風見パパになる番外編
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風見side
「くしゅん!」
「風邪ですか?」
「ううん、平気。
ただちょっと寒くなってきたなーって」
「そうですか…」
…という会話を昨日名字さんとしたので、マフラーを編むことにしたのだが。
「これが、こうで…うーん?」
店に行ってかぎ針編み、毛糸、マフラーの編み方の本を買ったのはいいが難しい。
さっきから毛糸が絡まって編めない。
普段ボタン付けもしない俺がマフラーを編むなんて無理があったのか。
「風見が編み物?
いきなりどうしたんだ」
「降谷さん…。
実はなまえにマフラーをあげようと思ったんですが…この通り全くダメで」
「ふぅん、僕が教えようか」
「えっ、いいんですか?」
「構わない」
てっきり降谷さんの事だから、自分で何とかしろって言われると思ったが…。
「なまえちゃんはがっちりしたマフラーより、フワフワした柔らかいマフラーの方が似合うからな。
かぎ針編みで正解だ」
「そうなんですか?」
「もしかして適当に選んだのか?
まあいい。本を見ても風見じゃ分からないだろうから貸してみろ。お手本を見せる」
「はい」
かぎ針編みと毛糸を渡すと、降谷さんは俺に分かりやすく丁寧に教えてくれた。
「…このように、僕がやったのを繰り返し編めばフワフワのマフラーができる。
初心者向けの風見にぴったりな編み方だ」
「ありがとうございます」
かぎ針編みと毛糸を返されて、さっそく編んでみる。
一人でやってた時は苦戦していたが、降谷さんのおかげで絡まることなくスムーズに編めるようになった。
「降谷さんって…」
「ん?」
「本当、いろんな事ができるんですね。自分なんて全然ダメで…」
料理や裁縫ができない俺より、降谷さんといた方が名字さんは楽できるだろう。
俺ができることなんてせいぜいゴミ捨て、トイレ掃除、高い場所にある物を取ることぐらい。
そうと解っていても、名字さんを手離す気は無い。俺から名字さんが離れて欲しくないからだ。
「別にマフラーの出来が下手だろうと、なまえちゃんは喜んでくれるよ。
店で買った物より風見の手作りの方が良い。なまえちゃんは風見パパが大好きだからな」
「そうですかね…?」
「安室で接している時、しょっちゅうパパって言ってるぞ?
という訳で…風見、お菓子」
降谷さんが手のひらを見せて、お菓子を要求してきた。
これはマフラーのお手本を見せたからお礼に寄越せという意味だ。
そうか、そうだよな
降谷さんが俺にタダで教えてくれる訳ないよな
「分かりました…。
けど自分も食べるので半分だけですよ」
「ああ、半分も悪いな?」
「いえ…」
カバンからクッキーの入ったタッパーを取り出す。
降谷さんの手のひらにクッキーを半分置くと満足そうな顔をしている。
俺はデスクの前から立ち去ったのを見届けてから、大きなため息を吐いて編み物の続きを始めた。
━━あれから一週間。
仕事の休憩時間、名字さんが寝た後に編んで、ようやっと完成した。
「ただいま帰りました」
「おかえり風見!」
今日の名字さんはやけに機嫌が良いな。何か良いことでもあったのか?
クツを脱いで服を着替えて、手洗いうがい顔を洗ってから、マフラーを持って名字さんに近寄った。
「名字さん」
「うん?」
「実は貴女に渡したい物があって…。
喜んでくれると良いんですけど…。
両手だしてもらえますか?」
我ながら良くできたと思うマフラーを名字さんの手のひらに乗せる。
今この場で首に巻いてもいいか訊いてきたので、頷いた。
「あれ、長い?」
「それは元の姿になっても使えるようにと名字さん用に編みました。
…気に入らない、ですか?」
「風見が一生懸命編んでくれたって思うと…すっごく嬉しい。
これ、フワフワして気持ちいいね」
名字さんの笑顔がを見ると、作った甲斐があるなあと思う。やっぱり手作りで正解だったな。
「あのさ、私も風見に渡したい物があって…気に入ってくれたら良いな」
名字さんは俺に紙袋を渡してきた。
袋の中に手をつっこんで取り出してみる。
黒色のマフラーだ。シンプルで使いやすいな。
「そろそろ寒くなる季節だから、風見を想って編んだの。
無難に黒色にしてみたけど…どうかな?」
名字さんが俺を想って編んだマフラー…!すごく響きが良い。
さっそく巻いてみると、ちょうど良い長さだ。手触りも良いし、首もともチクチクしない。
「マフラーありがとうございます。
すっごく嬉しいです」
「風見も…仕事大変なのに、私のためにマフラー編んでくれてありがと」
「いえ、これくらい…。
貴女に喜んでもらえて自分は嬉しいです」
「私も、風見に喜んでもらえてうれしい」
お互いにマフラー編んで、相手に渡したら喜んでもらえて…。
何だかこのやりとり…夫婦みたいな…。
「おかずをお皿に盛り付けるから、少し待ってて。
汚しちゃうといけないから、マフラー外すね」
「分かりました。
自分もマフラー外しますね」
俺は首に巻いてたマフラーを外して腕に引っかける。
名字さんはキレイに折り畳み、それを自室に持って行こうとしていたので「自分が置いて来ますよ」と声をかけた。
名字さんはお礼を言ってから、俺の手のひらにマフラーを置く。
俺の編んだマフラーに名字さんのぬくもり…!
