コナンside

竈門炭と名乗った女性は黒ずくめの仲間だった。しかも俺の正体がばれてる。
黒ずくめの組織に連れて行かれて殺されるのか。それとも人体実験でもされるのか。
灰原の正体には気づいてないからよかった。あいつはたった一人の姉を失ってたし、これ以上苦しんで欲しくない。


「(悪ぃな蘭…。
もう会うことができねえみてえだ)」


安室さんの目が覚めて竈門さんが安室さんに耳打ちしている。
何を話しているのかは想像できる。俺の事だろう。


「おめーら先に帰ってくれるか？
俺は安室さんと竈門さんに用があるからよ。
あと…なまえちゃんのお父さん。
なまえちゃんごめん━━そう伝えてくれる？」

「待って江戸川君！」


俺の様子に違和感があったのか、灰原は腕を掴んで目で訴えてる。
灰原まで巻き込む訳にはいかねえんだ。
子ども三人はまた明日と言って俺に手を振ってるが俺には明日が無いんだ。
笑顔をつくって手を振って子ども三人と小林先生と若狭先生、なまえちゃんのお父さんを見送る。
灰原がなかなかこの場を離れないから元太が灰原の手を引っ張って、俺の腕から灰原の手が離れていった。


「竈門炭さん…いや…バーボンの仲間。
俺をどうするつもりだ」

「やはり君って奴は…」

「若狭を庇って攻撃しようとしたから、靴撃って壊した。殺してないから良いだろ」

「確かに殺しては無いが…。
コナン君に正体を明かしたのか」

「バーボンを傷つける奴は殺すって言っただけ」


安室さんはため息を吐くと竈門さんの頭を叩いた。
…叩いた！？組織の人間にそんな事して良いのかよ！


「ごめんねコナン君。
この人には後できつく言っておくから。帰って大丈夫だよ」

「えっ…？」

「自分の仲間が傷つけられると、子どもだろうと容赦無いんだ。
けど僕が言えば少しは大人しくなるから平気だよ。昔からそういう性格でね…」

「少しは…昔から…？」

「これ以上は教えられないなあ。
さあ行くぞ。帰って説教だ」


竈門さんを俵担ぎしてこの場を離れた二人。残ったのは俺一人だけ。

助かった…のか？
竈門さんは俺の正体を安室さんに言ってないのか…？

安室さんの口調からすると、安室さんと竈門さんは知り合い以上の関係だ。
組織の仲間っていうより友達に近い関係に見えた。

いやいや待てよ…安室さんは大切な人がいるんだよな。
公安の同期だが、NOCとばれてベルモットに殺されたって言ってたけど。


「まさか、な…」


竈門さんがなまえちゃんな訳無いだろ？
前に灰原が疑ってたけど、あの子はお父さんが大好きな普通の小学生だ。

駆け足でバス停に行くと皆はバスを待っていた。
そこには少年探偵団と先生。黒ずくめの二人はいない。


「おせーぞコナン！」

「わりぃな。
けど先帰ってろって言っただろ？」

「灰原さんがコナン君を待つと言ったから、皆で待ってたんです」


それでまだいたのか…。
灰原は震える手で俺の裾を掴んできたが。何もないと言ったらほっとしたのか息を吐いた。


「おいコナン。安室のにいちゃんと、あのねえちゃんと何話してたんだ？」

「いや、ちょっとな…」


あの二人は今のところ害はないから置いといて、なまえちゃんのお父さんに頼んだ伝言の言い訳をどうするか考えねえとな。