな事しなかったけど、もし変えられるなら…ここしか無い。
萩が行かないってなれば、考えてくれるはずだ。
「そりゃー嬉しいよ。気心の知れた友に同じ部署…大好きな機械いじり…。
けどさ、名前はどうするの?
松田はノリ気だけど、名前は機動隊に入れないでしょ?
まあ、また無茶言って入れてもらう事ならできそうだけどさ…名前って機動隊好きじゃないでしょ。
といより…機械いじりしてる松田好きじゃないよね」
「なん、で…」
「そりゃあ分かるさ。
松田は機械いじりしてる時は名前の事全然構ってないから。
両手両目は機械に向けて名前の事なんてお構い無し。
初めの時さ名前が話かけた時、松田がふーんとかああとか相づちばっかりで、名前は松田に話かけるの止めたよな」
「それは…」
「そんな名前を残して機動隊に行くのは俺が嫌なんだよ。
だったらさ、二人で捜査一課にでも行くのもありかな…って」
萩に腕を引っ張られて、優しく抱きしめられた。
相手は萩だから抵抗なんてもちろんしない。悪い事なんてする人じゃないから。
息を吸えば萩の匂いでいっぱいだ。優しくて、温かくて、落ち着く匂い。
「たまにはさ、松田じゃなくて俺を見ろよ」
「萩…?」
「俺は名前の事が━━」
「萩原ぁ!」
談話室の扉が勢いよく開いて、陣平によって引き剥がされた。
いつもだったら優しく抱きしめてくれるのに、今は少し強いくらい。
「お前…俺が見てない間に何やってんだよ」
「何やって…見ての通りだけど。
松田なんて放って置いて、俺と名前、二人で一緒の捜査一課に入らないかって話してたんだよ」
「はあ?爆処じゃねーのかよ!」
「爆処に行ったら名前が一人になってかわいそうだろ?
まあ松田は名前より大好きな機械いじりを取ったから関係ないか。
ってことでさ、俺に名前を譲ってくれよ。松田は俺の姉さんが好きなんだろ?」
「それは前の事だろうが!」
「前の事?本当に?
俺の家行く時、探してるよな。今でも」
「この…っ言いたい放題言いやがって!」
「だから名前と付き合わないし、口づけも頬や額だけ。
本当に好きなら付き合おうとか言うだろ。ただ自分の隣に置いてるだけって事は…そういう事なんだろ」
抱きしめてる力が強まった。
もし萩の言うことが本当なら、だから陣平は爆発物処理班に行ったんだ。
だから私はいつまで経っても陣平と付き合わなかったんだ。
まあ私なんて胸もないし、綺麗な顔立ちしてないし、見た目は萩原千速に劣ってる。陣平が惚れるのも無理ないよなあ。
「っ、勝手にしろ!」
私を萩に向かって突き飛ばし、背を向けて談話室を出て行った。
行った場所は鬼塚の車だろう。エンジン診るのを頼まれてたからな。
それでも私は…。
「萩は爆発物処理班に行かないよね」
「ああ、もちろん」
「じゃあ陣平追いかける。
陣平に嫌われたままはイヤだし…私は陣平と萩がいないと嫌だから」
「松田は名前を都合の良い女だと思っているかも知れないんだ」
「うん、だから陣平の口からはっきりと聞いてくる」
談話室を出て陣平の居る場所へ向かった。廊下を走ってる時に鬼塚が何か言ってたが無視だ。
「陣平」
「名前…。
萩原の所に行かなくていいのか」
「陣平は萩と私をくっつけたいの?」
「んな訳ねーだろ…」
あいかわらずこっちを向かないが、手を動かしたまま。
表情は分からないけど、陣平はぽつぽつと喋り始めた。
「名前も知ってるが…俺は千速が好きだった。告白もしたさ。
けどアイツに言われたんだ。研二と名前が付き合ったらお前は心の底から祝福できるか…って。
んなの、できる訳ねーだろ。名前が他の奴とキスするのも風呂入るのも許せねえんだよ。全部俺じゃねえと嫌なんだ。
誰にも名前は渡したくない。俺の隣に永遠にいて欲しい。
爺さん婆さんになっても俺の隣で笑って欲しい……って」
「陣平…」
「けどそれは俺のわがままだ。
名前はいつか俺以外の男を捕まえて、付き合って、結婚するかも知れねえ。まあ名前が選んだ男は俺より強くないと許さねえけど」
「……」
「試したんだ。
俺が爆処に行くって言ったら引き止めてくれるかって。
引き止めてくれたらさ、言おうと思ってたんだよ。
俺が…死ぬまで隣にいろ、ってな」
陣平の襟首を掴んで無理矢理立たせて抱きついた。
心臓の音が聞こえる。ちゃんと生きてる。
萩と陣平が死んだのは私のせいなんだ。
あの時私が陣平の気持ちを無視して行かないでって言ってたら…。
「陣平、好き」
「ああ、知ってるよ」
「好き、大好き。
だから私を置いて行かないで。陣平の隣に私を置いて」
「俺も…名前が好きだ。
もう嫌だって言っても離さないからな」
「言わないよ」
抱きしめられて、何度も唇にキスをされた。
熱い舌に唇を押されて、少し口を開けば舌が入ってきた。
私の舌を陣平の舌が絡み合い、くちゅくちゅといやらしい音がたった。
陣平に触れられてる全てが熱い。呼吸が苦しい。だけどすごく幸せ。
どれくらい時間が立ったのだろう。
頭がぼんやりとしてきたら陣平の舌がそっと出て、唇の周りをざらついた舌が何度も往復した。
「よだれ、出てる。
そんなに気持ち良かったのか?」
「良かったぁ…じんぺい、すきぃ…つづきは……?」
「続きは夜な。それまで待てるか?」
「ん、待つ…」
もう少しで修理が終わるから待ってくれと言われたから、陣平の背中に抱きついて待った。
今まではお風呂入って頬か額にキスして終わりだったけど、続きがあるんだ。夜が楽しみだなあ。