青色のパンジーを貴女に
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「おはよ、寝癖ついてるぞ」
「ああ…うん、おはよう陣平」
幼なじみの松田陣平にとりつかれて四年。
陣平は幽霊になって障害物をすり抜けられるようになった。
私以外は陣平の姿が見えないし、陣平以外の幽霊は見えない。
幽霊なのに食事はとるしちゃんと寝る。私に触ろうとすれば触れる。
私以外の生き物に触ろうとすればすり抜けるらしい。
私にとって陣平が生きてる人間みたいにはっきりと見えるから死んでるって実感があまり無い。
陣平が言うには私から三メートル以上離れられないらしい。
最初はどうなるかと思ったが、すぐにこの生活に慣れた。
もともと会社で一人で食べてたし、仲の良い友達なんていないからとりつかれたところで生活リズムは変わらない。
朝はトーストに目玉焼き乗せて食べて終わり。
初めは手抜き朝食で文句を言ったが、私の給料で食事代払ってるんだから文句言うなと言ったらそれ以来言わなくなった。
それに、陣平が気が向いたら冷蔵庫にある余り物で食事を作ってくれる。まあ、この生活も悪くない。
「今日は会社休みだろ。何するんだ?」
「本屋に行ってくじを引く。
それからスーパーに寄って対象のドリンク三本買ってグラスをゲットする」
「またアニメか」
「そうだけど。
ねえ身体貸すからさ、私の代わりにくじ引いてよ。
狙うはこのお風呂セット。推しキャラが使ってるシャンプーとタオルと石鹸なの。一回で引き当てて」
「分かったよ」
本屋まで陣平と一緒に歩く時、私は陣平と話してる。
周りから見ると私がぶつぶつと独り言を言ってる頭のおかしい奴だと思われるが構わない。
顔も名前も知らない奴にどう思われようといいと思っているから。
「入るぞ」
「うん」
陣平が私を乗っ取った時、記憶が残らない。
意識が落ちて、気づいた時には手に袋を握っていた。
「これは…」
「ちゃんと当てたぜ」
「ありがとう…!」
一回で当てるとか陣平神すぎる。いや神じゃなくて幽霊か。
まあどっちにしたって、私だったら十回引いても当てられないであろう物を一回でなんて感謝しかない。
「今日の夜は豚肉入りの焼そばにしよう」
「っしゃあ、一週間ぶりの肉!」
なんで男は肉好きが多いんだろう。
アニメ観てても肉食べてるシーン多いし。
まあ陣平が喜んでいるなら理由なんてどうでもいいか。
お目当ての物を買ったスーパーの帰り道、地面に落ちた物を拾ってそれらを両手で持って歩きだした女性がいた。
ありゃあまた地面にばらまくぞ。荷物が多すぎて視界半分塞がってるし。
普段の自分だったら絶対に声をかけないが、今日は気分が良いから人助けをしてみようか。
「そこのお姉さん、荷物持ち手伝いましょうか」
「良いんですか?ありがとうございます」
私はカバンからエコバッグを二つ取り出して荷物を詰めた。
どこまで運ぶかと聞いたら米花町にある喫茶ポアロという店まで。
食材の買い出しを頼まれたがビニール袋が破けてしまったらしい。
「ここまで荷物を持ってくださってありがとうございます。
よかったらお礼にごちそうさせてください!」
「いや、別に…」
「さあさあ、お店の中に入って」
カウンター席に案内されてメニュー票を渡された。
陣平がいるのに私だけ食べるのもどうかと思ったが…。
「ハムサンドいいですか?
二人分、持ち帰りで」
「ハムサンドの持ち帰りはおすすめしませんが…。
あ、ハムサンドを作るのは私じゃなくて安室さんっていう男性店員なんです。
あと、このエコバッグありがとうございます」
「多少味が落ちても平気なので、ハムサンドでお願いします」
きれいに畳まれたエコバッグをカバンに入れる途中、お冷やがだされた。
飲みながらスマホをいじって待ってると男の店員が声をかけてきた。
振り向くと褐色の金髪男性。しかも顔立ちが良い。なんだこの二次元から飛び出してきたかのような男性は。見覚えがあるのは気のせいだろう。
「お待たせしましたハムサンドです。
荷物を持っていただきありがとうございます」
「っ、零…!」
「ゼロ?」
この人の名前って安室零なの?陣平の知り合い?
帰ったら陣平に聞いてみようかな、と思ったら意識が遠退いた。
あ、また陣平に身体を乗っ取られた。
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