風見パパになる番外編

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風見side

「ただいま帰りました」

「おかえり風見」


今日は二月十四日。バレンタインデー。
今朝家を出る時に降谷さんのチョコレートを預り、渡した事を名字さんに伝えれば「ありがとう」と一言だけ返された。


「…どうしたの風見?
私の顔をじっと見て」

「い、いえ。
何でもありません」

「そう?」


本当はすごく言いたい。
なぜ降谷さんのチョコレートがあって、俺のチョコレートが無いのか。

もしかして手作り弁当の、白米の上にハートマークに切られていた海苔が乗っかっていたのがチョコの代わりだったのか。

着替えてから手洗いうがい顔を洗った後、席に着いて夕食を食べる。
いつも通り名字さんの作った手料理は美味しいがハートマークが見当たらない。
やっぱり昼間のがチョコレートの代わりだったのか…。


「━━ごちそうさまでした。
ねえ風見、今日は洗い物頼んで良い?」

「良いですよ」

「ん、ありがと」


袖を捲りスポンジに食器洗剤をつけて、お皿と調理器具、弁当箱を洗う。
水切りしてからフキンで拭いて元あった場所に戻したら、向こうからガサッと袋の音が聞こえる。

夕食が足りなくて何か食べようとしているのだろうか。
作った本人には言ってないが自分も少しだけ物足りない。

名字さんが残したら食べ物を貰おうか…なんて考えながらリビングに戻れば名字さんの手のひらに袋いっぱいに詰められたハート形のマカロンがあった。


「風見、ハッピーバレンタイン!」

「これを、自分に…?」

「うん。これじゃないとダメだから。
風見が居ないとき内緒で作ったの。
マカロンを相手にあげる意味はね、貴方は特別」

「とくべつ…」

「ん、特別。
受け取ってくれる?」


名字さんの目線に合わせてしゃがんでマカロンを受けとれば、頬に柔らかい唇が触れた。


「…名字さん」

「ん?」

「貴方からの気持ち、受けとりました。
とっても嬉しいです。ありがとうございます」


赤いリボンをほどいてマカロンを一つ口に含めば名字さんの唇と同じくらい甘かった。

完食した後、マカロンが入っていた袋は甘い匂いで捨てざるを得ないが…。
ラッピングされていた赤いリボンは自室の引き出しに大切に保管した。


 
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