風見パパになる番外編
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「ごほっ、ごほっ…」
今日で何度目か分からないくらい咳をする。
昨日までは何ともなかったのに…降谷さんマスクをしていなかったからな。完全に風邪が移った。
降谷さんからニガテなセロリを渡されるし。
家に帰って名字さんに移すと可哀想だから、なるべく近くに寄らないようにと思うが……疲れた、な…。
「ただいま、こほっ…帰りました」
「おかえり、夕飯できてるよ」
マスクをゴミ箱に捨て、着替えと手洗いうがい顔洗いをして、リビングに向かった。
テーブルに並べてある食事を見る。
ポトフとサラダと野菜たっぷりのグラタン…今日も美味そうだ。
いただきますと手を合わせてから、初めにポトフを一口。
…やっぱりうまい。俺好みの味だ。
「それにしても、ポトフって珍しいですね。いつもは作らないのに。」
「ああうん、風見のためだよ」
「自分のため、ですか?」
「ポトフはすごいんだ。
鍋に水を溜めて、大きめに切った野菜、ソーセージを入れてじっくり煮るだけ。
これ一品でビタミンがたっぷり摂れるからな」
「なるほど…」
「風見、風邪ひき始めているでしょ。だから作った」
それにしても風邪ひくの珍しいね。
グラタン頬張りながら俺に話しかけてきて、降谷さんのせいですよと言葉を返した。
名字さんは首を傾げたので、降谷さんが風邪気味なのにマスクをしていなかった事を話すと名字さんはああ…と納得する。
「降谷さんは風邪ひいてもマスクしないからな。
家庭菜園している野菜を食べて風邪を治す、なんて言ってたし。
降谷さんの風邪が私に移った事なんて何度あるか…。
公安と組織、ほとんど降谷さんと一緒にいたから移るんだよな……」
ほとんど降谷さんと一緒にいた、ではなく、降谷さんが名字さんの事が好きだから、名字さんの後を追っかけていた…名字さんは鈍いから気付いていない。
まあ、口にだして言わないが。
食事が終わるといつもは一緒にお風呂を入るが風邪が移るといけないし、今日はどうするか…。
くいっ、とズボンを引っ張られたので視線を下に向ければ、食器を洗い終えた名字さんが上目使いで俺を見つめている。
「お風呂、入らないの?」
「良いんですか?」
「食事してから咳、一度もしてない」
言われてみれば…確かにそうだ。
「貴方の愛情たっぷりの食事のおかげですね」茶目っ気まじりに言ってみると、名字さんの顔が赤く染まってきて、ズボンを強く引っ張った。
「明日…風見のニガテなセロリ、食べさせてやるんだからねっ」
「それは勘弁して欲しいです」
翌日。
セロリ入りのトマトスープが出されて、初めてセロリを美味しいと思った。やっぱり名字さんの料理は全て美味い。