口元が緩みそうになったのをぐっと耐えた。
「くしゅん!」
「風邪ですか?」
「ううん、平気。
ただちょっと寒くなってきたなーって」
「そうですか…」
…という会話を昨日名字さんとしたので、マフラーを編むことにしたのだが。
「これが、こうで…うーん?」
店に行ってかぎ針編み、毛糸、マフラーの編み方の本を買ったのはいいが難しい。
さっきから毛糸が絡まって編めない。
普段ボタン付けもしない俺がマフラーを編むなんて無理があったのか。
「風見が編み物?
いきなりどうしたんだ」
「降谷さん…。
実はなまえにマフラーをあげようと思ったんですが…この通り全くダメで」
「ふぅん、僕が教えようか」
「えっ、いいんですか?」
「構わない」
てっきり降谷さんの事だから、自分で何とかしろって言われると思ったが…。
「なまえちゃんはがっちりしたマフラーより、フワフワした柔らかいマフラーの方が似合うからな。
かぎ針編みで正解だ」
「そうなんですか?」
「もしかして適当に選んだのか?
まあいい。本を見ても風見じゃ分からないだろうから貸してみろ。お手本を見せる」
「はい」
かぎ針編みと毛糸を渡すと、降谷さんは俺に分かりやすく丁寧に教えてくれた。
「…このように、僕がやったのを繰り返し編めばフワフワのマフラーができる。
初心者向けの風見にぴったりな編み方だ」
「ありがとうございます」
かぎ針編みと毛糸を返されて、さっそく編んでみる。
一人でやってた時は苦戦していたが、降谷さんのおかげで絡まることなくスムーズに編めるようになった。
「降谷さんって…」
「ん?」
「本当、いろんな事ができるんですね。自分なんて全然ダメで…」
料理や裁縫ができない俺より、降谷さんといた方が名字さんは楽できるだろう。
俺ができることなんてせいぜいゴミ捨て、トイレ掃除、高い場所にある物を取ることぐらい。
そうと解っていても、名字さんを手離す気は無い。俺から名字さんが離れて欲しくないからだ。
「別にマフラーの出来が下手だろうと、なまえちゃんは喜んでくれるよ。
店で買った物より風見の手作りの方が良い。なまえちゃんは風見パパが大好きだからな」
「そうですかね…?」
「安室で接している時、しょっちゅうパパって言ってるぞ?
という訳で…風見、お菓子」
降谷さんが手のひらを見せて、お菓子を要求してきた。
これはマフラーのお手本を見せたからお礼に寄越せという意味だ。
そうか、そうだよな
降谷さんが俺にタダで教えてくれる訳ないよな
「分かりました…。
けど自分も食べるので半分だけですよ」
「ああ、半分も悪いな?」
「いえ…」
カバンからクッキーの入ったタッパーを取り出す。
降谷さんの手のひらにクッキーを半分置くと満足そうな顔をしている。
俺はデスクの前から立ち去ったのを見届けてから、大きなため息を吐いて編み物の続きを始めた。
━━あれから一週間。
仕事の休憩時間、名字さんが寝た後に編んで、ようやっと完成した。
「ただいま帰りました」
「おかえり風見!」
今日の名字さんはやけに機嫌が良いな。何か良いことでもあったのか?
クツを脱いで服を着替えて、手洗いうがい顔を洗ってから、マフラーを持って名字さんに近寄った。
「名字さん」
「うん?」
「実は貴女に渡したい物があって…。
喜んでくれると良いんですけど…。
両手だしてもらえますか?」
我ながら良くできたと思うマフラーを名字さんの手のひらに乗せる。
今この場で首に巻いてもいいか訊いてきたので、頷いた。
「あれ、長い?」
「それは元の姿になっても使えるようにと名字さん用に編みました。
…気に入らない、ですか?」
「風見が一生懸命編んでくれたって思うと…すっごく嬉しい。
これ、フワフワして気持ちいいね」
名字さんの笑顔がを見ると、作った甲斐があるなあと思う。やっぱり手作りで正解だったな。
「あのさ、私も風見に渡したい物があって…気に入ってくれたら良いな」
名字さんは俺に紙袋を渡してきた。
袋の中に手をつっこんで取り出してみる。
黒色のマフラーだ。シンプルで使いやすいな。
「そろそろ寒くなる季節だから、風見を想って編んだの。
無難に黒色にしてみたけど…どうかな?」
名字さんが俺を想って編んだマフラー…!すごく響きが良い。
さっそく巻いてみると、ちょうど良い長さだ。手触りも良いし、首もともチクチクしない。
「マフラーありがとうございます。
すっごく嬉しいです」
「風見も…仕事大変なのに、私のためにマフラー編んでくれてありがと」
「いえ、これくらい…。
貴女に喜んでもらえて自分は嬉しいです」
「私も、風見に喜んでもらえてうれしい」
お互いにマフラー編んで、相手に渡したら喜んでもらえて…。
何だかこのやりとり…夫婦みたいな…。
「おかずをお皿に盛り付けるから、少し待ってて。
汚しちゃうといけないから、マフラー外すね」
「分かりました。
自分もマフラー外しますね」
俺は首に巻いてたマフラーを外して腕に引っかける。
名字さんはキレイに折り畳み、それを自室に持って行こうとしていたので「自分が置いて来ますよ」と声をかけた。
名字さんはお礼を言ってから、俺の手のひらにマフラーを置く。
俺の編んだマフラーに名字さんのぬくもり…!
口元が緩みそうになったのをぐっと耐えた。