風見パパになる
名前
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━━夢を見た
陣平が私の頭を撫でて、降谷さんが私と陣平を引き離そうとして、それを見て三人が笑っている姿を。
人間は最初に忘れるのは声らしいが、皆の声も、顔も、触られた感触も、匂いもみんな覚えてる。
私が全部覚えてないと、陣平と萩と班長が本当に居なくなっちゃうから。
だから私は時々、一人になったら三人の声を真似て喋る。
けどあの時、本当はアイツを殺してから死んでもいいやって思ったんだ。
「おはよう名字」
「おはよう、降谷さん」
「寝癖、ついてるぞ」
こんな事、今は口にだして言えない。
風見も諸伏君も私の事を大切にしてくれてるから。
降谷さんは私の事をどう思っているか…正直分からない。
頭を叩いてきたり、嫌味言ってきたり、かと思ったら変態モードになるし。
今はずいぶんと優しい顔をして私の頭を撫でてくる。
「夢見たのか」
「なんで?」
「寝言で松田の名前を言ってたからな」
「うるさくて起こした?ごめん」
「もう起きていたから平気だ」
「そう…」
「朝ご飯作るから、たまにはゆっくりしてろ」
「ありがと」
降谷さんはTシャツを着てから台所へ向かった後、私はスマホを起動して写真のフォルダを開いた。
「陣平…」
小さい頃からずっと一緒だった陣平。
幼稚園から撮った写真がたくさん残っている。
最後に二人で撮ったのは萩の墓参りの帰り。
プラーミャと遭遇して別れ際に頬にキスしてくれた写真。これが最後になるなんて…。
警察学校の時に陣平が爆処にスカウトされて、行かないでって引き止めれば良かった。そうすれば陣平と萩は生きてたのに。
今でも私は、あの時の選択を後悔している。
「あいたい…」
陣平に頭を撫でてもらいたい、抱きしめて欲しい、他にもいっぱいして欲しい事があるのにそれは二度と叶わない。
「名前さん!」
「風見…?」
勢いよく扉を開けて入ってきたと思ったら、ぎゅっと抱きしめられた。
風見の心音が少し速い。どうしたのだろう。
「貴女が誰かを狙撃した後、後は頼むと言って…自殺する夢を見たんです。生きてて…良かった…。
貴方が居なくなったら…どうにかなりそうなので…」
少し震えてる背中を優しく撫でた。大丈夫と落ち着かせるように。
「自分は、貴方がいない世界なんて…たえられない」
「風見…」
だけど公安に行った事によって、私は風見と出逢ったんだ。
今は幸せだけど三人が死んで私だけ幸せで良いのだろうか、もしかしたら私が公安に来なかった方が風見はもっともっと幸せな生活を送っていたんじゃないか…なんてたまに考えてしまう。
…ああ、自分はダメな奴だな。
風見はこんなにも私を大切にしてくれているのに。
「…朝ごはん、食べに行こうか。
今日は降谷さんの手料理だよ」
「そうですね…はい。
今日は何でしょうか?」
「降谷さんの事だから和食でしょう?」