コナンside

「おっ、安室さんのお嫁さん！
探偵坊主と一緒か？」

「小倉さん、こんにちは！
あのさ、お嫁さんって何の事？」


下校中、偶然ラーメン屋の小倉さんに会った。
なまえちゃんは小倉さんの言葉を聞いて嫌そうな顔をして俺の背に隠れた。

小倉さんが言うには火事で取り残された子供を助けるためにベランダをよじ登った安室さんが途中で手を滑らして落下したが、なまえちゃんが安室さんをキャッチして誰もケガをすることなく助かった。
その時安室さんが、僕の未来のお嫁さんは凄いんだと自慢したとか。


「この子はもう安室さんのだから諦めな」

「いや、なまえちゃんが嫌がってるし。
僕が安室さんのお嫁さんになんてさせないから」

「じゃあ安室さんとライバルだな！
はーっこれぞ青春！おじさん応援するよ！」


他の皆にも話さなきゃと走り去った小倉さんの背中を見て小さくため息を吐いた。
これじゃあ俺がなまえちゃんに恋してるみてえじゃねえか。誤解だって言わねえとな。


「ごめんなまえちゃん、うまく庇えなくて。
友達として暴走した安室さんを引き離すの手伝うから」

「ん…ありがと」


なまえちゃんは俺の隣にきて再び歩きだした。

にしてもすげえな…こんな小さな身体で大人と子供をキャッチしたのか。
一体どんな生活をしたらそんな力が身に付くんだ？
もしかして博士みたいに何か発明品を作ってそれを使ったとか？一時的に筋肉強化できる機械とか。
普通の人間だったら落下してきた人間をキャッチなんてできねえぞ。
まあ蘭とか京極さんだったら簡単にやっちまいそうだけどな…。

次の日。
なまえちゃんと一緒学校に行ったら、光彦と元太に祝われて灰原に浮気者と言われた。


「聞きましたよ！コナン君となまえちゃんが恋人になったって！」

「はあ！？」

「俺はコナンが好きだって告白したって聞いたぞ！」

「江戸川君はどっちが本命でどっちがキープなのかしら？
まあこれが本当の話だとしたら、どっちにしたって嫌な男ね」

「おいおい…それどこ情報だよ。全部違えよ」


あの後、小倉さんが誰かに話したのか。にしてもどうやったら俺となまえちゃんが恋人って話になるんだよ。
なまえちゃんとはただの友達だと説明したが、きっと蘭達にも広まってるだろうな。

帰りになまえちゃんとポアロに寄ったら、梓さんに二人共おめでとうと祝われたから否定した。


「ご注文のオレンジジュース二つとサンドイッチです。
コナン君…なまえちゃんは僕のと分かってケンカ売ってるのかな」

「なまえちゃんは安室さんのじゃないでしょ」

「僕の未来のお嫁さんだ」

「安室さんって本当、ロリコンだね」

「何とでも言ったら？」


安室さんがヒビを入れたお皿からサンドイッチを手に取ってなまえちゃんに渡した。
お礼を言ったなまえちゃんは美味しそうに食べている。
なまえちゃんと他愛ない話してさあ帰ろうかと思った時ドアベルが鳴って、蘭と園子と世良がこっちに近づいて来た。


「聞いたわよ！
あんたやっぱりこの子の事好きだったのね！」

「てっきりコナン君が好きな人は…まあ、おめでとうとでも言っておこうかな」


否定してなまえちゃんの手を引っ張ってポアロを出た。
安室さんがなまえちゃんの手を握るなと追いかけて来るのが面倒くさい。
手を離せばスケボーに乗って手を控えめに振ったから、またなと言った。


「ああ…行っちゃったなまえちゃん…全然お喋りしていないのに」

「早く仕事に戻りなよ」